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第13話・御嬢様メイドの連戦地獄巡り

控え室での三獄士との一悶着からの数時間後…リクスは再びメイド剣闘士クリスとしてリングに立ち、襲い来る様々な相手と戦った。ちなみに破れて使い物にならなくなったメイド服は自分の出番が回るまでの間に闘技場をコッソリ抜け出して再びメギドの町の風俗店から新たに調達してきたが気にしてはならない。


「オケッ!オケッ!オケケケケケケケケェエエエエエーッ!!」


「甘い!!」


「ケケェッ!?」


第二回戦…顔に赤いトーテムポールの様な意匠がある仮面を着け上半身は毛むくじゃらな上に奇怪な紋様を刻んだボディーペイントを施し下半身は腰簑一丁という何処かの原住民のいでたちをし巨大な葉っぱで出来たマントを羽織る蛮樹精(キジムナー)族の剣闘士・ムジャラは奇声を発しながら石槍で突いてきたがリクスは背中を大きく反らして上手く回避し、更に尻尾でムジャラの石槍に絡めて乱暴に奪い取った。


「ひっ、人の物を盗るとはっ…!?ドロボウ!!」


「人の武器を使ってはならないなんてルールは無いハズだろ?」


ムジャラはリクスをドロボウ扱いして見苦しく喚き散らすも闘技場のルール上『相手の武器を奪って使ってはならない』などとは決まってはない、そもそも相手から武器を奪われるなんてことは剣闘士としては何よりの恥…彼女が強いから奪い、ムジャラは弱いから奪い取られた。ルール以前に魔界の弱肉強食の定義になんら反してない。


「敗者は潔く散れ。」


「ゲハァッ!?お、お前ぇえええ!!ゲボッ…ゴポォッ…!!」


リクスは別段思うところは無いらしく、なんら迷いもなく淡々とした態度で石槍を振るい、相手の心臓目掛けて刺し貫いた…ムジャラは胸から大量の血飛沫を撒き散らし、口から苦しげに噎せながら血を吐き、その場から崩れ落ちて絶命した。


休みを挟まず、続いて第三回戦…。


「アナタだけは絶対に許さない!メイド剣闘士のクリスゥウウウウウーッ!!」


「…?」


今度の相手は頭に兎の耳、額に一本の螺旋状の角を生やした白髪のロングヘアーをしたバニーガール風の格好をし、足にハイヒールを履いてる人間の女性に似た兎型の魔族・一角兎(アルミラージ)族の女性剣闘士のシャミアン…ただならぬ怒りを露わにしてリクスに飛び蹴りを放ちながら襲いかかってきたため、リクスは不思議そうに首を傾げながら尻尾でガードして受け止める。


「フーッ…!!フーッ…!!」


「何をそんなに怒ってる?私が許せない、だと?貴様とは初対面のハズだが…?」


「うるさい!ダマレ!!」


息を荒げながらシャミアンはハイヒールの踵をリングに叩きつけると爪先から刃を突き出させ、怒りに任せた怒濤の連続蹴りを鋭く繰り出してきた。リクスは何故そんなにも彼女が自分に対して憎悪の激情をぶつけてくるのか理解が出来ずにキョトンとしつつもチャッカリ全部かわしていった。


「アナタ…よくも、よくも私のお店の娘達から制服を剥ぎ取っていったわねぇえええ!!」


(あぁ、なるほど…そういうことか?)


シャミアンからとんでもない暴露(カミングアウト)がぶっちゃけられた。どうやらシャミアンはリクスがメイド服を奪い取った店員の女性達と同じ店に勤務していた店員だったらしい。その発言でようやくリクスは自分が初対面のシャミアンからここまで恨まれてるのかを察した、が…しかし。


「…なんのことだ?」


「はぁっ!?」


「知らん、と言っている。私がそんなことをしたという証拠がどこにある?盗んだとか言っているが、目撃者はいるのか?」


「コイツ…!?クッ…そ、その今まさに我が物顔で着ているメイド服が何よりの証拠よ!!ウチの店の娘達の制服と全く同じで…!!」


「それこそ全くの偶然だな、私の御主人が支給してきたメイド服がたまたまそういうデザインだっただけだ。」


…リクスはスッとぼけた。ミステア戦の前の夜と今回とで風俗店の女性店員からメイド服を強奪こそはしたがどちらの件も目撃者がいないことをいいことに証拠に知らん顔をしたがシャミアンがそれで納得してくれるハズもなく、メイド服のデザインが明らかに 自分の店の店員が着ていたものと一致していたのを証拠として挙げるもののリクスは速攻で有りもしないウソメイド設定で全否定した。


「ふっざけんな!!そのメイド服ごと化けの皮剥がしてやるゥウウウウウ!!」


「なんのことだかサッパリなんだが…なッ!!」


「くふぅううう!!?ガハァアアッ!!このドロボウ!!」


「…いいから永久に黙ってろ。」


「うぶッ…ヴォエエエ…!!お、お前なんて死んでしまえぇえええ!!」


シャミアンは憤怒の形相で渾身の蹴りを撃ち込むも、リクスは彼女の右足を締め上げて逆さ吊りにするとハイヒールを奪い取り、口封じを兼ねてシャミアンの喉にハイヒールの刃を突き立て、赤い噴水を噴き出させて殺害した。シャミアンはその美しい顔を般若の如く歪めさせて呪詛の言葉を吐き散らしながら息絶えた…。


「あの、クリス選手…今のシャミアン選手の発言は…?」


「なんだ?司会者?敗者の弁など信用するつもりか?」


「あっ…い、いえ、ハイ。そうですね…。」


勝てば官軍、勝ったものこそ正義、例えどんなウソも勝ちさえすれば真実となる。司会者はとても物言いたげにリクスに問いかけようとしたが彼女の『私は無実だ』と言わんばかりに揺るぎ無いその自信に圧され、黙るしかなかった…。


怒濤の第四回戦…。


「ギーガァアアアァッ!!」


「小賢しいなッ!!」


埴輪の様なのっぺりとした顔、縄文人風の鎧姿を思わせる外見をし、全身の所々に入った亀裂から炎を漏らしてる大柄な素焼きの土人形型の魔族・迦具土(カグツチ)族のカムナビが炎に包まれた矛の切っ先をリクスに向けると無数の火炎弾を発射してきたが彼女はこれを忍者さながらアクロバティックに回避した。


「ふぅッ…流石に、疲れてきたな。なら簡単に済まそう。」


「ギーガァアアア!!」


「そらっ。」


「ギー!?」


四回連続の戦いで体力が段々尽きてきたためか、リクスは自身目掛けて突撃してきたカムナビの足元に尻尾を伸ばして引っ掛け、盛大にスッ転ばせた。


「ギガ、ギガガガッ…!!」


「鬼熊狩りの時のアレがこうも上手くいくとはな…狩猟民族(ギャスク)達の狩りの知恵というものは中々に役立つ。」


転んだ衝撃のせいでカムナビの素焼きの土くれボディはアチコチ破損してしまい、動こうにも動けない…細い何かに相手の足を引っ掛けさせて転ばせるこの方法は以前、帰らずの森で鬼熊(オニグマ)に追われていた時にギャスクが即席で仕掛けた罠を参考に咄嗟にリクスが思いついたものであり、効果は抜群だ。


「砕け散れ、泥人形。」


「ギーガァアアアアアアー!!」


リクスはすかさず炎の矛を奪い、カムナビの無防備な背中に勢いよく突き立てた…そして全身に元から入っていた亀裂が更に大きく広がり、音を立てながらカムナビは断末魔と共に砕け散り、後に残ったのは屍代わりの燃える破片の山のみだった。


「今日だけでなんと四人抜き!!とても新人とは思えません!勝者はまたもやクリス選手ゥウウウウウ!!」


「「「わぁあああああ!!」」」


司会者の勝利宣言と共に観客達の歓声が上がる一方、闘技場の中央部に設置された全体を見渡すことが出来る場所であると共に運営者や一部のゲストが集うゲストルームでは…。


「ぐぬぬ…あの新人剣闘士、ヤバいでチュ…あんなに勝たれると賭けの倍率の釣り合いが取れないでチュ…大損でッチュ!!」


「イヤニァアアアン!!そんなのイヤニァアアアアアン!!」


賭博場『ソドム』と闘技場『ゴモラ』の経営者(オーナー)である全身が鉄で出来た小柄な鼠の様な外見をした金属生命体型魔族・鉄鼠(テッソ)族のゲバチョーと頭にチョンマゲを生やし不細工な顔をした大柄な和服姿のデブ猫魔族・猫叉(ネコマタ)族のゼニニョンはリクスの善戦ぶりに難色を示していた。新人だからと最初こそは大目に見ていたもののそう何度も勝ち星上げていくとなると賭けの倍率に影響が出てきてしまうからだ。運営する身としてはリクスが偏る様に勝ち続けてると彼女ばかりにしか賭けなくなってしまいその分の金を欲にまみれた愚かな観客共に金を支払わねばならなくなる…私腹を肥やす彼らとしては非常によろしくない事態である。


「ど、どうするニァアアアン…?このままじゃお金がガッポガッポ入らないニァアアアン!!」


「心配ないでチュ、連続で戦わせてるから幸いあのクリスってメイド剣闘士は疲弊しきってる状態でチュ…潰すなら今しかないでチュ!!」


焦るゼニニョンの狼狽える様子とは反対にゲバチョーは運営側の強権を発動…デビューしたばかりの新人な上に連戦に次ぐ連戦で体力を大分消耗してるリクスを確実に、且つ、全力で潰しにかかるため、最悪な相手を用意した。それは…。


「やれやれ、また始まったか…オーナー達のイカサマが。」


「まぁ、我々としては依頼料(ファイトマネー)を支払ってくれれば問題ないんだガネ?」


ゲストルームのソファーで各自ふんぞり返り、寛いでいた三獄士の面々だった…そう、彼らはゲバチョーとゼニニョンとグルであり、表向きこそは人気と実力の高い花形剣闘士ではあるがその裏では運営者二人の指令の下に神聖なる闘技場の賭けの倍率と摂理を乱す邪魔者を排除する殺し(ヒットマン)というもう一つの顔もあったのだ。


「で?オレ達の内、誰が行くんだ?あのメイド様はサベッジ卿を御指名していたようだが?」


「ワタシはパス、何が悲しくて一方的且つ理不尽な殺意剥き出しの相手をわざわざ喜ばせる様なことしなけてはならんのカネ…そういうモナーク君こそ、どうダネ?」


「おいおい、このオレがあんな

運がいいだけの小娘如きに本気で戦えと?」


誰がリクスを始末するのかを話し合うが、サベッジは控え室での一悶着で彼女から中年がキライなどというふざけた理由の因縁を付けられた事を根に持ってるためか乗り気でなく、話を振ったモナークはというとリクスが自身を楽しませてくれそうな強者ではないと見下しこちらもまた乗り気でなかった…と、なると、残るはただ一人…。


「はぁあああ…仕方ない、それでは我が行こう。」


三獄士の一角である首無幽騎(デュラハン)のヘルハルト・トゥーカッターが面倒臭そうな溜め息混じりで渋々リクス抹殺の名乗りを上げた…。




ところ変わって、リクスはというと…。


「はぁ…はぁっ…くっ!?」


第五回戦、苦しげに呼吸を荒げながら相手の攻撃を回避するリクスだったが体力の限界も近づいてきたためか、完全に避けきれずに頬を一閃されるかのように掠め、破れた皮から鮮血が滴り落ちた。


「どうした?どうした?もしかして、もう息切れかァ~?ぬわっはっはっはっは!!」


阿修羅の如く数多く生やした腕には無数の薙刀や日本刀、金棒、斧、木槌などを持ち、戦国時代さながらの鎧武者の甲冑を付けた巨大なカブトムシの様な姿をした百腕甲蟲(ヘカトンケイル)族のニオウマルは豪快に笑いながら疲労状態のリクスを見下ろした。


「ぬ、抜かせ…デカブツ、めっ…!」


「ほほう、威勢がいいのは結構だ。しかーし…その手癖の悪さは頂けんのう!!」


「ごぶっ…げはぁっ!!」


リクスはリングを強く蹴って高らかに跳躍し、尻尾を使って斧を奪い取るもニオウマルは木槌を振るってリクスの腹目掛けての一撃を叩き込む。宙を浮いてる状態故に回避が出来ずまともにクリーンヒットしてしまい、リングに叩きつけられた衝撃で何度もバウンドしながら倒れ、夥しい量の血を吐き出した。


「御嬢ォッ!?」


「やべぇぞアレ!!今のまともに入っちまったッ!!」


「嫌あああああ!!」


「クソッタレェッ!!あのカブトムシ野郎!!リクスちゃんによくも惨い事をォッ!!」


「ムム…それに動きが、乱れてる。彼女も連戦で、思考力も低下してる…。」


リクスが最初のミステア戦を上手く勝ち抜いたからと彼女が戦う事に安心しきっていた観客席のギャスク達であったが今現在の無惨な姿を見て激しいショックを受けていたが無理もない…二回戦のムジャラ、三回戦のシャミアン、四回戦のカムナビ、そして五回戦で戦っているニオウマルと連戦状態で身が休まる余裕もなく、更には動きにも鈍さや乱れ、判断力や思考力の低下が見られている。このままではほぼ間違いなく殺されてしまうだろう…。


「ワシは命までは獲らん、このまま捻り潰されたくなくば自分の口で『ギブアップ』と言えィッ!そしてこの神聖なる闘技場から早々に立ち去れィイイイイッ!!」


「…ペッ!!」


ニオウマルは基本的に相手を確実に殺すのが当たり前な闘技場に於いては珍しく相手の命を獲らず、その代わりに相手の心をヘシ折って自分から降参させるというスタンスの剣闘士であった。しかし、リクスはというと痛む体を震わせながらゆっくり立ち上がり…諦めというものがまるでない鋭い目つきで睨みつけ、反逆するかの様に血吐度混じりの唾を勢い良くニオウマルの顔面目掛けて吐き掛けた。


「…これが返事と受け取って良いのか?」


「…はぁ…はぁ…ぐッ…!!うる、さい…黙れっ…それ以上、顎を動かすな。耳障り、だ…。」


「…では死ねィイイイイッ!!」


リクスは呼吸を荒らげ、口元から血を流しながら弱々しくも毅然とした態度で降伏の意志は無いとハッキリ告げるとニオウマルは複眼を血走らせながら怒号を上げると全ての腕に持ったあらゆる武器を彼女目掛けて降り下ろす、が…。





「有象無象の弱小剣闘士よ、よくぞその小娘をここまで弱らせてくれた…後は我が終わらせよう。」


「…は…?」


「!?」





突如、そんな声がどこからともなく聞こえてきたかと思いきや…ニオウマルの背後から大型の突撃槍(ランス)が投げつけられ、彼の身体を貫通した。あまりに唐突な出来事のため、リクスは何が起きたか解らない様子で動揺した。


「ぐ、ぐぎゃああああ!!?き、貴様はッ…!うっ…うっぼぉおおお…!!さ、三獄士の…ヘルハルト…!?こ、これは…げふっ!ど、どういうことだァアアアアッ!?」


「見て解らんのか?選手交代だ…なぁ

?司会者?」


想定外過ぎる乱入者の姿を見たニオウマルはその場に崩れ落ち、貫かれた胸部を押さえながら卑劣にも自身を背後から襲撃してきた犯人…三獄士のヘルハルトに何故こんなことをしたのかを問い掛けると、この首無し野郎はいけしゃあしゃあと試合の最中に選手交代などと有り得ない発言をしてきたのだ。横から人様の獲物をかっさらう様なハイエナじみた薄汚い事を平然とのたまってきたヘルハルトは最早ニオウマルなど眼中に無いかのように司会者のいる方向へと身体を向けて自分の言い分を告げると…。


「は、はい!!勿論OKですとも!!ではこの第五回戦のクリス選手の相手はニオウマル選手に代わりまして、我が闘技場きっての花形剣闘士…三獄士・ヘルハルト選手ゥウウウウウ!!」


「な、なぁあああ!?ふざけるな!クソがァアアアッ!!金でも貰ったのか!貴っ様ァアアアッ!?」


「よ、余計な事をするな!!さ、最後まで…やらせろ!!」


「おいおい、みっともなくピーチクパーチク囀ずるなよ?正式な許可は得たんだぞ?」


事もあろうにこのクソ司会者はヘルハルトの横暴な要求を承諾しまったのだ。ルール無用の闘技場の戦いとはいえこれは明らかな不正でしかない…当然ながらニオウマルのみならず対戦相手であるリクスも不満を爆発させてクソ司会者に食って掛かったが返答は一切無く、その代わりに答えるかのようにヘルハルトはツカツカと早足で歩きながら当たり前の様にリングインし、リングに突き刺さる自分の突撃槍を引き抜きながら神経を逆撫でる発言をまだしてくる始末…。


「あ、あの野郎ォオオオ…私が花形剣闘士時代だった時でもこんな暴挙しなかったぞ、闘技場を離れて暫く見ない内にここまで好き勝手するような奴が花形剣闘士だなんて…!!」


「ムム…!!秩序もクソも無い我ら魔族とて、これは目に余る行為だ…!!」


「てめぇら!ざけんなよ!!こんなこと許されんのかよ!?花形剣闘士が聞いて呆れるぜ!!」


「運営側もどうなってんだ!?司会者もブッ殺せ!!」


「ゆ、許せない…あんなの…!!」


観客席のフローラ達からも激怒の罵声罵倒の声が上がった…特に元・花形剣闘士だったフローラも昔は時に汚い卑怯な戦法で戦った事こそあれど基本的には一対一の死闘に誇りを持ってたため、現・花形剣闘士のヘルハルトの様な試合の途中で片方の剣闘士に致命傷を与えた挙げ句に強引に入れ替わり、権力か賄賂かは解らないが司会者に有無も言わせずにそれを黙認させる様な事を平然とやらかした奴がいたことが非常に腹立だしく、出来ることならば今すぐにでも激情に身を任せて此処から飛び出して殴りかかりたい気持ちで一杯である…。


「クソッタレがァアアアッ!!この際、司会者などもうどうでもいい!!神聖なる戦いを汚した不心得者めェエエエエッ!!先に貴様を殺してくれるわァアアアッ!!」


一人の武人として決して許されない形で戦いを汚された怒りに駆られたニオウマルはターゲットをリクスからヘルハルトに変更し、背中の羽根を広げて飛び立ち、天誅を与えるべく猛スピードで攻め込む…。




…しかし、現実は非常に非情であった…。




「ピギャアアアアアス!!」


「な、なんだ!?コイツは!!」


乱入者がもう一人…否、もう一匹いた。ニオウマルの行く手を阻むかの様にリングを突き破り、土中からその姿を現したのは規則正しく放射線状に並び生えた細かく鋭い牙が生えた口、その口のすぐ回りにはこれまた放射線状に並びついた複数の複眼があり、全身をゴツゴツした岩肌の様な外殻に包まれているリクスの故郷である帰らずの森の鬼熊と同じか?はたまたそれ以上か…(ドラゴン)大蛇(オロチ)の類かと見間違わんばかりの巨大な胴体を持つ芋虫、若しくはミミズに似た怪生物だった。


「ピギャァアアアオオオオン!!」


「げっ!?が、ご、がっ…ぐ…!!」


「グッチュッ!!グッチャッ…グッチャッ…ピペェッ!!」


怪生物は口をバックリと拡げてニオウマルの上半身を丸呑みにし、汚い咀嚼音混じりに彼の身体を噛み砕き、余った下半身部分を乱暴に吐き出した。





「紹介しよう、我が愛馬…魔熱砂原産!大砂蟲のロザリーちゃんだ!!」


この異形の怪生物は魔界の砂漠地帯・魔熱砂(ヘルディザート)に棲息する固有種の蟲妖・大砂蟲(サンドワーム)…そしてヘルハルトの愛すべきペット・ロザリーちゃんでもあった。


「愛馬?ま、まさか…?」


「そう!そのまさかだ…とうっ!!」


「ピギョアアアアア!!」


リクスの嫌な予感は当たった…ヘルハルトはロザリーちゃんの頭部に騎乗した。どうやらヘルハルトは本気でこの化け物を伴った果てしなく大人気ないインチキ仕様状態でリクスと戦うつもりらしい…。





「我こそは三獄士が一人!ヘルハルト・トゥーカッター!&ロザリーちゃん!!推して参るッ!!」


「ピギャアアアアアン!!」



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