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とあるリア充の話。

作者: ネン

「なぁなぁ!お前等別れたんだって!?」


そういって呼びかけて来たのは...こいつ誰だっけ?


「ん...康夫か...。」


あぁ!翔の元同級生だっけ?

クラスが別々になったって言ってた気がするなぁ。

大学なんてクラスとかあんまり意味ないけどさ。


「にしてもお前等めちゃくちゃ仲よかったじゃん!なんでなんで!?結婚とかも考えてるとか言ってたのに!!」


「うわぁ。私、そういう事堂々と聞く人嫌いだわ。」


いるよね、こういう人。


「わ、悪りぃ...。そんな顔すんなって!!」


康夫くんが言う。


「はぁ...。いや、別に。」


翔が言う。


「まぁ、私達はどうもしないよね。」


悪いのは全部あの男だから。私は悪くないよ。

でも...ごめんね翔。


あっ、そうそう。

私は三田愛華。

そしてこっちのが...元彼?になるのかな。

元彼が北島翔。


「ふーん。てかお前、新しい彼女作る気ないのか?」


「...もう、彼女はいらないな...。」


翔は苦笑いする。


あー!もう!この人悪気はないのかな!?

愛華さん苛々してきちゃったよ!!



そんな話をしている間にチャイムが鳴る。


「やっべ!!次、宮澤教授の授業だった!!じゃあな!!」


康夫くんがダッシュで教室に向かって行った。


「そそっかしい人だなぁ。」


「そそっかしいな〜、あいつは。...もう授業ないし帰るか。」


「おっ、じゃあ帰ろ!」



そして帰宅!!

ふふふ、驚くでしょう。私たちはまだ同棲していまーす!

まぁ、もう少ししたら出て行く予定なんだけどね。


「あー疲れたー...。」


「でもこれで今週は乗り切ったじゃん。てかさー、あれくらいで疲れるとか、もやしなの?」


「あの教授の授業つまんないんだよなぁ...」


「あっ、あの人でしょ!高島教授!私も今日受けた授業で一番つまらなかった!!」


「芸術って言ってもなぁ。俺別に芸術興味ないし...。」


翔は本当につまらなそうに言う。


「そうね...。翔は私に合わせてくれたんだもんね...。ごめん。」


そこで翔はハッといきなり顔を上げる。


「あっ、荷物まとめないと...。」


そうだった!!


「あ〜。ごめん翔、最後まで私の荷物片付けてくれて。昔っから片付けは苦手だったからなぁ。いっつも私の部屋とか片付けてくれてたよね。そういうところに惚れたのよ。」


「はぁ〜...。本当に片付け苦手だったよなぁ、愛華は。」


というか、あれはもう苦手どころじゃなかった気がするけど。

とか思っていたところで翔のケータイが鳴る。


発信者は...


「あぁ...?康夫か...。もしもーし。」


向こうから声がもれてくる。


『あっ...、翔?』


「ん、そうだけど。何?」


『いや...その、さ...。今日の話なんだけど...本当に悪かったな。』


「...あぁ、そうゆーことか。いや、いいよ。お前知らなかったんだろ?言ってなかった俺も悪かったよ。」


『なっ!!お前は何も悪くないだろ!!なんで謝るんだよ!!』


「はっははは!!もういいよ。お前のその元気な声聞くとこっちも元気でるわ。」


『うわっ。ひでー!...なぁなぁ。明日にでも気分転換にどっかいかね?』


「あー、ごめん。明日は無理だわ。」


『そっか、そうだよな...。じゃあまた今度どっか遊びに行こうぜ!!本当に今日は悪かったな...。じゃあな!』


そう言って通話が切れた。


「いい奴じゃん。康夫くん。」


「なんだかんだでいい奴なんだよな〜。だから嫌いになれないんだよ。」


「大切にしなよ〜?あぁいう友達は。」


そして、翔はまた私の荷物を纏めだす。

見てるだけってのも暇なんだよね。コレ。

でも前に手伝おうとしたら、お前が手伝うと俺が築き上げた一時間が五分でパーになるって言われたからなぁ...って待って今翔が捨ててるのって...


「あぁー!!!なんでそれ捨てちゃうの!!そのパッケージはゴミじゃない!!限定ものなのにー!!」


「なんでこんなんとっておくんだよ...。どう考えてもゴミだろ....。」


「あぁ...。」


私の訴えも虚しくゴミ袋行き...無念。

仕方ないか...。はぁ...。


まぁ、いろいろあって0時になりました。

なんてこったい、私の部屋が綺麗になってしまったよ...。

もちろん私のコレクション達なんて殆ど残っていませんとも...はぁ...。


「あぁ〜!!疲れた。寝よう。」


「あぁ、私も疲れた...精神的に...。じゃあお休み。」


そう言って翔は電気を消した。


翌日


「あぁ...よく寝た。もう十時じゃん。」


「おはよ〜。翔、あの後爆睡だったよ。」


いびきがもーうるさいのなんのって。


「爆睡だったな...。...着替えて飯食おう...。」


「前から思ってたけど翔って朝はあんまり食べないよね。」


「朝はあんまし腹減らないんだよなぁ...。」


着替えを済ませた翔はおにぎりを一つ食べながら言う。


「だからもやしなんだよ。」


私がそう言ったところで翔はおにぎりを食べ終わった。

それから翔は十分の間に歯磨きと出かける準備を終わらせた。

十分の間に仕度が終わるってとこが男と女の違いを感じるよね。私は無理。


「さ...出掛けるか。」


「ん、行こうか。」


まぁ、私は仕度する必要なんてないんだけど。


そんなこんなで私たちは家を出た。







着いた場所は家から電車で7駅先の場所。


「私達二人でのお出掛けも、もうこれで最後だね。多分今日中に私は出て行っちゃうし。それに、そろそろお父さんにも怒られそうだし。」


翔は何も言わない。

ただただ辛そうな顔をしてるだけ。

もう、そんな顔しないでよ...。


「そんな顔してると幸せが逃げるぞー?」


翔は笑すらしない。

ひっどい...無視しないでよ。

無視されるの私が嫌いなの知ってるでしょ。


5分後、翔はある場所に着いた所で止まった。

翔の顔がさらに険しくなった。

その顔、ぶっさいくだなぁ。


しばらく無言で佇んだ後、翔は口を開く。


「...なぁ。」


「んー?」


「愛華さぁ...。」


「なぁに?」


「何で死んじゃったの?」


そっ、ここお墓。

えぇ、私死んでます。


「それはねぇ、私が青信号を渡ろうとした時にあのトラックの男が突っ込んできたからかな。」


「痛かったろうなぁ...。」


「そうだね、最初は何がなんだか判らなかったよ。吹き飛ばされたって理解したときに段々痛くなってきたかな。でもすぐに痛みも感じなくなっちゃったからあんまし辛くはなかったよ。」


「...俺もカッコつけないであの日一緒に店に行っていればあんなことにはならなかったのかもしれないな。ごめん。」


「あっそうよ!!大学も一緒なのに別々に同じ店に行こうとするのがおかしかったのよ!翔ったら先に行っちゃったし。一緒に行ってたら死ぬ前に翔の顔が見れてたかもしれなかったじゃない!!」


そう言った所で翔は鞄の中から小さな箱を取りだす。


「本当はさ...これ、渡そうと思ってたんだ。」


その中には指輪。


...は?いや...え??嘘でしょ?待って待って!?

...うっわー、すごい今幸せなんだけど。

ちょっと!!!死んだことさらに後悔してきたじゃない!!


「翔ひどい。未練が増えちゃった。」


「俺さ...まだお前のことが好きだよ...。これから他の女となんて結婚しないんだろうなぁ...。」


「えぇ...。何それ私の所為みたいじゃん。いいよ、翔がこの人!!って思える人と出会ったらその人と幸せになりなよ。私、多分怒らないから。あっ、でもたまには墓参りには来てね。」


私のこと忘れないで。私、無視されるの嫌いなんだから。

...私が話しかけても応えてくれないの、少し辛かったよ。


「...そういえば、出会ったのは中学の時だったなぁ〜。」


翔ってば、懐かしいこと思い出すなぁ...。


「そうそう、最初はこいつめちゃくちゃ嫌な奴って思ってた。だからバレンタインの時に、カレー粉にチョコパウダー掛けたのをこっそり机にいれたのよね。あれは今でも思い出すだけで笑える。きちんと臭いもわからないようにしたんだから。私の努力の賜物よ。」


「あのチョコもどきクソまずかったな...。食えたもんじゃねぇよ。あいつ本当妙なところで凝り性なんだから。」


「でもあれがきっかけで付き合い始めたってのはすごいよね。いやぁ、喜んでいただけて光栄だわ!」


「高校は入試すごいがんばったからなぁ...。愛華と同じ高校目指すのは最初は無謀だと思ってたわ。」


「そうそう、だって翔バカなんだもん。勉強教えるの大変だったんだから。」


「愛華、俺のために1ランク下の高校にしてくれたんだよなぁ...。」


「あっ気づいてたんだ。バレないようにしてたんだけどなぁ。」


「大学受験も愛華に勉強教えてもらってたなぁ...。」


「翔ったら受かった時は俺はもうこれ以上勉強はしない!!とか言ってたよねぇ。単位大丈夫なんだか。」


「...。」


「...。」


「...はぁ。死んだ人と結婚できたりしないかなぁ。」


「翔ってそこまで私の事好きだったんだね。今人生の中で一番幸せだわ。もう人生終わってるけどさぁ。あー、この幸せが生きてる内だったら最高だったんだけどなぁ。」


「俺はいつまでも愛華の事好きだと思う。」


「私も好きだったよ。むしろ今もまだ好きなんだけど??あっ、よし、叫ぶわ。愛してるぅぅぅううううう!!ってことで最後にその言葉が聞けたからもう成仏してもいいや。だからそろそろ私は逝こうかな。お父さん待ってるし。お母さん一人残すのは辛いけど。」


「...。」


「だからまぁ...じゃあね。」


「...。」


「あっ、ごめん。一つ言い忘れた。その独り言いう癖、治した方がいいよ。傍から見たら変人だから。」

読んでくださった方がいるかわかりませんが、読んでくださりありがとうございました。

意外と適当に考えたので登場人物がわかりづらかったりするのは見逃してください。


以下ネタばらし

彼女が言ってる事は全部彼氏に聞こえていません。

一応独り言でも成立するようなセリフにしました。

...した...うん、したと思ってます、したつもりなんです...!!

彼女のセリフと心情を抜かして読んでみると多少わかりやすいかもしれません。

あと彼女は幽霊ですので寝たり、ものに触れたり食べたりできなかったりします。


無視されるのが嫌いな彼女と、彼女が死んだのを受け入れてはいるけど実感がなく、何か話せばまた何時ものように返事が返ってくるのではないか、と思い独り言を言ってしまう彼氏の話。


ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。


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