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誰が助けるのか
その頃。
病院の屋上に、二つの影が立っていた。
黒いドレスを纏い金色の長い髪を風に揺らす少女――冷。
その隣で、白いドレスを纏い桃色の髪を揺らしながら腕を組んで街を見下ろしているのは、華だった。
「何ともなくてよかったね、元気そう」
冷が静かに言う。
「当然!」
華は肩をすくめ、少しだけ笑った。
「ちゃんと生きていいって言ったんだからさ」
夕方の風が、二人の間を吹き抜ける。遠くで救急車のサイレンが鳴っていた。
静かに華は、空を見上げる。
「さ、帰ろ。新幹線に間に合わなくなる」
「うん!ってか帰り新幹線なの?!」
「お昼に便を取ろうしたら埋まっててさ」
「駅弁食べれるじゃん!」
「そっち?」
二人の影が、屋上からふわりと跳ぶ。
次の瞬間。
そこにはもう、誰もいなかった。
夕焼けの空を、風が流れていく。
ふと、冷は思う。
もし――ヒーローが困った時。
そのヒーローを、助けるのは誰なんだろう。




