四冊目『死亡遊戯で飯を食う。』
「府雨の読書日記」四冊目『死亡遊戯で飯を食う。』
『死亡遊戯で飯を食う。』
著 鵜飼有志
イラスト ねこめたる
読みやすい! 画が綺麗! ラノベです。
それに尽きるのだけれど、それだけじゃない。
僕(府雨)は小説も書きます。よく言われます、「読みにくい」……(涙)
キャラとか、伏線とか、プロットとか、僕は結構適当にやっています。
大きな枠組みの範囲で、中身はその日思いついたありあわせの文章。
だから『死亡遊戯』の緻密で計算されているのに、ストーリーがスッと入ってくる筆力に、ただただ脱帽。
それに「デスゲーム」じゃないんですよ、「死亡遊戯」なんです。
違和感を感じさせないワードチョイスは、徹底的な客観化が可能にしているはず。鵜飼先生の頭の中を見てみたい。いつか、叶うなら、話してみたい。
美少女だけしか出てこないのに「萌え」ではない、というのが(浅薄な)僕の感動です。
僕が中学生の時、マンガを集めて、アニメを見ていた頃、萌えというのは、「昂りをくすぐる」ものだと勝手に解釈していました。
特にギャップ萌え。秘められた魅力にいつも心を釘付けにされていたわけです。
ラノベ『死亡遊戯で飯を食う。』の女の子たちは、小説的ではあるものの、女の子の強さが端的に描かれたものだと思うんです。萌えとか、ギャップとか、てこを使うのではなく、強さで正面突破する。
強くて、とても現実感がある。戦って戦って、そこに読みを入れる。読みは噛み合わなくてはならない。つまり『死亡遊戯』はいつも、互角の勝負をしている。
そこにそもそも「ギャップ」がない。弱くて可愛いとか、弱いのに強いとか、そんなんじゃない。
空虚な「美」や無駄な「ロジック」がない。説明はとても入念で、理解しやすい。使われている語彙が分散的なのも、自然で読みやすく感じられる。
主人公の女の子(幽鬼)のニュートラルな感じが、無駄に対象化して、心をくっつかせない。だから、なぜか安心して読めてしまう。
フィギュアが出たら買います。