三冊目『レヴィナスの時間論』
「府雨の読書日記」三冊目『レヴィナスの時間論』
『レヴィナスの時間論』
著 内田樹
内田樹にはとてもお世話になったことを覚えています。
高校生の頃、『日本辺境論』とか『下流志向』とか『村上春樹にご用心』とかを読んで、頭良くなった気になってました。
あー、内田樹って教育者なんだなぁーと、なんとなく思います。難しい話を噛んで含めるように、委曲を尽くして語る。そうするとなぜか難しい話がわかる。
アドリブなのか何なのかわからない筋道を、リズムを刻みながら進んでいく。
最近も内田先生の『図書館には人がいないほうがいい』を読んで、内田節に、またまたぁ、と、ちょっと辟易した。辟易させてくれる隙もまた、魅力の一つです。
レトリックで話を駆動させる、典型的文人で、話は豆知識みたいなもの。だから僕も自分で、その話を継いで膨らませることができる。楽しいですね。
と、思っていたのだけれど、『レヴィナスの時間論』は、かなり骨が折れて、最初買ってから一年ほどの中断を置いて、なんとか読了しました。
正直中身は全然覚えていなくて、ただ読んだという、それだけ。
それなのに、とてもいい本だったと回想します。
内田先生が仏文学者であるというのは、忘れてしまいがちな情報です。
そういうプロフィールにさえ感化されて、フランス語を勉強し始めたりする。
本の効能とは、そういうところにあるんじゃないか。そう思うわけです。
レヴィナスの本は何冊か本棚にささっていますが、ほとんど読めていない。
でもいいんです。人生は長いのですから、いつかのタイミングで手に取る時があれば。
それにまだ、僕の手元の学術的リテラシーでは、レヴィナスには遠く及ばないのですから。
内田先生の『レヴィナスの時間論』は背表紙がオレンジ。でも、なんとなくイメージカラーは紫。厳かな感じがたまらない。
すごく好きです。