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閑話休題?

 本来危険なはずの森にて、アホみたいにのんびりする俺達は一体他者からどう思われるだろうか。


 試しに、背もたれのようになっている白い虎の方へと振り返ってみる。


 ……呑気に、咲き誇る黄色い花を食べていた。


 お前、雑食なんかい。そんな突っ込みは口から飛び出ることもなく。俺はそのフワフワした体毛に身を沈める。


 腹の上ではリスとネズミがすぅすぅと寝息を立てており、野生動物、というもり魔物であるなら本来備わっていそうなものである警戒心など、到底感じさせない。


 それを分かっているのか、今回のサバイバルの同行者であるスッケルも、花畑に大の字となって寝息を立てている。


 俺も寝ようか。そう静かに、まぶたを閉じようとした。


「おおサバイバーよ。眠ってしまうとは情けない」


 しかし、俺には退治しなくてはならない物がいたらしい。……いや、対峙しなければならない現実だけど。


「なんだよドラゴン。大人しく寝させてくれよ」

「折角サバイバル来たというのに、それはどうなのでありましょう。もっとこう、アクティビティでも楽しんだらどうか」


 無理なり連れてこられたのですが? あなたに。


 つーか、サバイバルと言ったりアクティビティと言ったり、そこをはっきりさせてからしゃべってくれません?


 そもそもさ、今回の首謀者が此処に居ないってのがおかしいんだよ。リンリルのやつ、どんだけ遅刻すれば気が済むんだ? こちとら、恐らく当初の目的は全て果たしてんだぞ。


「どんな?」


 そんな恨み節も込めて、ドラゴンに無茶振りを試みる。溜息を吐くかのように、地に臥された大きな頭から鼻息が辺りに駆け巡った。


「そうですなー。近くの泉に、処女の前にだけ現れる馬が居ります」

「そっか。じゃあ処女を連れてきてくれ」

「……諸行無常ですな」


 それ使い方合ってんの? つーか無理矢理駄洒落にしてんじゃねーよ。


「はぁ。どっかにアスレチック出来そうな木とかねーの?」

「月が綺麗な丘ならば」


 ロマンチックかよ。此処からでも綺麗に見えるけどな。


「花鳥風月にはときめかねーんだわ」

「では、お宝が眠る洞窟などはいかがか」


 ……お宝? ……魔物しかいないような森で?


「は? ……おいスッケル。スッケル!」

「んが? あー、ねむ。なんだようるせーなー」

「いや、ドラゴンがお宝が眠る洞窟がどうのって言ってんだが」

「そんなの知らんわー。俺は眠い。あんぜんなんだろー」


 うん、俺が居る限り魔物には襲われないだろうからな。それよりもこの反応を見るに、スッケルも知らないような情報だったのだろうか。


 まさか、転生する権利を得られる蒼く光る宝玉とやらが手に入る可能性も? ……だとしたら行ってみる価値があるとは思うが、だ。


「ふぁあ。俺も眠くなってきた。まー、今後のことは日が登ってから考えればいいか」


 味を変えた花のお陰で腹は膨れた。後はもう、寝るしかやることがないんじゃないかなー。


「……寝てしまいましたか。念の為、リンリル殿の様子を見てくるか。どうせ彼奴がごねているのだろうし、面倒なら咥えてでも。虎よ、後は頼むぞ」


 ドラゴンが何かを喋り、虎が揺れた気もしたが、やっぱり、眠いわー。

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