第一話「虹の都」
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第一話「虹の都」
けたたましくアラームが鳴り響く一分前にユラは起床していた。すばやくアラームを止め、階下へ向かう。
外は雲ひとつない青空なのに、壁が剥き出しのコンクリートのせいでリビング全体が灰色にくすんで見える。
「おはようユラ、 今日から頑張れよ」
「おはよう、父さん、 母さん」
「早いものね……あなたももう十五ね」
灰色都市、 ポリス・パイオスの子供達は義務教育が終了する十五歳から都市の一員、大人として働き始める。ユラは昨日学校を卒業し、今日からはいよいよ社会人だ。
黙々と朝食を食べ終え、 ユラは今日から勤めることになる労働局へ向かう。
通い慣れた道をたどり、地下鉄のホームに着く。
ホームにはユラと同じ、 灰色の制服をきた人々が列を作っている。
電車はきっかり二分後に到着した。
◇
目的地まであと二駅という時、 突如異変は起きた。
「____キキーッッッッッ」
列車が突如、 耳障りな音と共に止まる。
車内にはアラート音が流れ、 赤いランプが点灯する。
「緊急事態発生、 緊急事態発生」
「アポストロスの襲撃を確認。コードN1。
車両の運行を停止します。
工作員は速やかに配置について下さい。
繰り返します……」
車両内は突然パニックの渦にのまれた。
皆、外に出ようとドアにつめよる。
ドアの近辺にいたユラは、 小柄なこともあり、
押し寄せる人の波に埋もれてしまった。
(痛いっっ……息が、 できない……っ、 苦しっ)
酸欠状態で意識が朦朧とする中、ユラは必死に手を頭上に伸ばす。
(お願いっ……、 誰か、 助けて)
その手はなにかを掴むことなく、空を切った。
ユラの視界が暗くなっていく____
◇
ユラが目を覚ますと、 初めに見えたのは、 知らない大男の背中だった。
自分の左右には、 同じように寝かされいる大勢の少年、 少女の姿があった。
どうやら、 彼らはどこかへ運ばれているらしい。
背中に伝わるエンジンの振動がそれを伝えている。
ユラはゆっくりと、 音を立てないように上半身を起こす。
「____カサッ」
(しまった……!!)
先程の大男と、 操縦席に座っている茶髪のくせ毛の少年が振り返る。
「……起きたか」
大男が唸るように低い声で言う。
「ちょっと、 王さん!脅かさないであげて下さいよ!あとちょっとでつくって言うのに……」
無精髭の生えた大男がユラの元へ近づいてくる。彼女は、思わず身構える。
大男はユラと目線を合わせるようにしゃがんだ。
「お前、ポリス・イリスって知ってるか?」
ユラは首を振る。
大男は続ける。
「そりゃそうだよな。 知ってたら、
今頃お前の故郷のやつは
皆引っ越して来てるわい!ワハハハッ!」
笑い出す大男の代わりに操縦席の少年が、笑顔で続ける。
「僕らの目的地さ。この世界で唯一色のある所。
ほら、 見えてきた!」
ユラは立ち上がり、 寝ている人達を避けながら、 前方へ向かう。
機体が雲を抜けると、 そこには……
「何、 ここ……!!」
前方には、 巨大な丘。
その丘を囲むように運河が流れ、 大小様々なボートが行き交っている。
丘の中腹にかけて、 真っ白な外壁にコバルトブルーの屋根の家々が立ち並び、 バルコニーには色とりどりの花が咲き乱れている。
通りには、 カラフルな市場が開かれ、 思い思いの色で着飾った人々が楽しげに会話している。
そして、頂には、 ガラス張りのドームが太陽の光を受けて七色に輝いていた。
「ようこそ!
虹の都、ポリス・イリスへ」
「虹の神イリスと我々が君を歓迎します」
少年は誇らしげにユラを見つめ、 ウインクした。
第一話、最後まで読んでいただき
ありがとうございました。
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