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二十一冊目『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

「府雨の読書日記」二十一冊目『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』


『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

 著 三宅香帆


 三宅さんは、大学の先輩(もちろん面識はない)なので、推しです。『「好き」を言語化する技術』も買いました(未読積読中)。


 年もそんなに離れていないのに、すごいなぁと、思うばかりです。


 学部でちゃぷちゃぷやっていた僕としては、新書なのに本格的な論考を読んで、なんとなく悔しいというか、恥ずかしい思いばかりします。


 僕の書ける文章といえば、こじらせた小説と、読書感想文だけなのですから。


***


 ふらふらしていた時期もあって、最近になって少しずつ仕事を始め、帰ればYouTubeで二時間を溶かしてしまう生活に、やばいよなぁ、と思っていたら、こういう新書があって、とりあえず買いました。


「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」


 二つあると思いました。


 一つは、主目的性。本を読むことが主目的になると、本は読めない。本は、結果的に読んでしまったもので、「本を読むこと」を目的に据えると、途端に作業になってしまうというもの。(これは、明確には書かれていません。でもそういうことが言われていると読み取りました)


 本を読むのは副目的的であるべきで、「勉強」は続かない、ということです。


 もう一つは「全身全霊」で働くこと。


 三宅さんは半身で仕事、半身で読書と記していました。


 最近仲良くしている新卒の男の子が、とても映画を愛しているのを見るにつけ、半身というのは、実は令和世代はすでに身につけているのかも、と思いました。


 平成世代の僕は、新自由主義的な思想がベースにあったので、自己責任論とか、何のための仕事とか、愚直に悩んだものですが、令和世代は、そういうのは超克しているのか、避けたのかわかりませんが、とてものびのびとやっていて、仕事もかなりできる。


 昭和のおっさん(六十代)と衝突するたびに「仕事だぞ?」と詰められるのですが、僕は最近開き直りました。


「僕は親切でやっているんです。仕事でやっているわけじゃありません」


 もちろんこれは、仕事は仕事であるという(バカらしい)定義からすれば間違っています。でも、僕の本心は、「プロ意識」みたいなものを、脇に置いて、括弧でくくることにしたんです。


 仕事は何のためにあるのか、というあまりにナイーブな答えのない問いには答えない。仕事は親切なんです。たとえ、おっさんがプロ意識でやっていたとしても、それはおっさんの事情であって、僕は同じ土俵には乗らないと、ここ最近決意しました。


 それに、仕事を仕事と思って、縦割りで自分の仕事だけやるのが当然で、「給料分は働くか」と思っているモラルのないおっさんより、ニコニコして親切にいろんな仕事を引き受けて、ちょっと失敗するくらいの方が、良くないですか?


 給料のために働いているとは、僕は思ったことがないですねぇ。


 主目的的な動機づけは疲れます。


 働かなきゃ生活ができないと思って、楽しく働ける人を、申し訳ないですが、僕は見たことがありません。


 働いてしまった、結果、お給料までもらえる、のです。


 本を読んでしまった、結果、教養がついたりつかなかったりする、んです。


 間違っても、知識をつけるために本を読んではいけない。本は楽しく読むべきです。


***


 三宅さんの本を読んで、いいなぁと思ったのは、勉強の話をほとんど差し込まなかった点です。


 読書と勉強、教養と知識なような、一見類似性のありそうな話が、実は全く別のものなんだなと、語られなかった部分に思いを馳せて、納得しました。


 僕の勉強は文字を書くことと、辞書を引くこと、それが楽しいのであって、勉強自体は、仕事と同じくらい億劫です。


 でも、勉強は自分に対する親切だし、仕事は他人に対する親切です。


 親切にはお金や知識という対価が支払われます。だから、僕にとって親切は仕事です。


 いくら、仕事の職業性を主張されても、僕がそれにうなずくことはないかな。


 それは、単に形式的に首尾一貫しているってだけの、遅れた認識なんです。


 僕の仕事の定義は、「他人に親切にすること」、これって、実は真実じゃないですか?


***


 働き方と読書をかけ合わせた、三宅さんの慧眼には、誠に恐れ入ります。


『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』も買いましたのだ。(未読積読中)


 マジで推し。

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