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第11話:やりたいことが決まりました。

 あれから何とかサーシャとソフィを止めることに成功した俺は、今後の二人との付き合い方に関して、またしても夕食の席で両親に相談をした。


 相変わらずフィオラと軽い衝突はあったものの、両親の方は「今回は展開が読みやすかった」と言って、サクサク話を進めることができた。


 付き合い方……といってもそんなに複雑なものではなかった。

 とりあえず俺が何か〈偉業〉を成し遂げて一夫多妻を認められるようになるまで、対外的にはソフィだけとお付き合いしていることにしておき、〈偉業〉を達成した暁には二人と正式に婚約しよう、というものだった。


 俺が〈偉業〉を成し遂げるというのがさも当たり前のように盛り込まれている事はかなりプレッシャーではあるのだが、サーシャも幸せにすると決めた時点ですでに覚悟はできていたので、なんとしてでも達成して見せよう。


「しかしなあ、偉業って具体的に何をすればいいんだろう」

「コウタさんの魔法使いとしての実力を示せばいいんじゃないですか?」

「うーん。強大な魔獣でも倒せればいいんだけど、そんな危険な魔獣がホイホイいるわけないしなあ。だからってそこら辺の雑魚魔獣をいくら倒したところで偉業認定されるわけないし」


 結局、俺が活躍できるとすればそれは魔術か魔法の分野だろうという方向で一致したのだが、具体的に何をすればいいかまでは、皆考えられずにいた。


 母さんは「そんなに焦らなくても、サーシャさんが年頃になるまでに何とかすればいいんですよ」なんて言ってたけど、そもそもサーシャは年を取らないと思うし、あと数年あるからといってボヤボヤしてたら手遅れになりかねない。

 サーシャとしても、胸を張って俺の婚約者だと言い張りたい思いが少なからずあるらしい。となると、事は早ければ早いほど良い。


「余を見つけた洞窟で強い魔獣を倒したと言っておらんかったか?あれでは足りないのか?」

「いや、実績としては十分なのかもしれないけど、俺の手元には証明するものがない。厳密にいえば魔石があるんだけど、あれは明確な証拠にならない。魔獣討伐の様子を第三者に目撃されたわけじゃないから、例えばたまたま凄い魔石を拾っただけだろなんて言われたらそれまでだ」

「普通に考えてそんな魔石が落ちているわけがなかろう?」

「まあそうなんだけど、大昔に死んだ強い魔獣の魔石が化石みたいに埋まっていること自体はそれほど珍しくない。貴重な化石を発見したならまだしも、魔石だけとなると偉業と呼べるかは疑問だな」

「なんというか、やるせないな」


 まあ、いくら俺が鍛錬したからと言っても、あんなに簡単な戦闘をしただけで偉業認定されるのもちょっと釈然としないからそんなに気にしてはいない。


「強い魔獣ねえ……」


 いや、待てよ?あの事件は意外と興味深い点があるかもしれない。


 あの時、魔獣たちは確かに声の主に従っていた。つまり、魔獣をコントロールする術がある、という可能性が高い。

 しかし、一般的な魔獣は理性を失くした存在であって、見つけたものを手当たり次第に襲うことしかしないため、調教などといったことは不可能だ。

 その魔獣に、襲うか襲わないかの指示を出せる程の影響を与えることができるのは魔術くらいであろう。


 もし、その仮説が正しかったとして、俺がその魔術を開発できたならば、それは間違いなく偉業になるだろう。

 そういった魔術の開発は、魔獣による被害が無くなることに等しいのだから。


「もし、俺が魔獣を操る事が出来る魔術を開発したら、それは誰も文句が付けられない偉業になるんじゃないか?」

「確かにそうかもしれんが……そんな事が可能だとすれば、とっくの昔に発見されているような気もするがの」

「まあ、試してみるだけ損はないんじゃないか?」


 ひとまずの方針を固めた俺は、まず、身近で魔術への造詣がある程度深い人に相談してみることにした。




「……というわけなんですが、どう思いますか?先生」


 相談相手は、俺が幼少時代に魔法を教わったカール先生だ。


 この先生は相変わらず今にも死んでしまいそうな感じなのだが、昔と比べても全く衰えたように見えないので、今では不死(アンデット)なのではないかと思ってしまいそうだ。


「ほっほっほ。相変わらず坊ちゃんは面白いことを仰られる。そんな魔術あるわけないのですじゃ。まだまだ、この天才にも間抜けな部分があるようですな」

「どうしてそう思われるですか?」


 俺は、これがチャンスとばかりに積極的に煽ってくる老先生に少しイラつきながらも、何とか感情を抑えて質問した。


「そもそも、相手を操る魔術自体、伝説上の存在。古文書にそれらしき魔術を示す絵と魔法陣は書かれているのですが、そこに書かれていた魔法陣を書いて試してみてもうまくいきませんのじゃ」


 あー、その件か。

 それは後世の人が悪用しないように魔法陣が一部改変されていて、その改変の正体が古文書を紐解くとわかるようになってるんだけど、現代の人がそこまで古代語を解読できてないから不可能だと考えるのは無理もない。


 ちなみに俺は神様からもらった言語解読の能力があるので読めてしまった。


 サーシャに書かせた誓約書に、魔術的な束縛効果があったのもそのおかげだ。


 更に言えば、魔法陣に使われる古代魔術文字も読み解くことができたので、原理さえ間違っていなければ一から魔法陣を構築することも可能だ。

 現代の人々は、古文書に書いてあった魔法陣を暗記したり、転写したりして決まった魔術を使うので、そのような芸当が出来るのは世界に俺だけということになる。


 なぜそのような事態になっているのか端的に説明すると、古代人が魔術を乱用して人類が滅びかけ、それを何とか防ごうと努力した魔術師たちによって人類は滅亡せずに済み、古文書として魔術も生き残ったからである。


 生き延びた新人類は、その古文書のおかげで魔術をゼロから発明しなければならない事態は避けられた。

 しかし、その代償として、古文書に頼り切って魔術を使ってきたせいで、新たな魔術を開発するという発想すらなくなってしまった。


「では、仮にそのような魔術が存在したとして、それでも魔獣を手懐けることは出来ないのですか?」

「そればっかりは実際にやってみなければ分からないですが、出来ない可能性は非常に高いと思いますじゃ」

「何故です?」

「私の考えが正しければ、そういった魔術の効果は相手の理性を支配して自分の意のままに動かすものですじゃ。つまり、理性が存在せず、本能だけで行動する魔獣にはそれが通用しないのですじゃ」


 確かに言われてみれば一理ある。というか、それが事実なのだろう。


 古文書に書かれていた魔法陣も、理性を支配、又は誘導することによって対象を操る内容だった。

 ある程度調教可能な、つまり、学習能力がある動物くらいなら効果は見込めるのだろう。

 だが、その学習能力すらない、本能の塊のような魔獣にそういった類の魔術は通用しないと思われる。


「だとすれば使い魔みたいな感じなのかも知れないな」

「使い魔といいますと?」

「本来の意味だと、魔術師や魔法師が絶対的な主従をもって使役する、知能の高い生物みたいなものです。魔獣が知能ある生物とはとても言い難いですけど、絶対的な主従という点は似てるかなと思ったので」

「そのような存在は聞いたことがありませんが……しかし絶対的な主従というからには、やはり魔術的束縛があると思いますじゃ。そうなるとやはり理性がないと術がかからないことになりますじゃ」


 考えても全く分からない。うーん、そうなると自分自身で使い魔を作って実験してみるのも一つの手かもしれないな。

 「論より証拠」とも言うし、一度実際にやってみようか。


 使い魔を作る方法として今のところ思いつく方法は二つだな。


 一つ目は召喚。

 別世界とか別次元とかから、知能ある生物を引っ張ってきて服従させる方法。


 しかし、これは現実的じゃないな。

 同じ世界の中で転移したりするのは、まだ魔法で可能かもしれないけど、別世界と繋がる方法なんて見当もつかない。

 それに、もし運良く別世界につながったとしても、召喚に失敗してヤバイ奴がやってきて世界滅亡しましたとかになったら目も当てられない。


 二つ目は降霊。俺が神様に呼ばれたとき、その場にあったのは多分俺の魂だけだし、「精神力」なんて概念があるくらいだから魂は存在するのだろう。その魂を動物に無理やり押し込んで知能を与える。


 正直、魂を押し込んだくらいで知能が備わるなんて、意味不明な理屈だ。いくら魂に人格があるからと言っても、その動物の脳は発達しないわけだし。

 でも、召喚よりは危険性が少ない。元になる生物を猫とかにしておけば、中の人がどうあがこうが俺には勝てないだろう。


 以上を踏まえて、俺は降霊術によって使い魔を作ることにした。

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