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初仕事。逢魔。

中間テストがようやく終わりました。しかし、次は文化祭。

またしばらく書けません。

――今の時刻は午後八時。

携帯を開き、時刻を確認する。ついでに隣を歩く有希の様子を確認する。


「――有希」

「っはひゃわ!?に、ににに兄さん!?お、脅かさないでください!!」


いや、普通に話し掛けたんだが。まぁもともとこんなシチュエーションは苦手だったし無理もない。どんなシチュエーションかというと、よく怪談話の舞台にされる、普段学生が通う場所・・・つまりは学校にこんな時間にいる、というものである。

・・・別に非行に走った訳じゃないし、宿題のプリントを忘れた訳でもない。

雑務部に寄せられた要望、依頼。つまりは仕事である。




「・・・幽霊?」

それがあのカオスなやり取りの最中に入ってきた女子生徒の依頼内容だった。


「これから、私たちの部は総体前の最終調整のため合宿をしたいと思っているんですけれど・・・」


そんなおどおどとした導入から始まった依頼の内容をまとめると、次の通りになる。


・ここ最近、校内に幽霊がでるという噂がある。


・その噂のせいで、一部の部員が合宿に反対している。


・そこで、雑務部に調査をしてもらい、噂の真相を確かめてもらうことにした。


・・・実にくだらない依頼だがまさか断る訳にもいかない。それに、こういう小さなことからコツコツと片付けていくことで雑務部の評価が上がり、部員の確保にも繋がるかもしれない。



――という訳で雑務部全員が今晩、見回りという名のお泊り会に参加することになったのである。



そして再び夜の学校。

今現在、俺と有希は第一校舎の一階、保健室前の廊下にいた。

「ほ、本当に入るんですか兄さん・・・?」


「そりゃあ、見回りだしな」


有希の怯えたような声に、そっけなく答えるが、その内心、この状況を少し楽しんでいた。

そう、これは前回のあとがきのときエアガンを乱射された恨みを晴らすチャンス・・・!


『もしも~し。トモく~ん?なんか変なこと考えてな~い?』

と、有希を驚かそうと策を練っている思考回路に、声が割り込んでくる。その音源は腰のベルトに提げられたインカム。雑務部の備品である。


「・・・別に考えてませんよ?」


うたぐるような部長の視線にきわめて平静な状態を維持しつつ答える。ここでばれる訳にはいかんのだよ・・・!


『でも防犯カメラに映ってるトモ君、いやらしい顔してるんだけど・・・?』


ま、まずい!どうにかしてごまかさなければ!


「ええっと、それは――」


『なるほど、義妹に欲情したか・・・!』


なんてこと言ってくれやがりますかこの人は。


「黙れ副部長!そんなことある訳が――」


「に、兄さんが私をそんな目で・・・!?」


「信じんな!またいつもみたいに適当なこと言ってるだけだから!」


「わ、分かりました。兄さんがそこまでいうのであれば私も一肌脱ぎましょう!物理的に!!」


「分かっちゃいねぇよ!あんさん、何一つ分かっちゃいねぇよ!!」


『ダメだよトモ君!』


「っ!!ぶ、部長!部長がこの流れを止めくれるなんて――!」


『女の子に攻めさせるなんて、男の子失格だよ!』


「期待なんてしてなかったさ!でもたまにはまともな発言をしてくれてもいいじゃないか!!」


『智樹はMだったのか?』


「違うわ!なんでそうなる!?」


「じゃあ、兄さんはS・・・!?わ、分かりました、さ、さあ私は無防備ですよ!抵抗なんてしませんから、さっさと私を貪ればいいじゃないですか、この変態鬼畜兄ぃ!!」


「お前も正気に戻れ!いいか、俺達は兄妹だぞ!!」


「大丈夫です!訴えたりしませんから!!責任は取ってもらいますが!!べ、別に私がそれを望んでいる訳ではなくてどうせこんなどうしようもない変態兄なんか貰ってくれる人がいる訳ないですし、そうなると、欲求不満で誰かを襲ってしまうかもしれないから仕方なく私が発散させてあげようという妹の優しい気遣いなんですからね!!勘違いしないでくださいよこのキモオタ兄ぃ!!」


「俺、お前になんかした!?なんで義妹にそこまで言われなきゃなんないの!?なんか泣きたくなってきたんだけど!!」


というか実際に視界が滲んできた・・・。べ、別に泣いてなんかないやい!!


――ドンッ!


と、そこで何か――いや、誰かとぶつかった。いかん、目から心の汗が零れないように上を向いていたからだろう、前への注意力が散漫になっていた。


「あ、すみません。うっかり――」


「・・・あなたの目は節穴なの?」


もう、泣いてもいいよね?

――と、ここで違和感。

こんな時間に、他の人間がいるはずがない。

ということはだ。


――今ここで話している奴は、一体・・・!?


俺は視線を前に戻そうとする。しかし、その動きは、錆びた機械のように、ひどく不自然でゆっくりだった。

強張った筋肉が自身の緊張度合いを己に示していた。

心臓はかつてないほどの速度で鼓動を刻んでいた。

それでも意地で、得体の知れない者を視界に捕らえる。


そこにいたのは――。




「兄さん!?どうしたんですか、兄さん!?」


兄さんの様子がおかしい。

突然硬直し、何を言っても反応しなくなったのだ。

その目は何かを恐れるかのように、前方に向けられている。しかし、そこには何もない。

だがしかし。

兄さんの目は何かを捉えようとしている。

目の前には何もない。

しかしその瞳には何かが映りこんでいた。それを認識した瞬間、目の前に誰かがいきなりあらわれた。

まるで最初からそこにいたかのように――。


――校舎に、悲鳴が響き渡った。

文才が欲しい・・・!!

前書きで言った通り、またしばらく書けません。すみません。

それでは次回予告(嘘)。

突如現れた謎の人物。しかし――。

「なっ、き、消えた!?」

「・・・そっちは残像」

「後ろ!?ぐはぁ!!」

「ああっ!に、兄さん!!よ、よくも・・・上等です!ぶちまけられたいですか!?」

「雛○沢症候群!?」

『残念ながら、レベル5発症だ』

「いやいや、ここ雛見○じゃねえから!」

・・・楽しみにしてくれると嬉しいです。

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