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徹底的な他力本願!

「うおぉぉぉっ!?」


 森の中を逃げ惑う男は、気合いを入れるかのように叫び声を上げて、迫り来る木の杭を手の平でいなしていく。


 穴ぼこだらけの不安定な地面の上で、よくもまぁあれだけの動きをしてのける。そう、素直に感心してしまう。


「くそっ! きっついわっ! いい加減なんとかしろよ!」


 その叫び声は、視線は向けられずとも俺に対して言っているのだと、感じ取ることが出来る。


 しかし、その言葉に対して返せるものがあるのだとしたら、もう、これしかないだろう。


 俺は、自信が跨がるフワフワした白い毛の主へと視線を向ける。背中越しに振り向いたその顔は大きく、しかし円らな瞳には愛嬌がある。


 しかし、剥き出しの鋭い牙には恐怖しか感じられない。……あ、それを感じ取ったのか、口を閉じてくれた。うん、やっぱり良い子だよこいつ。


 少し前までは、こいつと同種の存在。虎のような魔物には命を狩られそうになったものである。しかし、今では私をその背に乗せて、ゴロゴロと喉を鳴らすしまつ。


 何故このような状況になったのか。それを簡潔に説明すると、ドラゴンが言っていたオーラ。それをコントロール出来るようになったからだ。


 いや、コントロールといってもその存在をしっかりと把握できているとは言えず、なんとなくだけど使えるようになった、と言ったところか。


 切欠は、大きな挫折感だった。目の前を逃げ惑う男、スッケルとの力の差を目の当たりにし、俺は失意のどん底にいた。


 その感情がオーラにと共に周囲に広がったのか、周りにいたリスやネズミが俺を守るかのように、暴走を始めたしまったのだ。


 スッケル、完全にとばっちりである。


 まぁ、最初はよく解らない事態に茫然としていたのだけど、なんかよく解らないけどリスたちも強化されているし、手の平に乗ってきたリス達は俺の感情が分かるような素振りもするし、あれ、これもしかすると? なんて考えて実験してみれば。


 虎まで俺の言うことを聞くまでになったのだ。


 未だに詳しい原理は分からないものの、リス達の攻撃は超強化されてスッケルですら透明には出来ないようで、鍛え抜かれた勘と体を頼りになんとか身を守っている状況。


 流石に不憫だからなんとかしてやりたいが……。

 

「おーい、そいつ俺の仲間だからさ。もうそろそろ止めてくれない?」


 そんな俺の言葉に対し。


「ぎゃあーっ!?」


 何故か攻撃が苛烈さを増す。


 なんなの、この子達は俺の仲間は自分達だけで充分だって言いたい訳なの? ……愛い奴らめ。


「ごめん、無理っぽい」

「諦めてんじゃねーよ! 諦めたらそこで終わりだぞ! もっとやる気出せよ!」

「だってよみんな!」

「お前に言ってんだよーっ!?」


 この状況、きっと同じ魔物であるドラゴンならなんとかしてくれるかもしれない。それを期待して、ドラゴンが待つであろう場所まで行くしかないだろうなー。


 ……あ、そういえば俺、その場所知らねーや。虎は知ってる? お、頷いた。じゃあ、スッケルを誘導しながらのんびり行きますかねー。

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