喧嘩するほどなんとやらで済むとでも?
「で、どうしてこうなった?」
腰に手を当てて、怒ってます。そういう風に分かり易いアピールをしながら、目の前で土下座をする二人に対して問い掛けた。
取り囲むように配置された木々達は、火縄銃のような筒を抱えており、何かあった場合はいつでも威嚇なしで射撃出来るように命令してある。
勿論、殺傷能力はない。けれど、刺激的な煙に包まれて、顔が酷いことになるのは請け合いだ。
「ここまで強くなってくれるなんて、私、とても感動しています!」
「いや、そう言うのはいいから」
そんな状況にも関わらず、呑気に震えながら喜びを表現するリンリルに突っ込みを入れる。
つーか、やっぱそう言うのが目的でこのサバイバルを企画したん?
「ほんと、あんたなに言ってんの? あんたの所為でこんなことになったのだから、誠心誠意謝りなさいよ」
「えー、それはあなたの所為じゃないですか。いい歳してだだこねて、恥ずかしくないんですか?」
「思い通りにいかないと手が出るような人に、言われたくないですよーだ」
「先に手を出したのはそっちですー。私は口を出しただけですー」
「私のゾンビに手を出しといてそう言うの!? あの子の淹れる紅茶は美味しかったのよ!」
「なにそのゾンビ汁」
「うがーっ! やっぱ此奴ムカつく!」
はぁ。ほんと、話にならないとはこういうことなのかなぁ。武器を向けられているってのに呑気に喧嘩とか。……もう一度、はぁ。
疲れであり、呆れでもある。そんな溜息を額に手を当てながら吐き出すと、ポンと肩に手を乗せ慰めてくれる人が現れた。
「話はよく解った。此奴らの喧嘩は何時ものことだから、放っといて話を進めようぜ」
スッケルは、馴れていると言ったように俺の腰に手を当ててその場から離れようとする。
リンリルとルーユを俺の居る場所まで連れてくる間に、スッケルには全てを話しておいた。本来だったらその上でリンリルから知っていることを説明させるはずだったのだが、この結果ではなぁ。
なので矛先をもう一人、というより一匹に向けてみようと思う。
申し訳なさそうに首と頭を地に着け伏せる、ドラゴンにな。
「で、どうしてこうなった?」
スッケルと共にドラゴンの前に立ち、同じように問い掛ける。
「あの二人は、同郷なのです。とある世界でリンリルは勇者、ルーユは魔王をしておりました」
……通りで強いわけだよなー。
「ルーユは力にものを言わせ、好みの女性見つけては傍に侍らせていたのですが、いつまで経っても声がかからなかったリンリルは怒り、魔王を滅する勇者となったのです」
……え、嫉妬の果てにそんな展開?
「実は奥手でリンリルにアタックできなかったけどツンデレを発揮したルーユ。ロマンチックな展開に憧れるけど思い通りにいかないと癇癪を起こすリンリルはぶつかり合い、世界を滅ぼしたのです」
……世界、同情するわー。
「その後、世界の守護者たる私が元通りに復活させましたが」
お前、そんな凄い奴だったんか。つーか、お前も同郷かよ。
「しかし、そんな力を持った二人を野放しにしておくのは危険だと、神は二人をギルド職員として徴用し、私をお目付役としてスカウトしたのです。しかし、今回は一番のお気に入りであるヤータさんのこともあって、二人はどうにも引かなくてですな」
……そこに俺を挟まないでくれるー?
「そんなこと言って、どうせルーユはヤータさんの体が目当てなんでしょう? 私は心まで愛せます」
「な、なに言ってんのよ!? 体なんて興味はないわよ! もっと、こう、温かな関係を……」
「体で温め合うんです?」
「だ、だから体は関係ないって言ってるでしょ!」
「でも、あわよくばゾンビにしたいですよね?」
「……まぁ」
……取り敢えず、話を進める前に発砲を許可しておこうか。怖くて聞いてらんねーよ。




