神はどこに居る?
ウドに満足したうり坊の案内により、俺達、というより俺はあの部屋へと辿り着いた。
八畳程の部屋の中央に置かれた丸いテーブル。其処に置かれたパソコンは光を放ち、まるで操作されるのを待っているかのようだ。
ふふっ、ふふふっ。ここに来られるのは俺一人。何人たりとも俺の行動は邪魔できない。ならば、ならばやることは一つではなかろうか!
頭の中で先程見た光景を思い返す。リンリルは、スカートを履いていた。
大胆に出した肩にセクシーさを感じながらも、二の腕から胸元を覆うフリルが可愛らしいトップス。それに合わせるかのようなフワフワとしたフレアスカート。
それで森を歩く気だったの? そう今となっては突っ込みたくもなるが、今はそれを置いておく。
ふふっ、ふふふっ。今から奇跡の風を起こし、そのキラメキが詰まっていそうな可愛らしいスカートを盛大に捲り上げてくれるわ!
意気揚々と邪悪なる笑みを浮かべながら、俺はパソコンを操作してリンリルの姿を映し出す。
「突然の、パンツルックだと!?」
しかしそこに映っていたリンリルは、何故かスキニージーンズを履いていた。
な、何故だ、先程までスカートだったのに、何故唐突にパンツルックになっているというのだ。それをルックした俺は吃驚してクルッとひっくり返りそうだよ。
何故かバッチリと視線の合ったリンリルは、和やかな笑みを浮かべた。
……無理だよ、もう無理だ。俺はリンリルに仕返しすることも出来ないのか。いや、まだ諦めるには早い。きっと弱点があるはずだ。その可能性を信じて、今はこの関係性を受け入れよう。
いずれみていろよ。
……まぁ、悪ふざけは置いておくとして、今は街の復興が最優先だよなぁ。
パソコンには入力フォームがあり、こんなこと出来る? と問えば、可否と提案を表示してくれる機能があるのだ。
試しに、今の信仰心で街を元通りに出来るかを聞いてみる。
表示されたのは、出来ないという文字。しかし巨大な足跡を消すことは出来るようで、とりあえずそれは実行しておこう。
となると、復興するには自力で建物を建て直す必要がある。
基本的に街の建物は壊れることが前提として建てられており、直すのは比較的楽だろう。それでも使い物にならない資材は多々あるだろうから、森から資材を運搬するのが重要不可欠。
資材を生み出せる魔法を使うやつの話、聞いたことないもんなぁ。
ならばやはり、森まで続く道を作るのが良いのだろうか。でもなぁ、魔法があれば運搬なんて楽勝だろ。なんて言い出されたら、俺が困る事態になってしまう。
何故なら、この事態を上手く解決できれば更なる信仰心を得られる可能性があるからだ。
だからなるべく効果的な手を打っておきたい。ここは、俺よりも長く街に住むスッケルの意見を聞いてみた方が良いかもな。
『スッケル、聞こえるか。今頭の中に直接話し掛けている。思考で会話できる状態だ』
『え、思考で絡むことが出来る? 体位はどうすれば良い?』
土下座でもしてろよ。真面目な話をしたいんだから、変な聞き間違いは止めてくれないかな。
『そんなのどうでも良いから簡潔に答えてくれ。街の復興がスムーズに行われるには、どうすれば良いと思う?』
『リンリンかルーユさんを懐柔して、ギルドを巻き込むのが手っ取り早いんじゃね?』
え、ギルドってそんなことも出来るの? ……俺は、神になれないのかもしれない。




