第66話 おじさんと団欒。
食卓を囲んで団欒する。
りんごのカレーは美味しい。
もしかして、隠し味はリンゴか?
ププッ。
「りんごのカレーおいしいよな。隠し味とかあるの?」
「うーん。強いて言うなら愛情かな?」
特に変わったことはしていないらしい。
そういえば、旅館の朝食のカレーもおいしかったな。
なんか豆とか豆腐ばっかり食べていたけれど、カレーもあったのだ。
コトハに聞いてみる。
「旅館のカレーは、隠し味とあるの?」
「うーん。料理長、何もいってなかったっす。強いていうなら、愛情? なんか、作りながら、両手でハートを作っていたっす」
まじか。
料理は愛情って。本当なんだな。
ところで、コトハはいつから旅館で働いていたのだろう。
「ことは、旅館はどれくらいしてたの?」
「2ヶ月くらいっす。繁忙期のヘルプっすね。生活費も節約できるし、時給も割高で効率いいっす」
りんごが割って入った。
「コトハちゃんにも出会えたしね」
「そうっすね。最初は、不思議な組み合わせで、どんな一団かと思ったっす」
「ふーん。コトハちゃん。どんな風に思ったの?」
「わからなかっす。お母さん不在で、娘3人と?とか。それか、さくらさんが奥さん?とか。実は何かのサークルとか」
そうだよな。
「でも、たまたまタオルの交換で貸切風呂の近くにいったら、へんな声が聞こえてきたから、単なるハーレムグループなんだなって」
りんごが目をまんまるにする。
「えっ。聞かれちゃったの?」
「はいっす。丸聞こえっす。おかげで、アタシも欲求不満になったっす」
つむぎが目を擦りだした。
中学生にはもう遅いもんな。
「パパさま。我ねむい〜。先にねる〜」
さすが、空気が読める子だ。
つむぎが寝室にいくと、コトハは続けた。
「つむぎちゃんは、いっきゅんの娘さんっすか?」
「ああ。実娘だ」
コトハはニヤニヤしている。
「さすがに、中学生にまで手を出していなくてよかったっす。真性のロリコンだったら、いくらご主人さまでもドン引きっす」
そいえば、こいつ。
それなりに経験ありそうだったけど、恋人とかいないのか。
「コトハ、恋人とかいないの?」
「うーん。前はいたけど、微妙だったし、旅館バイトの前にお別れしたっす。もしかして、やきもちっすか?」
「いや。そんなことは……」
「ふーん。当面は、いっきゅんのしか入れる予定ないから安心するっす。アタシ、実は一途なんすよ?」
「って。自分で言うなよ(笑)」
「なんでも言葉にしないと伝わらないモノっす」
りんごは目をまんまるにしている。
それに気づいたコトハは言った。
「いっきゅんが好きなのは、りんごちゃんって知ってるから安心するっす。アタシは、奴隷としてイジメてもらえるだけで満足っす」
りんごが頬を膨らませた。
「……もう。全然安心できませんっ」
気づけば、0時近い。
どうりで眠いわけだ。今日は頑張りすぎたしな。
コトハには、とりあえずリンゴと同じ部屋を使ってもらうことにして、解散になった。
明日は休みだから、ゆっくり寝れそうで良かった。ベッドでウトウトしていると、ドアがノックされた。
ドアを開けると、枕を抱えたりんごだった。
寂しくて、添い寝したくなったらしい。
今日は不安にさせただろうしな。
右手で腕枕して、一緒に眠ることにした。
しばらくすると、下半身に違和感を感じて目が覚めた。口でされている気がする。
まさか、りんご?
目を開けてみると、犯人は奥二重の少女だった。
コトハだ。
目があうと、ことははニヤッとした。
「昨日は、あんなにしたのに元気っすね。それと、りんごちゃんとしてないって、本当みたいっすね」
コトハはリズミカルに、口技を続ける。
しばらくすると、部屋着のズボンだけズリ下げて、上に跨ってきた。
「あんっ。りんごちゃん起こさないようにしないとと思うと、ますます興奮するっす。……っ、いくっ」
って、本当に早いな。
男に生まれてたら、伝説の早撃ちガンマンになれたんじゃないか?
昨日、散々したので、俺の方は感度が鈍い。
10分くらい、コトハの騎乗位を満喫する。
コトハは、その間に数えきれないくらいイッた。
「こんなに何度もイカせられたら、アタシ、いくときゅんに夢中になっちゃうっすよ?」
声が大きい……。
おそるおそるリンゴを見ると、熟睡している。
よかった。
「コトハが勝手に上に乗ったんだろ?」
「奴隷の寝る前のご奉仕っす。気持ち良くて切ないの。アタシ、こうしてご奉仕させてくれて、たまにデートしてくれれば、それで満足っす」
謙虚なのか?
なぞだ。
しばらくして、俺が限界になって中に出すと、コトハはお腹を摩りながら、満足そうに部屋を出て行った。
コトハと住んだら、毎晩こんななのかな。
かわいい子に尽くしてもらえて、幸せだけれど、寿命が縮みそうだ。
……。
次の日の朝。
りんごは、自分の部屋に戻っていた。
スマホをみると、メッセージが来ていた。
さくらからだ。
こんな早朝に珍しい。
スマホの画面を開いてみる。
すると、絵文字もスタンプもないメッセージだった。
「郁人。子供できたかも」