四十八冊目『読書を仕事につなげる技術』
「府雨の読書日記」四十八冊目『読書を仕事につなげる技術』
『読書を仕事につなげる技術 知識が成果に変わる「読み方&選び方」の極意』
著 山口周
ビジネス書、自己啓発、読まないですねー。
でも角川文庫の装丁は好き。紙が柔らかくて、至福の読書タイムです。
自己啓発とかビジネス書のいいところは、何より読みやすくできていること。難しい概念を扱っていないこと。
それで乗りこなせる世界が簡単なのか、船が座礁しているのかはよくわかりませんが。
人はロジカルなものが大好物ですが、世の中は必ずしもロジカルにはできていない。
そういう時の羅針盤は、簡単な方がいいのか、複雑な方がいいのか。
僕は、方位磁針では心許ないと思いますが、それはそれ。
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ビジネス書と教養書を分けて、読み方を分類するのは、少し面白いです。
ビジネス書のインプットと教養書のインプットの性質が異なるから、らしい。
ビジネス書で求められるのは効率で、リターンがなければ意味がない、という姿勢。それは面白い。
独学系の作家さんらしく、短期間でのインプットを、ビジネス書の読み方に適用している。
逆に、教養書は、長期的な視点と、各人の好みを重視しています。
でもどちらの読み方も、費用対効果がキーワードです。
多くのビジネスマンが、時間を気にします。その規律には敬服しますが、どうして、その頭脳は、いつも時間に縛られているのでしょうか。
常に費用対効果を気にするのは、精神的に全く自由ではないし、残念な傾向だと思います。
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自己が計量可能だと思う、効率性の議論は、かなり単純で、とても面白い。
勉強が費用対効果で語られるとしたら、少なくとも学問は逆に、「効率的に」成立し得ないです。それに、効率性を標榜することは、それ自体が、他者との差別化に失敗している。
リターンがなければ、学ばないという、貧弱な動機づけが、人を読書に駆り立てるとは、僕は思わないです。
すでにわかっている道を歩く時、初めて効率というカードが切れます。
著者も、本書で告白しているように、最初から「効率的」ではなかった。としたら、効果が費用に見合うかは、各人の人生の性質に依るような気がします。
効率の反対は迷いであり、非効率の反対は、意思決定です。効率性と非効率性は、具体的なレベルでは対義語ではないと、僕は考えます。
知的生産性は、本書でよく出てくるタームですが、そういうものを念頭に置いて生きるのは、正直僕には荷が重い。そもそもその単語を使うこと自体がカッコよくない。テンプレートすぎる。
教養書の抽象化の技術は、確かに有用ですが、具体例が人を動かす瞬間も、たくさんあるし、人と差別化するなら、抽象化ではなく具体化だと、僕はそちらに舵を切ります。
でも久々に読みやすい本に出会えて、僕は嬉しいです。




