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魂 第一話 不運の行方

初めまして!ハジェリと申します!


拙い物語ではありますが、一生懸命頑張りますので宜しくお願い致します!


あまり言葉を知らない素人作品なので、温かい目で見守って頂けたら何よりです!



ーーー俺は昔から運が悪い。






「よし、準備完了。」


 俺は明日発売の新型スマートフォンであるマイフォン7DEATHを手に入れるため、まだ深夜ではあるが出発の準備をしていた。


 この日の為に溜めたお金の最終確認をし、長時間並ぶので食料にはカロリーメイドを、暇潰しが出来るようにゲームをリュックサックに詰め込んだ。


「いざ、疾くゆかん!!!」


 気合いを入れてドアノブに手を掛け、玄関扉を開いた。そして玄関の鍵を閉めて振り向きざまに走り出した時、真っ黒い何かにぶつかってしまい思わず尻もちをついた。


「……え?」


 ぶつけて痛む鼻を抑え顔を上げる。

 するとそこにはこちらを見下ろす3メートルはありそうな巨大な死神がいた。


 黒いローブで全身を覆い、手には明らかにやばそうなデカい鎌を握っている。

 フワフワと浮いてこちらを見つめているが、その目には眼球がない。

 だって骸骨なんだもん。

 でも完全に見つめられているのが分かった。

 だって顔が真っ直ぐ俺の方向いてるんだもん。


 怖いよこの人。人じゃないけど。


「あ、あのー。」


 このままでは勝手に命を摘み取られそうな気がしたので、とりあえず話かけてみることにした。

 せめて刈り取られるにしても説明くらい受けて覚悟を決めてからにしてほしいからな。


「し、失礼ですが……どなたさまでしょうか?」


 丁寧に質問してみたが、ジッと見下ろすだけで微動だにしない。

 無視か…。日本語分からないのかな。


「あー・ゆー・リーパー?」


 戸惑いのあまり何を言ってるのか分からなくなってきた。でもリーパー?の発音だけは完璧だった気がする。


 …………。


 だめだこの人。意思の疎通出来ないタイプの人だ。コミュニケーション障害か?

 こうなったらやるしかない。


 俺は身振り手振りして色んな事を質問してみることにした。


 まずは簡単なやつからにしようと思い、死神さんを指差してから次に自分を指さす。その後、デスサイズ様(巨大な鎌)を指差した後、振り上げて首を刈り取るジェスチャーを送る。

 そして最後に脇腹につけた両肘を曲げて、両手の平も上に向けて首を左に傾ける。


 完璧だ。ユーは私の首をその巨大な鎌で刈り取るつもりですか?この完璧なジェスチャーで伝わっただろう。

 

 死神さんを見てみると、髑髏を(わず)かに下げて(うなず)いて見せた。

 

「よっしゃ!!伝わった!!!ギャー!!!!!!!」


 やべえ!!やっぱり刈り取るつもりだ!!!逃げなくちゃ!!!!つーか逃げられるのか?3メートルもの浮遊系モンスターが強力な武器を手にしてるってのに逃げられるのかこれ!?


 パニックになりながらも震える足をつねくって覚悟を決めた。イメージだ!誰かしらがイメージが大切だと言っていた気がする!!


 瞬時に振り返り、少しのミスも無く慣れ親しんだドアノブに鍵を突っ込んで家に入る。

 すぐに鍵をかけて、それでもドアを壊してくるようなら勝手口から逃走。これでいくしかない!


「い、いざ!!」


 逃走を決行し身体を捻った。しかし一瞬デスサイズ様(巨大な鎌)が見えた気がした後に、俺の電源(いのち)は強制終了されたのだった。


 この若さで死神が命を刈り取りにくるだなんて……。


ーーーーーやっぱり俺は運が悪い。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「う……ん。……ここは?……真っ暗で何も見えないな。」


 俺は確か……マイフォンを買いに行こうとしてたんだよな。そしたら玄関先で髑髏(どくろ)の……そうだ!死神にデスサイズで首狩サイズされたんだ!!!!


 夢だと思いたいけど……なんか身体がおかしいんだよな。フワフワしてる感じがする。無重力…ともちょっと違うけど風船にでもなったような感覚。となるとやっぱりあの時死んだのかな。


 このまま天国行きか。三途の川渡らないんだなぁ。爺ちゃんが川の向こうで手を振って待ってるのかと思ってた。


 そんな事を考えながら真っ暗闇の中をフワフワと漂っているとやがて扉を(かたど)ったような光が見えてきた。

 近づいていくとそれは黄金のようなもので出来た輝く門だった。


「これが天国への入口か。確かに神々しいな。」


 門の前に辿り着いたはいいがこれどうしたら良いんだ?門番がいるわけでもなく、自力でも開けられないし。

 しかも扉以外は何故か何も見えないんだけど、複数の何かがいるような気配を感じる。


 どうにも出来ず只管(ひたすら)佇んで待っていると、突然門が開きだした。

 死んだのは悲しいが、とりあえず今はぼけーっとフワフワしてるより先に進みたい。天国はどんな所なんだろうか。


 さぁ、門が開いた!!(まぶ)しいぞ!!!オラワクワクしてきたぞ!!!!


 そしてフワフワと門前へ進んでいくと開いた門から天国の景色が見えた。


「……………地獄じゃねーかッ!!!ふざけんなぁ!!!!」


 それは心からの叫びであった。


 だって地獄に突き落とされる程悪いことした記憶が無い。ボランティア活動を積極的にしていたとかは無いが、駅前で募金活動している人がいれば募金もした事があるし、電車でお年寄りがいれば席だって譲っていた。

 人も殴ったこと無いし、万引きもしたことない。人並みに普通に生活してきた。


 だが俺が天国の門だと思っていたのは地獄の門だったらしい。ケルベロスくらいいてくれりゃこんなに期待しなかったのに。


 あっ!!もしかしてあれか!?小学生の時に友達から借りてたゲームを返し忘れて借りパクしたことか!?


 いや、そんなはずは無い。こないだの成人式の時に謝ったら笑い話にして許してくれたからな。


 俺の人生を回想していると、気付けば俺の後ろにいた人達………人魂達が邪魔だと言わんばかりにグイグイ押してきた。

 何かがいるような気配は人魂さん達だったのね。なんで門前の暗いところで光らないんだろうね。

 まぁ、今はそんなことは気にしていても仕方ないか。というかグイグイの圧力増してきたから先に進もう。


 門を潜り抜けるとそこはもうあからさまな地獄だった。360度地獄の景色だ。360度負のオーラしか感じないぞ。


 なんか山は緑が一切無い剣山みたいな岩山だし、空は怪しく赤黒いし、至る所で溶岩の池みたいなのグツグツしてるし。

 それに何なんだあの空を羽ばたく凶悪そうな面した鳥は。天使ですなんて言われたら即座に撃ち落とすくらいに人相悪いぞ。人じゃ無いけど。


 立ち止ま……フワフワと浮き止まって周囲にツッコミを入れているとまたしても人魂さん達がグイグイと押してくる。


 わかったよ、進むから落ち着き給え人魂さんや。


「でも、グイグイされてもどこに進めばいいか分からんのよ。」


 今のところ地獄らしきここには道標や道が無い。自由にどこへでも冒険出来そうなくらいに広々としている。

 地獄の冒険者王に俺はなる!!などとアホな考えで道を外れて好きに動く勇気は俺には無い。

 地獄に来てしまった以上あるであろう裁きが重くなるのが怖いからな!!何とでも言うが良い!!!

 怖いもんは怖いんだ!!!地獄の本を読んだことのある俺は素直に従うほか無いんや!!!


 しかし道が無いんじゃ急かされても後ろの行列を先導出来なくね?と思ったが何故か向かうべき方角が感覚で分かった。何これキモい。 


 自らの震える(たましい)(たましい)を鼓舞してフワフワと勇猛果敢に進んでいく。

 たくましいたましいだぜ。


 俺が進むと後ろの人魂さん達はずっとついてきた。一度だけふざけて全力でフワフワと進んで行き、突き放したところで岩陰に隠れたら戸惑ったようにウロウロしていた。

 ピョコッと岩陰から出て行くと慌てて人魂さん達は俺の元に来た。

 なんか健気に見えて心が痛んだ。ごめんよ。


 そして気付いた事がある。俺と他の人魂さん達は少し違っているみたいだった。


 さっき普通に振り切る事が出来た。最高速度が違うのだろうか。俺の魂って高性能だったのかな。


 そしてもう一つ。俺魂(おれだま)には手が生えていた。ぬペっとしたツルツルの可愛らしい短い手だ。少し透けてるけどね。


 そして最後の違いは確定では無いが、俺魂には顔がついてんじゃね?って気がする。

 眼を動かして周囲を確認出来るし、口を動かす感覚を引き連れて発声が出来ている。

 ただ、鏡もないし声は喋ってるつもりなだけで実は出てない可能性もあるので会話してみないと分からん。

 因みに人魂さん達とは会話出来なかった。


「しかし長いなぁー。これどこまで行けば良いんでしょうね?どう思いますか金子さん?」


「……。」


 返事は無い。ただの魂のようだ。


 因みに金子さんとはいつも俺のすぐ後ろにいつも人魂さんの仮の名前である。愛称があれば親しみも湧くってものだ。


 溶岩のような池を既に8ヶ所は通り過ぎた。荒廃した大地を突き進むだけってのは何となく精神的に苦痛だったので、返事は無くともフワフワしながら金子さんに話し掛け続けたのであった。



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