第57話 快気祝い。
朝食の後は、貸切露天風呂に入ることになった。と、いうことで、俺は湯に浸かってまっている。
美女3人との混浴なんて、少し前の俺からしたら夢のような状況だと思う。
しばらくすると、4人が脱衣所から出てきた。
みんなタオルなしの全裸だったらどうしよう、とソワソワしていたのだが、皆、しっかりタオルを巻いていた。
ちょっとだけ残念。
こうして改めて見ると、3人とも綺麗だよなぁ。顔立ちだけみると、りんごが1番好み(オフレコ)かな。でも、綾乃もさくらも、すれ違う男の人が振り返るほどの美形だ。
身体は、さくらかなぁ。
綾乃は、幼さと女性らしさのバランスが良い。そして、実はシャイだ。
ってか。
……腰にタオル一枚で、ほぼ全裸なのは俺1人だし。なんか、1人だけおバカさんっぽいんですけれど?
どうやら、3人でおれの身体を洗ってくれるらしい。椅子に座ると、さくらが背中を流してくれて、綾乃は首筋を洗ってくれる。りんごは、足の辺りだ。
3人とも、つむぎもいるからか、下半身にはノータッチだし、変なことはしてこない。だけれど、シチュエーションに興奮してしまって、下半身がムズムズする。
いや、でも。
娘の前でテントとか、さすがにダメでしょ。
なので。
心頭滅却。
心頭滅却。
俺は、世界の趨勢について考えを巡らせ、目の前の煩悩を意識しないように頑張っている。
りんごが、内腿の辺りを洗ってくる。
さすがまじめな性格。
洗い残しのないように、裏の方までしっかり洗ってくれる。
心頭滅却。
さくらが、耳を舐めてきた。
心頭滅。
さくらが耳元でささやいた。
「あーあ、元気にしちゃって。変態っ」
え。オレ元気になってるの?
心頭滅却できなかったみたい。
下半身を見ると、我がメガキャノンは、すっかり臨戦態勢だった。
どうしよう。
我慢できそうにない。
すると、タイミングよく、つむぎがソワソワし出した。
「我、トイレに行きたい。今すぐトイレにいかないと世界が滅びるかも。アカシックレコードからのメッセージじゃ……」
さくらが声をかける。
「つむぎちゃん。大丈夫? 先生も一緒にいこうか?」
こんなときでも、つむぎを優先してくれるのか。やっぱ、さくらも良い子だなぁ。
「大丈夫じゃ。先生は湯にでも、浸かっておいてくれ」
そう言い残すと、つむぎは、そそくさとトイレにいった。貸切風呂にはトイレはない。なので、数分は戻ってこないだろう。
すると、さくらが俺のタオルをとり、自分のバスタオルをずり上げると、有無を言わさずに跨ってきた。
さくらも興奮していたらしい。
つるんと、中に入ってしまった。
そして、すぐに前後に動き始める。
「あんっ……、すっごい。いままでで一番硬いかも……」
すると、さくらのバスタオルが外れた。
「すごい……えっち」
りんごと綾乃は頬を膨らませながらも、半べそで、おれとさくら繋がっている部分を凝視している。
嫉妬と、怒り、興味と興奮が入り混じっているのだろうか。
「さくらさんばっかり、ずるいです」
次の瞬間、りんごにキスをされた。
舌を激しく出し入れしてくる。
綾乃は俺の乳首を舐め、俺の右手首を持つと、自分の股間を触らせた。綾乃も興奮しているらしい。突起がコリコリしている。
すごい。
俺は、今まで感じたことのない異様な興奮に、目眩すら覚えた。
すると、さくらが声を上げた。
「……えっ?」
あっ、もう出てしまった。
人生、最速記録かもしれない。
さくらは俺の上に座ったまま、耳元で囁いた。
「はやっ(笑)。まだ30秒くらいしか経ってないよ?」
たしかに、童貞に戻ったかのようだ。
でも、それだけ短い時間に凝縮されただけあり、すごい快感だった。
癖になりそうだ。
休む暇もなく、綾乃が寄り添ってきた。
「ね。次はわたしも……。わたしの方が気持ちいいって教えてあげる」
綾乃は、さくらと入れ替わりで、俺の上に座ろうとする。
だが、ちょうどつむぎが帰ってきた。
「パパさま、トイレが思ったより遠くてのぅ。仲居さんに案内してもらったぞ?」
綾乃とさくらはパッと身体を離した。
りんごは、お構いなしに俺にキスをしている。
さすが、りんごは、つむぎ公認だけあって、堂々たる振る舞いだ。
それにしても、また4人でしてみたいかも。
好きな子の嫉妬の眼差しが、こんなに興奮するものとは知らなかった。
さすがアブノーマル、禁断のプレイだ。
癖になったら、戻って来れなそうな気がする。
仕切り直して、みんなでお湯につかる。
露天は、無色透明の単純泉で、つるんとした泉質だ。
3人とも湯に入る時はタオルを外しているので、薄らと肌の色が見える。俺がジロジロと見ていると、つむぎがジト目でいった。
「パパさま、3人のことをジロジロみていると、変態ってバレるぞ?」
いやぁ。
ジロジロみたくなるのは、男の性ってやつで。
盗み見る必要はないのに、不思議なものだ。
つむぎが続けた。
「担当の仲居さんも、なかなかの器量良しじゃのぅ。あやつも、パパ様のコレクションに加えたいかと思って、パパさまの名刺を渡しといたぞ?」
仲居さん?
ああ、奥二重のバスタオルもってあげた子か。
たしか、神無月 詩というネームプレートをつけていた。
たしかに可愛い子だったが。
パパさまコレクションは、もう今のメンバーで満員かと。
「ところでさ。あの子、名前、なんて読むのかな?」
すると、さすが国語の先生。
さくらが手をあげた。
なんだかすごい答えが飛び出してきそう。
「うたちゃんだと思う」
思いの外、普通だった。
すると、りんごが口を開いた。
「国語の先生の割に、意外と普通の答えなんですね」
あーあ。
言っちゃった。
ほらぁ。
さくら、膨れちゃったじゃん。
りんごは、あせあせして続けた。
「あっ、悪い意味じゃないんです。ただ、案外ひねりがないなって……」
って、さくら。
敵は息の根を止めにきてるぞ?
さくら、涙目になっちゃったし。
かわいそ。
女って、こわい!
すると、つむぎは、そんなことは気にしていない様子で続けた。
「皆の者。まだまだだのぅ。我にはわかる。『ことは』じゃ。よく『詩』をみてみよ。部首は『言』つくりの上は『土』、つくりの下の『寸』は『はかる』とも読むからな。あわされば、ことはじゃ。これもアカシック……」
いやいや、それだけは絶対ないだろ。
それにしても、変態的な意見がきたもんだ。
斜め上っていうか、もはや名前というより暗号の領域。
あとで、本人に正解を聞いてみよう。
そういえば、つむぎはともかく、後の3人は、今回の旅行でモメたりせずに、よく仲良くなってくれたものだと思う。
やきもちとかありそうなもんだけど。
いや、おじさんが不人気で平和なだけか?
「3人とも、喧嘩したりしなくて良かったよ。おかげで、俺も楽しめたし」
すると、つむぎが言った。
「パパさま、りんご姫に感謝せぬとな。出発前に『お祝いだから、絶対に喧嘩はやめましょう』とりんご姫が取り決めてくれたのじゃよ?」
みんなで、そんな気を遣ってくれたのか。
俺のお祝いって意識してくれてるみたいで、嬉しい。
俺が感慨に浸っていると、さくらが耳打ちしてきた。
「だから言ったでしょ? 今回は4Pのチャンスだって。今回を逃したら、たぶん、もう無理かな。もったいなかったね?」
そんなラッキーチャンスだったの?
知ってれば、躊躇せずにいったのに。
初めから教えてくれよ。
お風呂を出ると、例の仲居さんとすれ違った。
俺は名前について聞いてみることにした。
「名前、なんて読むんですか? もしかして、『ことは』さん?」
すると、仲居さんは満面の笑みになって、飛び跳ねた。
「ことはです!! すっごい! ちゃんと読んでもらえたの生まれて初めてです。めっちゃ嬉しい」
「……」
つむぎ、普通に読んでたぞ。
アホにだけ読解できる暗号なのか?
さすが無駄に高性能なIQ145。
おかげて、おじさん。
仲居さんの好印象げっと。