幼少期
先日短編で投稿したものですが、次話投稿出来ない事に気付いて連載へと切り替えました。
-私はどこで間違えたのだろう。
-ワタシはどこで間違えたんだろ。
-私にとってあの子は最初で最後の…
-ワタシには勿体ないくらいの…
--大切な親友だったのに--
『私の場合』
物心がついた頃には既に母は居なかった。
父は殆ど朝から晩まで仕事に出ていて、私の世話をする為の家政婦さんを母だと勘違いしていたそうだ。
家政婦さんが母ではないと理解出来たのは保育園に行き始めて少ししてから。朝は父に連れられて保育園へ。夕方には家政婦さんが迎えに来てくれていた。
他の子はお迎えが来たら「〇〇ちゃんのお母さん」、「〇〇くんのお父さん」なんて挨拶をしている先生が「家政婦さん」と言うのだから子どもながらにも察してしまうものだ。
どうして私には母が居ないの?
幼い私はそんな疑問を父に投げ掛けた。いつも優しい父がその時だけは般若の様に両目を吊り上げて厳しい口調で私を説いた。
アレは母親になど成れる人間ではなかったのだ。母ではなく、女である事を選んだ欲に狂った獣だ。
お前には俺が居る。俺が立派な人間に育ててみせる。アレの事など知らなくて良い。知ろうとするな。知っても悪影響でしかない。
幼い私は父の変貌ぶりに恐怖し、尚且つ聞き慣れぬ難解な言葉の羅列に困惑し、母の事は考えてはいけないのだと、幼心に母という存在に封をしました。
『ワタシの場合』
物心ついた時、既に父は居なかった。
男なんて碌なもんじゃない。
それが酔った時の母の口癖の1つだ。朝から夕方まで仕事をして、保育園にワタシを迎えに来て、夕飯の支度をして、2人で夕飯の席に着くと母はビールの缶に口を付ける。
朝早くからワタシの為にと頑張ってくれている母が唯一ひと息つける時間。
幼いながらも感謝を伝えようとワタシはその時間は母の肩叩きマシーンとなるのが日課だった。
あんたさえ居てくれれば母さんは幸せだよぉー。
そう言いながら身体を捻り、アルコール臭い息を吐きながらワタシを抱き寄せて、こう続けるのだ。
片親で、貧乏で、寂しい思いさせてごめんね。
ワタシは、そんな事ないよとは言わない。ただ、黙って母を抱き返すだけ。
片親だからって嘲笑うおばさんや揶揄う男の子も居るし、可愛い服きた女の子が妬ましくもなるし、母と一緒に居れる時間は意外と少なくて寂しくもある。
だけど、それ以上に母の事が大好きだから。父が居なくても、貧乏でも、寂しくったって気にしない。幼心にワタシは母の事を1番に大事にしようと決意しました。
『2人の出会い』
その2人は対称的な児童でした。
同じ片親という環境ではありましたが、父子家庭と母子家庭という違いに因るものもあったのでしょう。
毎日可愛らしい服を着て父親と手を繋ぎ登園するその子はあまり感情表現の得意な子ではありませんでした。
毎日一見して安売りの服を着て母親と登園するその子はいつもニコニコと何事も楽しく過ごす溌剌とした子でした。
一方は裕福でもの静かな子。いつも1人大人しく座って絵本を好んで読んでいる子。
一方は貧乏だけども元気な子。いつも暇さえあれば男児に混じって元気に走り回る子。
ある日、家政婦さんが急な所用でお迎えが遅くなるとの事で延長保育になったその子はお迎えが来るまで好きな絵本を読もうと考えました。
その日、母親のパートが残業になるとの事で延長保育となったその子はお迎えが来るまで何をして遊ぼうかと考えていました。
珍しく延長保育の児童は2人だけ。
遊び足りない女の子は絵本を読んでいる女の子に話しかけ、すげなくお誘いを断られたようです。
しかし、めげずに遊びへと誘う女の子に根負けしておままごとをする事に。
こうして対称的な2人は出会いました。
5.6話で完結する予定です。




