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四十四冊目『にゃるらが壁に向かって話してる』

「府雨の読書日記」四十四冊目『にゃるらが壁に向かって話してる』


『にゃるらが壁に向かって話してる』

 著 にゃるら


 いや、おもしろいかよ。


 にゃるらさんのこと何も知りませんが、下北沢の蔦屋で、たまたま手に取って読みました。


 おもしろい。


 一番面白かったのは、書き物をしていることとか、目指している方向性とかは、おんなじはずなのに、全く違う人間であると感じたこと。


 だから余計に安心して読めた。


 ネットとかあんまり詳しくない僕ですから、世代は近いような気もするにゃるらさんと、生活が全然違う。目指しているものも、考えていることも。


 難しい言葉が一切ないのに、こんなにも含蓄のある記事が書けるんだ。すごいなぁ。


 オタク特有の、クリアでメガネのレンズのような、艶のない文が、実にいいメッセージのヴィークルになっていて、読みやすい。


 あと、それが本務でないってのもいい。というか、にゃるらさんみたいな人には、本務という概念は当てはまらない気もするけど。


 達観しているってのもある。言葉を紡ぐ人には、自分が安心したいという目的がある人も多い気がするけど、にゃるらさんは、達観している。


 今週のにゃるらのもの、と銘打たれた写真に、全く惹かれないのも好き。好みドンピシャのフィギュアとか並んでたら、嫉妬に狂うか、そうでなくても羨ましくなっちゃう。


 にゃるらさんのことは何にも知らないし、にゃるらさんが作ったゲームも聞いたこともない。そもそも生活している空間が違いすぎる。中野? そりゃ63系統のバスは中野に行くけどさ。


 でも、この本は二日で読了した。


 今日も昼休み、ご飯食べた後、図書館地下に潜って、にまにましながら読んでいた。


 家に帰った後、読んでいたら、気がついたら最後のページになっていた。別れが惜しい。本棚に格納しました。


 生身の体じゃなくて、生身の精神を見せられたような、既製品感のない言葉。言葉に衒学的な感じがないのが、実に強そう。


 オタクってそういえば全人類で二番目に強い存在だったっけか(特に元ネタはない)。

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