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バーベキュー

 森の中でバーベキューをやろう。そう啓司に誘われた俺は、リンリルと共に魔物達を引き連れて会場へと訪れた。


「参加者以外お断りだ」


 しかし待っていた啓司から非常な言葉を浴びせられ、伏せて前足で顔を覆ってしまった虎。その姿に借りられる威などないだろう。まぁ、こいつは結構食べる方だからな。下手したら啓司が用意した食材を根こそぎ食らい尽くしかねん。


 仕方がないか。ここでその辺に生えている草の味を変えて、それを食べていて貰おうか。ふっ、そんなことも出来る俺、便利すぎるだろ。


「リスとネズミも駄目なんですか?」


 そう問い掛けたリンリルに、俺の両肩に乗る彼らが色めき立つ。此奴らはまだ小食なほうだし、肉の一切れもあれば満足だろう。……ネズミは兎も角として、肉を食らうリスってちょっと怖いけどな。


「駄目だ。料理に夢中となった俺は、そいつらを食材にしてしまうかもしれない」


 その言葉が効いたのか、リス達はコートのポケットに隠れてしまった。なんていうか、野蛮そうな言葉とは裏腹に平和的な解決法ではある、と言えるような言えないような。……でもリスとかネズミを食らうのは野蛮感ありありだけどな。


 けれど、ここで疑問が生まれた。ここに集まったのは主催者の啓司を除けば、俺とリンリルだけなのだ。そんな少人数なのに、と考えてしまうのも当然ではなかろうか。


 まさか、用意した食材がそんなにも少ないと言うのか? バーベキューなのに? バーベキューって沢山食べることを想定して多めに用意するものではないの?


「ヤータさん。こう言った場でバーベキューをする場合、廃棄や持ち帰りを減らす為に食材の量はきちんと考えておくものですよ」


 なる程、そう言う考えもあるのか。俺としては腹一杯に食べて後はもうなんもしないぞ! ってだらけるのが好きなんだけど。まぁ、このような大自然でバーベキューをやった経験はないんだけどさ。


「いや、食材は山というほど持ってきたぞ。今は隠しているけどな」


 ……え?


「用意した食材は全て地面に埋めている。魔物の参加を拒否したのは、匂いで探されたらつまらんからだ。魔物のそれは魔法を越えるからな。他の参加者は既に探しに行っているからお前らも行ってこい」


 ちょ、なにそのゲーム!? 普通にバーベキューをやるんじゃないのかよ!?


「因みに、日が暮れるまでに食材を確保できなかったら失格な」


 それならそうで、バーベキューへの誘いじゃなくて最初からそう説明してくれませんかね!? そうすれば、……こっそり自前の食材を用意しておいたのに。


「啓司さーん。ヤータさんが自前の食材を持ってきておけば良かったと考えていまーす」

「そう言う狡を防ぐために、バーベキューとしか伝えなかったのだ。ざまー見ろ」


 腹減る前に腹立つわぁ。バーベキューだけに、バカなバレてる悔しいなぁ。ってか。……綴りは知らんけど。

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