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『今日の始まりは、掃き掃除から』

作者: Rima
掲載日:2026/06/24

まだ誰も起きていない街で、ほうきを掃く音だけが響く。

誰の評価も必要ない、完全に自分だけの早朝の特権。

昨日のモヤモヤを掃き出し、今日を新しく始めるための、私なりの儀式のお話


貴方の心のモヤモヤも掃き出せますように。

『今日の始まりは、掃き掃除から』




ほうきの先がアスファルトを掃く「カサ、カサ」という乾いた音が、静寂に吸い込まれていく。


まだ誰も起きていない街は、呼吸を止めたかのように静かだ。


私は深呼吸をして、一度だけ背伸びをした。


早朝の冷たい空気が肺に入り込み、昨日の仕事で少しだけ澱んでいた気分を、肺の奥からきれいに洗い流してくれる。


東の空が、藍色から淡いすみれ色へ、そして柔らかなオレンジへとグラデーションを描き始めている。


この瞬間を見るために、私は少しだけ早起きをしている。


誰も見ていない、誰の評価も必要ない、完全に自分だけの時間。


この空の美しさを独り占めできることこそが、この仕事に就いてから見つけた、私だけの特権だった。


地面に落ちていた小さな木の葉を掃き寄せ、ちりとりに入れる。


この掃き掃除は、ただ店を綺麗にするための仕事ではない。


昨日あった些細なミスや、うまく言えなかった言葉、誰かへの小さないらだち——そういったものを、目に見えるゴミと一緒にここへ掃き出し、今日という新しい一日をまっさらな状態で迎えるための、私なりの儀式なのだ。


ふと、空の境界線が黄金色に輝き、街路樹の影を長く引き延ばした。


太陽が昇り始めたのだ。


その光は、アスファルトの上で踊るように広がっていく。


「おはよう」


誰に言うでもなく、心の中で小さくつぶやいた。


その時、向かいの店舗のシャッターが開く音が聞こえた。


近所のパン屋の店主だ。


少しイケメンで前髪がくるんっとはねてて少し可愛げがある。


寝癖だろうか?


彼もまた、重たいシャッターを半分ほど上げると、私と同じように日の出の方向を向き、大きく伸びをした。


私たちは言葉を交わさない。


会釈もしない。


けれど、同じ光を分け合っているという確かな感覚が、胸の奥に灯る。


この街の静けさが、少しだけあたたかいものに変わった気がした。


腕時計を見る。


そろそろ、日常が騒がしく動き出す時間だ。


私はほうきとちりとりを脇に抱え、太陽の光で温められた入り口のドアへ向かった。


特権の時間は終わった。


けれど、掃き清めたばかりの歩道のように、今日の私の心は不思議と軽く、澄み渡っていた。


『さて、、、今日も頑張りますか!』


私は店の中に一歩足を踏み入れ、新しい一日を始めた。

「ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

初めての投稿で少し緊張していますが、皆様からの感想やブックマークが本当に励みになっています。

もし『続きが気になる!』と思っていただけたら、ぜひブックマークや評価をいただけますと嬉しいです。

次回更新も頑張ります!」

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