プロジェクトエクスプレス
これは、街と森を繋ぐ鉄道を造ろうと、命をかけて挑んだ男達の物語である。
男は別段鉄道が好きというわけではなかった。しかし変わらない日常にスパイスを与えるのが好きであり、なにより好きな料理を列車の中で振る舞いたいという夢もあった。
街に住む者達も、その夢に憧れ、応援の声を上げていた。
だからこそ、その夢に挑んだのだ。けして平坦な道のりではなかった。文字通り、地形からして平坦ではない。街の先にはアップダウンの激しい丘が広がっており、森の周囲は木の根で盛り上がりレールなど敷けるはずもない。
先ずはレールを敷く場所を平坦にならすことから始めなくてはならず、その過程を手作業でやるなど無謀という他ないだろう。
「え、プリンくれるの? むふふ、頼まれたら無下には出来ないなー」
だからプリン一つで俺がやった。この作業、プリン一つの信仰心で済んだのだ。それが安いのか高いのかは、あなた次第。
次なる作業はならした場所へレールを設置すること。これはただ金属のレールをその場に敷けば良いという訳ではなく、枕木と呼ばれる木の板を一定の間隔で置き、間や周りに砂利を敷き詰めなければならないのだ。
何故だかは知らない。興味はないので。
ただ解ることがあるとすれば、非常に面倒臭いと言うことだろう。それを一人でやるとなれば、どれだけの時間と資材が必要となるのだろうか。
「え、コーヒーゼリーくれるの? わーい。俺に任せとけ!」
だからコーヒーゼリー一つで俺がやった。この作業、コーヒーゼリー一つの信仰心で済んだのだ。それが安いのか高いのかは、あなた次第。
次に必要となるのは、発着の場所を明確にし、乗り降りを容易にするための駅であろう。不用意に線路内に立ち入らないためにも、この施設はどうしても必要である。
列車の高さに合わせた土台に、待合室となる駅舎が一つ。それを街と森とで一つづつ造らなければならない。
それを、一人で行うというのだろうか。
「え、ババロアくれるの? よっしゃ、俺に不可能などなーい!」
だからババロア一つで俺がやった。この作業、ババロア一つの信仰心で済んだのだ。それが安いのか高いのかは、あなた次第。
ついでに列車も俺が造った。杏仁豆腐一つで。流石、啓司は料理が上手いよなー。どれも絶品でほっぺた落ちるくらい頬張っちまった。
運転をやりたいって奴らは腐るほどいたし、後は好き勝手やってくれることだろう。燃料までは面倒見切れん。ギルドからでも仕入れてくれ。
……なんて言いつつ、水羊羹を目の前にして大量の石炭を用意したんだけどさ。啓司の奴、これを見越して蒸気機関車を要求しやがったな。電気を作るといったものは、流石に維持などのハードルが高いもんな。
「なぁリンリル、ヤータの奴ちょっとチョロすぎやしないか? しかもプルプルしたものばかりでさ。この調子じゃあ、蒟蒻でもやってくれそうじゃないか」
「やると思いますよ? ヤータさん、おでんの蒟蒻大好きですし」
「……安上がりな神様もいたもんだ」
そう言うことは、俺の居ないところでやってくれねーか? フカヒレやツバメの巣とでも言えば良いのかよ。……全部プルプルしてんじゃねーか!
そんな不満に頬を膨らませながらも、出来たばかりの列車の席で、心地良い振動を感じながらパンナコッタを頬張る俺なのだった。




