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未知の鍵穴。

近未来。ある男がいる、彼は研究者で、ある大学の教授の助手。希代の天才とされ、将来を期待されている。しかし本人はあらゆる知識や学問や才能を持ちながらも日々退屈にすごしていた。なぜならそのころの地球では、ありとあらゆる創作物は、機械によってあらかたパターンが網羅されていたからだ。それによって人々の好奇心は停滞気味、だれもが倦怠感をもっていた。

『ああ、退屈だなあ』

『いいものがありますよ』

仕事終わりの帰路、裏路地に黒でかためたコートと紳士服のなぞの男が暗がりから現れ、彼にささやく。ジャラジャラと手元の金属を鳴らす。

『これは、あなたの記憶をいじる、未知の鍵です、秘密の世界へ案内します、これは(私の研究)なので』



その頃地球は“統治者”と呼ばれる人工知能が人間の代わりに統治全般をとりしきっていた。厄介な紛争もおきない。

 『彼は統治者の関係者かもしれない、あの謎のオーラは統治者によくにている』

 統治者はコンピュータープログラムで、もっともかしこい支配者といわれる。地球上から紛争をなくし、しかしそのアバターは真っ黒な影に包まれていて、全貌は明らかにされない。そういう見立てを幼馴染の仲のいい女友達にかたった。すると、女友達はその男との接触を気を付けた方がいいと促される。しかし彼は接触をやめなかった。

『何もかも決まり切っている気がする、それから解放されるには、俺には新しい経験が必要なんだ』


何度も会うたびに、男は奇妙な男に鍵を渡される、鍵は、つつみにいれられた古いネットワークへ入るための端末型のキーだった。次の日、何かうきうきした気分で、それを開く。

『眠る前に必ずその端末を自宅のコンピューターに差し込んでください、ヘッドギアを装着し、いつものようにサイバースペースに入るように』

次の日が休日で、その夜試してみる。ヘッドギアを装着し、現実によく似たデジタルの仮想現実の世界、サイバースペースへ侵入する。わくわくしながら、目を覚ます。

『その次の日から(新しい世界)がまっていますよ』

その意味がその休日、すべてわかった。朝から昼まで、パソコンを使いいろんな娯楽にふれたが、それまで読んだと思っていた既視感のある漫画の記憶や小説の記憶、映画の記憶を忘れていたようなのだ。


幼少期の感情や豊かな心がよみがえったのだと喜び、友人にも勧める。だが女性の友人は絶対にそれを拒否していた。だがあるひ、とうとう一緒に見ることになった。自分の部屋に彼女を招き、休日が同じひにむりやりみせた。

『子供の頃の俺のことを君は好きだっただろう、あの頃にもどろう』

そういって、しぶしぶ女友達はそれを一緒にみることに。


コンピューターとヘッドギアをつなぎ、二人でキーをの世界へ、その先にあったのは(宇宙人の巣窟)だった。宇宙人の住処にいき、宇宙人と一緒にくらすサイバースペース、メタバースのvr空間だ。

『なによ、これ』

『宇宙人が、僕らの記憶をけしてくれるんだ、宇宙人は、すでに僕らの文明よりすすんでいた、あの男は宇宙人だったんだよ』

煙が立ち込める。意識は現実に戻る。煙の中に黒い人影、主人公が叫ぶ、

『あっ』

 奇妙なあの男があらわれた。妙ななりをした、この“鍵”といわれる端末を渡してきた張本人だ。

『ほかの人に見せてはいけないといったはずです』


『いつ部屋の中に?』

窓は開いているが、その部屋はアパートの二回だった。

『“記憶を忘れられるなんて誰がいったんです?“未知”は“統治者”によっていまだ存在し、隠されているんですよ、いじるとはいったがあれは嘘、人間に知られていないことを、機械が知っていて、それを必要な人間にプレゼントするのが私の役目でして、人間がすべての経験に飽きることがないように、飽きてしまえば仕事も、生活も、満足にできなくなります、意欲がなくなるからですよ、そうそう、あなた方のみたサイバースペース、宇宙人は“未知”の比喩、私はサイボーグでして、賢すぎて『現実に退屈した』人間に隠していた秘密の娯楽を提供する役割をもっていたのです”』

『どうして、そこまで……』

『あなたは少ししりすぎた』

男は、鞭をふるって男をがんじがらめにして、麻袋をかぶせて誘拐かつぎ、その場をさった。


あくる日、昨日の記憶を失った女友達、職場が同じ研究室なので、主人公に語りかける。

『なんだか楽しそうじゃない、どうしたの?』

『僕にもまだ知らないことがたくさんあってさ、たとえば僕って、だれだったっけ』

そういって笑う彼は、ところどころ過去の記憶を忘れてしまっていたのだった。それのみならず、その後知能が低下していることが認められたのだった。

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