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女子会風味おっさん味

「かんぱーい!」


 そうご機嫌に音頭を取るカジーナに合わせ、彼女の店に集まった俺とクイーンはグラスを手に持ち頭上に掲げる。


 女子会的な物をしたいというカジーナの要求が切欠となったこの会、最初は女じゃないから断ろうとも思ったのだけど、まぁ、良く聞けば俺はただのおまけだそうで。


 重要なのは、俺にひっついてリンリルが参加すること。リンリルを誘うのではなく、俺を誘ってリンリルが着いてくること。


 何故そんな回りくどいことをしなければならないのか。理由は簡単。俺が女子会に参加することでリンリルの欲望に火がつき、場を楽しませるために差し入れを持ってきてくれるのではないか、という魂胆があったからである。


 ま、それが成功して、大量の酒が提供されたのは僥倖というもの。おまけに今もまだ追加を仕入れている最中らしいし、これは簡単には終わらない女子会になりそうなことで。


「ちあーず」

「プロースト」


 ところがどっこい、普通に乾杯と言うような面子ではないし、女子会らしさのない始まりになってしまったけどな。


 でもさ、乾杯の場面ってなんとなくチアーズって答えたくなんない? 格好いい気がしない? もしかして俺だけかな? 俺だけかもしんないな。だって、クイーンはプローストって言っているし。


 まぁ、クイーンが元々其方の出身、ってことも考えられるけど。


「ちょ、折角の女子会なのになんで合わせてくんないかなー。摘まみはガッツリさきイカだよ? チアーズもプローストも似合わなくない? なんなの、チキンとソーセージを用意すれば良いの?」

「仕方がないじゃない。このビール美味しくて、気分はドイツのビールフェス。……あ、ポテトも揚げてくれないかしら?」


 そんな要求もあってからか、勝手知ったる自分の店。ビールを呷りながらもテキパキと調理を始めるカジーナは、準備してあったらしい油の中にくし切りになったジャガイモを投入していく。


 まったく、そこまで準備が良いとなんでさきイカを最初に出したんだよ、って突っ込みたくなるよ。俺としては、ビール苦くて飲めないし? 甘いレモンサワーがお気に入りだし? もう少し違ったものを肴にしたいなーって、思ってたんだよな。


 これが苦みの効いたレモンサワーだったのなら、ぴったり合っただろうけどさ。しかし俺が飲むのはジュースのように甘いもの。あー、グラタンとか食べたい。ハンバーガーでも可。


「カジーナ、ついでにハンバーガー作ってくれよ。チーズ入ったやつ」

「いや、それのどこがついでなのよ。私今、ジャガイモ揚げてんですけど?」

「フライドポテトと言えば、ハンバーガーだろ?」

「……ぐうの音も出ない」

「芋を食べたらぶぅとは出そうよね」


 あははっ、まったくクイーンは上手いことを言うなぁ。……いや、おっさんかよ!? それは思っても口に出さないでくれない?


「あー、芋と言えばオナラってのは古典的よね。ついでにサツマイモも揚げて大学芋にしておこう。ヤータ、あんたいっぱい食いな」

「いや、ありがたいけど俺って屁は出ないぞ? 入れてもなんも出ない体だから」

「えー、つまんない」

「でも、エロい声なら出せるでしょ?」


 いやいやクイーンさん、この流れで下ネタはおっさんクサいからな!? なんなんだよ今日のクイーン、酒の所為か妙におっさんクセぇ。


「はい、クイーン。フライドポテト完成よ。芋は勿論――」

「メークイン、ね」


 いや、駄洒落まで出るとますますおっさんクセぇな! 俺の中のクイーンのイメージって、もっとこう、シャンパン飲みながらレーズン食べていたりする感じだったんだけど。


 しかしながら現実は非情である。ビールを呷りながらフライドポテトをぽいぽいと口に入れて豪快に咀嚼して、そしてそれをビールで流し込む。


 なんかもう、豪快って言葉では片付けらんねぇ。


「クイーンって凄いですよね。飲んでいるお酒で飲み方がガラッと変わるんですよ。いやー。ビールを多めに差し入れて正解でした。あ、カジーナ。これ追加の黒ビールです」


 そしてリンリルは黒かった。……てか追加はビールだけなの? もっと甘い酒とかはないの?


「ヤータさん。実はそのレモンサワー、ただの炭酸飲料ですよ? 本物のお酒はどれか、ちょっと勝負してみません? ヤータさんならお酒を当てることなんて、屁でもないですよね?」


 ……この人、いつから此処に居たの?


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