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着衣じゃんけん―不倫釈明タイムアタック―

「ヤータさん、ちょっとじゃんけんしません?」


 そうして、昼の憩いのひとときは邪魔されることとなったのだ。パタンと読みかけの本を閉じて机に置き、飲みかけの緑茶を一気に飲み干す。


 さぁ、ひと息ついたぞ。なんて言って断ってやろうか。相手はリンリルだ。どうせ碌なじゃんけんじゃないってのは、当然のごとく解りきっている。


「やだ。ミステリー小説の犯人気になるし」

「犯人は教師ですよ? 殺された教え子との援助交際が明るみに出ないように細工をしたんですけど、教え子が密かに隠し持っていたコンドームからDNA鑑定を行い犯人を特定したんです」


 ……そんなあっさりネタバレする? 怒りを通り越して呆けちゃうのだけど。


「さぁ、続きが気にならなくなったところで始めましょう。ルールは簡単。裸の状態からじゃんけんをして、勝ったら一枚ずつ服を着ていきます。服を着た状態で負けたら一枚脱ぎます。制限時間は五分です。五分以内にすべての服を着ていないと、不倫を疑った伴侶が乗り込んできて修羅場になります。そういう魔法です。あ、因みにヤータさんは水着が脱げないので、お互い水着からのスタートとなります。ではスタート」


 有無を言わせない始まりに、やっぱり呆けるしかないのだけど。いつの間にかベッドには二人分の衣類が置かれているし、いつの間にか水着一枚に剥かれているし。


「最初はグー、じゃんけん――」


 初手はお互い同じ手、つまりあいこであった。


「最初はグー、じゃんけん――」


 またあいこ。


「最初はグー、じゃんけん――」


 あいこ。


「最初はグー、じゃんけん――」


 あれ?


「最初はグー、じゃんけん――」


 ……。


「最初は――」

「ちょっと待て、お前絶対わざとあいこになるようにしてるだろ!? せめてどちらかが勝つ感じで終わろうぜ!?」

「仕方がないですねぇ。では、いきます。最初はグー、じゃんけんチョッキリ待ってグーずつかないで、パーッとはじけて遊びましょうよ〜」


 なんか歌詞が苦しい歌を歌い出したんだけど!? これ確実に時間稼ぎじゃん、勝敗を決める気なんて端からないじゃん。ならもう、こっちから掛け声を言ったほうがいいのかもなぁ。


「はいはい、そこまで。俺から行くぞ。最初はグー、じゃんけんぽん」

「……ぽん」


 露骨な後出しだった。


「じゃあ私が着ますね。うふふ、用意していたのはワンピースなので、一枚着れば終わりです。後は制限時間が来るまで負けなければいいのです。さぁ行きますよ? 最初はグー、じゃんけん―」


 そこから始まるのは、後出しを狙った睨み合い。結局のところ、最初から制限時間狙いでまともに勝負をする気はなかったわけだ。


 でもまぁ、伴侶が阿修羅のコスプレをして登場って、駄洒落が酷すぎないか?

 

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