第十二章 全国モデル化
カワスジニウムの発見と田川での安全運用が成功すると、情報は全国に広がった。
政府もGHQも、戦争より経済的利益を優先することを選んだ。
僕と大田仁は全国の炭鉱や発電所に技術指導を行い、カワスジニウムの採掘・精製・燃料利用のモデルを作り上げた。
炭鉱労働者たちは技能を全国に展開し、事故も激減。
【スキル発動:全国展開 Lv.4】
炭鉱・工場の安全性と効率を最大化
全国での採用率+80%
都市は炭鉱街のモデルを参考に整備され、地方経済も活性化。
工場は煙も煤も出さず、高効率の発電と製鉄を実現した。
◆◆◆
昭和末期、田川の炭鉱街はモデル都市となり、カワスジニウムは全国の電力・鉄鋼・輸送に革命を起こした。
エネルギー不足や石油依存の危機は過去のものとなり、日本は平和で豊かな経済大国へと成長していく。
株式市場は活況を呈し、商店街には笑い声と活気が戻った。
炭鉱住宅の子どもたちは学校で科学と技術を学び、街は未来に向けて輝いていた。
◆◆◆
大田仁は相変わらず豪快だが、今や彼も“炭鉱改革の英雄”。
街の人々と肩を並べ、笑顔で酒を酌み交わす。
僕もまた、二度目の人生で掴んだ力を、街と国のために使い切った実感があった。
「……やっと、炭鉱街の未来を守りきったな」
「そうや、若旦那。田川だけやのうて、日本全体が輝いとる」
坑道の奥で光るカワスジニウムが、静かに脈打つ。
その光は、街の未来を象徴する希望の灯火となった。