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九冊目『ここじゃない世界に行きたかった』

「府雨の読書日記」九冊目『ここじゃない世界に行きたかった』


『ここじゃない世界に行きたかった』

 著 塩谷舞


 同僚と村上春樹ライブラリー、根津美術館を巡り、表参道でトンカツを食べ、青山ブックセンターに立ち寄った。


 先日一人で行った紀伊國屋での戦果が、あまりに乏しかったのに対して、今回の青山ブックセンターでの戦果は一万円にも及ぶことに。すごい楽しいです。


 青山ブックセンターの選書の妙を、堪能した結果でした。


 僕は本はパラパラめくって、飛び込んでくる文字の、なんとも言えず総合的な魅力で、選ぶことにしています。だからよく間違える。


 今回日記に書くことにした『ここじゃない世界に行きたかった』は、最初「間違えたな」と思った。


 文体より内容で読ませる本は、内容がイメージと違うと拒否反応を催してしまう。


 なんか嫌だな、なんか嫌だなと思いつつ、読み進めて、やっぱアメリカに行く人は意識高いやと、突き放してしまった。ある意味で共感が全然できなかった。


 でも、読み切りました。


 それは、忍耐ではありません。塩谷舞さんの、主張したいことに、徐々にピントが合って来た感じです。


 思ったことではなく、考えたことを書いているから、考え方が違うと理解できない。


 僕は、ほとんど理解できなかった。でも、塩谷舞さんが、必ず対立する人が現れるだろうことを嫌わずに、主張している姿は、あまりにも美しかった。


 主張の内容には踏み込めないけれど、反対される、理解されない、無視される苦しさを全て受け入れて主張する。それはやはり美しい。


 考えたことを、相手に直感に反するからといって否定されるのは、苦しい。こっちは考えているのに、どうしてそんなに簡単に……断言できるのだろう、否定できるのだろうと。


 考えた時間を差し出すのは、尊い行為です。それは断言できます。準備したこと、時間をかけたことを、一言で片付けてほしくない。


 塩谷舞さんの書くSNS上でのコミュニケーションは、正直さっぱりわからない。SNS上で人とそんなに関わるのは、煩わしいと思ってしまう。上流の話って心の中で切り捨てる。だからとて、僕が奇縁を楽しまないわけではなく、単に嫉妬しているだけのような気もする。真似できないので。


 僕は入試科目の中ではダントツで国語ができなかった。だから、あれだけ僕の考えていることと内容の不一致があるにも関わらず、「府雨の読書日記」に書くまで読ませたのは、間違いなく塩谷舞さんの筆力で、それも泣きたくなるけど羨ましい。


 この日記を書いたのは2024年7月17日。読み終えたのは16日。買ったのは14日。3日で読んでる。悔しいけどかなり面白かった。

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