カチカチカチカチカチカチ山
意地悪たぬきがおりました。
たぬきは毎日誰かを騙したり、意地悪したり、とにかく悪さばかりしておりましたので、皆から嫌われ疎まれておりました。
「離せよ! 俺が何したってんだよ!?」
ある日たぬきは畑の野菜を盗んでいたところを、お爺さんに見付かり捕まってしまいました。
「悪いたぬき! お前をたぬき汁にしてやろう!」
お爺さんはお婆さんにたぬきの始末を命じて畑の後始末へと出かけました。
「おい婆さん! 俺を食うのは構わないが、山に残してきた小さな兄弟達が気がかりだ。別れを告げてくるから少しだけ縄を解いてくれないか?」
たぬきは涙ながらに訴えかけました。
振り込め詐欺に引っかかりそうなタイプのお婆さんは、たぬきの言う事を信じて縄を解きました。
「バカめ! その優しさが命取りだ!!」
たぬきはお婆さんにコブラツイストを仕掛けました。骨粗鬆症のお婆さんはなす術も無くマットに沈み、スリーカウントを迎えた後にたぬきは山へと逃げました。
帰ってきたお爺さんは倒れたお婆さんに涙し、その話を聞いた近所のうさぎは復讐を買って出ました。
うさぎは山で遊んでいるたぬきを見つけると、暫し知恵を巡らせ話し掛けました。
「やあ、もし良ければ私の仕事を手伝わないかい? 給金はたんまり支払うよ」
暇をもてあましていたたぬきは、うさぎの誘いに乗りました。
「この薪を麓まで運んで欲しいんだ。それも急ぎでね」
うさぎは薪をたぬきに背負わせると、火打ち石でカチカチと火花を出しました。
「ん? 何かカチカチと言ってるぞ?」
「ああ、この山に住むカチカチ鳥だよ。不思議な鳴き声だろう?」
うさぎはカチカチと火打ち石を打ち続けました。
──カチカチ
──カチカチ
しかし、中々火が付きません。うさぎは焦りました。
「どうした? 俺の背中に火を付けるんだろ? 早くしろよ……」
「―――えっ!?」
たぬきの言葉にうさぎの視界が一瞬揺らぎました。
「俺もバカじゃないさ。カチカチ鳥なんか居ないし、それにお前はきっと婆さんの仇を取りに来たんだろ? 俺もそろそろ年貢の納め時さ…………」
たぬきは悲しそうな顔で空を見つめました。
「貸して見ろよ。火打ち石はこうやってやるんだよ」
たぬきはうさぎに薪を背負わせ、後ろから火打ち石を打ちました。するとあっと言う間に薪は燃え、うさぎは火だるまになって麓まで逃げ惑いました。
大火傷を負ったうさぎを、お婆さんとお爺さんが看病しました。
たぬきはこっそりとお爺さんの家に忍び込み、火傷の薬を練り辛子とすり替えておきました。
「うさぎさんや、薬を塗ろう。早く良くなるといいね……」
うさぎの背中に練り辛子が塗られました。
「ア゛ーーーーッ!!!!」
うさぎのこの世の物とは思えない程に悍ましい悲鳴が山にまで届きました。
火傷も治り復讐に燃えたうさぎは、池の側で泥の船を作り、金箔を貼ってたぬきを待ちました。
「おお! 何と煌びやかな船なんだ!」
たぬきは金の船を見るなり池へ繰り出し魚釣りを始めました。しかし暫くすると泥が溶け出し船が沈み出しました。
「な、なんだぁ!?」
たぬきは慌て、釣った魚も次次と池へと逃げ出します。ついに沈んだ泥の船は、そのまま溶けて無くなり、金箔だけが池に浮かびました。
「おっ、ラッキー」
たぬきは金箔を回収しながら泳ぎ、そのまま池から上がりました。
「えっ……たぬきって泳げるの?」
金箔作業で全財産を失ったうさぎは復讐を諦め、お婆さんにお詫びのコブラツイストを決めましたとさ…………
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(*´д`*)




