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銀滅のドラゴンロード 〜最後の龍王〜  作者: 翡翠宮
第1章 動き出す時間
5/13

動き出す時間 #4

*が10個は夢、もしくはそれに準ずるモノ。

*が5個は回想、もしくはそれに準ずるモノ。

気付きましたか?


 (ドラゴン)の変身術は無制限ではない。どういう事かと言うと、変身後の姿にはどうしても各々の()()が混ざり込むのだ。

 例えば俺の場合、白銀を主とした鱗を持っているため、人族の姿になると髪と瞳が白に近い色彩で形成されてしまう。肌の構成に関してだけは、人間味を維持出来ているのが唯一の救いと言えるだろう。詰まるところ、変身後の色彩は選択出来ないということである。


 「ルージュは燃えるような朱色だったな……」


 俺は目元近くまで伸びている白色の髪を弄りながらぼやいた――――





 龍が通れるように整備されていた樹海の道は、人間サイズである今の俺にとっては大き過ぎるものだった。

 そして何故、こんなにも小さく矮小な生き物に俺たち龍族は負けたのかと考える。


 「俺たちは人族を知らな過ぎた……いや、知ろうとしていなかったのかもしれない」


 あの時、もっと俺がルージュの言葉に耳を傾けていれば……


  *  *  *  *  *


 『ルージュは何でそうまでして人族の形をとりたいんだ?』


 ルージュに変身の術を教えている傍ら、こう尋ねた時があった。人族への変身を考案したのは俺だが、あれは深く考えず、溜息と一緒に吐き出したような策だ。

 そんなどうでもいい事に、なぜここまで執着するのか聞いてみたくなった。俺なりの一種の意地悪でもある。だが、ルージュは――


 「同じ姿になれば、より深く分かり合えると思うんだ。シュネーもそう思ったから言ってくれたんでしょ?違うの?」


 またも変身に失敗し、尻尾が見え隠れしているルージュが放ったそのセリフに、呆気にとられたのを覚えている。表も裏もない純粋な好意。俺には到底真似出来ず、更に先を走っていくルージュに嫉妬をした瞬間でもあった。

 そこから俺は真面目に変身術をルージュに教えるようになる。その先を見てみたいと、本気で思ったのだ。こいつの目指す世界を……


  *  *  *  *  *


 あの時の俺はそれが正しいと思っていた。「傍観」が正しい選択だと……でもそれは違った。


 《共に歩まなければならなかったんだ》


 置いて行かれているのを理解しながら、傍観を決め込んだ俺は、どうしようもない大馬鹿者だ!


 ――それが今になって後悔という形で表れている。滑稽なものだと俺は思い、高い木々の隙間から漏れる光を仰いだ。

後悔が多すぎて設定した私も後悔してます……もう少しで、もう少しで……

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