君が殺したのには変わりない。
これは雷さんの作品の「君を殺すつもりなんかなかったんだ」のその後となります。
許可は取ってあります。
是非雷さんの作品を読んでからこちらをお読み下さい。
それと、こちらもだいどぅsideと李sideに分ける予定です。
突然、ツイッターのダイレクトメッセージにこんな文が来た。
『明日、君に伝えたい事があるので会えませんか?』
送り主は李さん。雷の親友だ。
一応、午後からなら時間は空いていた為『大丈夫ですよ。』と
簡易的に返す。
数分後、返信が来た。
『なら、15時に貴方が雷と会った喫茶店で待ち合わせしましょう』
良かった。空いている時間だ。
そう思い、『了解です』と返した。
翌日、用事を済ませて出掛ける準備をする。
家を出ると足早に駅に行き電車に乗った。
席に着き、ふぅと一息つく。
考え事をしている合間についてしまった。
数分もすると喫茶店に着いた。
外から店内を見る。まだ李さんはいない様だ。
外で待っていようと壁に凭れ掛かった。
「こんにちは」
ふと横から声が聞こえる。声の方向を見た。
「こんにちは、李さん」
その人物は私を呼び出した張本人、李さんだった。
挨拶を返すと喫茶店ではなく他の場所へ行きましょうと言われた。
相槌を打って李の後に付いていく。
来たのはカラオケやイオンではなく、
高層ビルの屋上だった。途中の会話を聞く限り許可は取っているようだ。
「それで……伝えたい事とは?」
これが一番聞きたかった事だ。これを聞く為に来たのだから。
「………雷が死にました」
つい、は?と言ってしまう。雷が死んだなんてありえない。
嘘だと言って欲しい。
「発砲自殺でした………俺が…やりました……」
そんな願いは叶わず現実を突きつけられた。
李が殺ったという事実も添えて。
思わず李の胸ぐらに掴みかかった。
「なんで殺した………ふざけんな!!!!!!!」
突然大きい声を出したからか、李がビクリと怯える。
怒りが湧いてきているのに涙が溢れてきた。
必死に両手で拭う。一人にして落ち着かせようと思ったのだろう。
トイレに行くと言って屋上を去っていった。
かなり気が落ち着き、李が帰ってくるまで空を見上げていた。
カチャリと扉の音がする。
「あ、来ましたッ……」
帰ってきたのを確認し李と目を合わせた瞬間だった。
少し後ろによろけ、尻もちをついた。
[立て]
勝手に体が動く。まるで先程の命令を聞くかのようだった。
[屋上の端に立て]
再び命令が聞こえると同時に屋上の端に立つ。
カタカタと足が震える。
心なしか呼吸も少し荒げている気がする。
震える身体を必死に動かして李の方を向いた。
「………えっ………」
小さな声で呟いた。何故か李は哀しそうな顔をしていたのだ。
なんでそんな顔を、と言おうとした時
[飛び降りろ]
投身自殺をしろという命令が下った。
嫌なのに勝手に体が動く。
一歩、二歩とどんどん足場のない方へと後退った。
彼は泣いてしまった。
落ちる瞬間、「後で追うから待っていて」
と聞こえた。
追うとはどういう意味だ。理由を聞こうとすると体が軽くなる。
段々と李から離れていき、遂には見えなくなってしまった。
記憶が滝のように流れ込んでくる。
懐かしい記憶、思い出したくない記憶、全てを思い出す。
走馬灯か、これで死んでしまうのか。嫌だった、まだ生きていたかった。
ポロポロと再び涙を流す。涙は速さについてこれず少しの間止まってから追ってきた。
雷と会えるならいいか。
そう思うと同時にバキッという嫌な音が響き渡る。
民衆の叫ぶ声が聞こえるが気にしない。
瞼を閉じると永遠の眠りについた。