若き付与魔法士
いっつ初投稿です!
設定とか、ほぼないです。ご自分で補完してください。
文章表現がおかしいので、気になる方は、どんどん指摘しちゃってください。
付与魔法士。それは、魔術の一つ、付与魔法(武具、アクセサリーなどに魔法をかけ、性能をあげたり、特殊効果を付けたりすることができる魔法)を使い、兵士や冒険者などの装備を強化、報酬を貰って生計を立てる者である。
伝説の付与魔法士レイファント。
その、ある日の話。
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”レイファント付与屋”
王都アシレマ、その大通り。貴族が住む区画と庶民が住む区画を隔てる堅牢な壁と、厳かな門のすぐそば、その店はあった。
店というよりは小屋と言ったほうがしっくり来るような外観。壊れかけのドア。なんのひねりもない店名が書かれた小さな看板。
「ああ、暇だなぁ…」
店主、レイファントがぼやく。
今年でまだ27という若さながら、とんでもない腕を持っている付与魔法士である。
とんでもない腕を持っているのだが、店がこんな有様なので、まず客が少ない。
この間来たのは、確か10日前。新人の剣士だった。驚くほど軽く、切れ味の上がった自らの剣を見て、もとの金額よりも多く支払ってくれたので、今のところは生活に困っていないのだが、しばらく経てば、また極貧な生活になるだろう。
もういっそのこと、冒険者になってしまおうかなどと考えている。
とりあえず、店の状態を改善すればなんとかなるのだろうが、そんなことをする気は毛頭ないらしい。
と、急にドアがノックされた。
(お、きたきた。貴族様とかじゃねーかなー?)
「いらっしゃいませ、開いてますよー」
ガチャッ
入ってきたのは、ローブを着て、フードを被った女性だった。
(ローブを押し上げる胸が…うん。ご馳走様です)
「………」
女性に無言で睨まれ、とりあえず話題をそらそうとするレイファント。
「き、綺麗な髪ですね、まるで、第二王女様のようですね」
「……っ」
何故か急にびっくりし、あわててフードを深くかぶる女性。
(…なんだ?おかしい事は言ってない、と思うが…)
「?ま、まあともかく、今日はどのような御用で?」
「っ!あ、あの、この短剣に、『隠密』と『羽毛』の付与をしていただけませんかっ!?」
「は…はい、『隠密』と『羽毛』ですね」
女性の急な大声にびっくりしながら、注文を受ける。
「どのくらいの効果がよろしいでしょうか?」
「えっと、とりあえず効果最大で…。どれくらいかかるのですか?」
「分かりました、ではそこでお待ちください」
「へ?あ、いやあの、」
レイファントは短剣を受け取り、そそくさと部屋の奥に消えていった。
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小屋の中、先程の部屋からドアを一枚隔てた部屋へ。工房として使っているスペースである。ドアや壁に魔術刻印がしてあり、向こう側に音が通らなくなっているのだ。付与魔法士は、こういった仕掛け部屋をつくることもできる。
レイファントは短剣を見てから、少し興奮していた。客の話を聞かないほどに。なぜなら…
「我が名、レイファント。『書』よ我に智を授けよ。『解析』」
レイファントが纏う空気が変わり、目に不思議な光が宿る。
「……やはり、オリハルコンか、初めて見るな…」
オリハルコンとは、山を一つ掘り返して、こぶし大の大きさの原石が出るかどうかという希少な金属である。非常に硬いのだが、なぜか加工しやすく、魔法との相性もいいので、伝説級の装備は大抵この金属が使われている。
これだけの材料を相手に付与の腕をふるえることに、彼の職人としての魂が震えていた。
「では早速…」
仕事道具を出し、刻印を付ける作業に入った。
魔法陣を描く。寸分の狂い無く、正確に描かなければ、付与魔法は効力を発揮しない。
さらに魔術言語を刻み付ける。誤字脱字によっては使用者が吹き飛んだり、刻んでいる状態で暴発したりする。
普通の職人では三日ほどかかるところをレイファントは2時間で終わらせた。
複雑怪奇な魔術言語と魔法陣をほぼ完璧に暗記・マスターし、規格外な手先の器用さを持つゆえ、異常なほどの速度で、寸分の狂い無い刻印を刻める。
そしてそれが彼の優秀さを示していた。
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最終調整をし、出来た短剣を持ち、女性が待つ部屋に戻る。女性は椅子に腰掛け、うとうとしていた。
「できましたよー」
「っ!は、はい!…はいぃぃぃーーー!?」
驚く女性。飛び上がったときに、フードが外れた。そこには……
「だっ、第二王女様!?」
「し、しまっ!…かくなる上は…!」
第二王女の手に光が集まり、剣の形をかたどる!
「いいですか、ここで見たこと・見たものをあなたは人に漏らしてはいけません」
「は、はひっ」
「もし、漏らしてしまったら…、分かりますよね?」
コクコクッ
「よろしい」
そういってフードを目深にかぶり直す第二王女。
「ふぅ、で、本当に出来たのですか?」
「は、はい、どうぞ」
短剣を手にとり、眺める。
「……本物、ですね。ここまでの出来とは…」
「お、お褒めに預かり光栄です」
「これは代金です、受け取ってください」
そういって、ポケットから大金貨を取り出した。
「ええっ!?こんなに頂けません!」
「口止め料込みですよ、おまけにこの短時間でこれほどの一品を仕上げたことを踏まえれば妥当な金額でしょう」
「は、はい、ありがとうございます」
「では、私は見つからないうちに…」
(…見つからないうちに?ああ、お忍びなのか)
ガチャ
「本当にありがとうございました、今後ともご贔屓に!」
「ええ、また来ます」
そう言って彼女は去っていった。
「…ふう、疲れたな……」
手元には大金貨。そして、疲れとともに、充実感に満ち溢れる身体。
彼は、感じてしまった。魅入られてしまった。素材が語りかけてくるような感覚。こうしろ、ああしろと注文をどんどん付けてくれるような、不思議な感じ。もっと、もっと触れてみたい。こんな感覚を味わってみたい。そういう衝動が彼を突き動かした。
やがて、彼は世界に名を轟かせ、伝説として語り継がれるほどの付与魔法士に、なる。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
駄文で乱文な長文失礼いたしました。