プロローグ
――『龍人界大戦』
エルフ、ドワーフ、そして人間を筆頭とする人種と龍を筆頭とした人外種との世界を巻き込んだ戦争である。
事の発端は、人族による人外種の虐殺……と言ったら聞こえが悪いが、事実そのように表現する者が多い。
人族にとって人外種は狩りの対象となっていたためだ。だが、生きていくために必要な事である狩りを虐殺と表現するようになったのは、この大戦の後の事である。
それまでは、人が豚や牛、鹿などを殺すように人外種を殺していた。それが当たり前であったからだ。そして、人外種勢もある程度は容認している節もあった。
だが、人族は決して手にかけてはいけない者を手にかけた。それが『女王龍』である。樹海の奥深くに住処を構える女王は一生をそこで過ごすため、人前に出ることはまずない。故に人族にとってはこの上ない希少価値のある生物である。
そこから先は言うまでもないだろう。欲に目が眩んだ人族によって女王龍は討伐されたのだ。流石の人外種たちもこれは黙っていなかった。女王は全ての人外種たちの光であると共に道標となっていた者だ。その女王を殺されて黙って見過ごす程、人外種たちは寛容ではない。
女王龍討伐の知らせは世界各地の人外種に知れ渡り、そこから大戦に発展するにはそれほど時間がかからなかった。
中でも最も怒り狂ったのが、女王龍の番である龍王である。龍王は怒りに荒れ、世界中に人族の街を襲い、そのすべてを灰に変えていった。だが、そんな龍王もとうとう人族の手によって討ち取られた。そして龍王の討伐を発端に徐々に世界大戦は終息し、人族連合の実質的な勝利となった。
皆さんこんにちは。読んで頂きありがとうございます。
少々暗い開幕となりましたが、基本的には光路線です。心配しないで下さいね。