ありきたりな感想を。(4)
あれからフェルテ先生に扱きにしごかれまくってあっという間に私は魔力操作をマスターしました!!
……なんてことは無く。
実はあの後魔力操作が出来た喜びと安堵からか、思い切りぶっ倒れてしまいました。
そもそもトレーニング後だった事もあり、体力はミリしか残っていない状態でゲロイン連続発動し、更には神経使って集中しなければならない魔力操作を行うなんてよく成功したなってレベルだよ全く!!
この世界の大人たちはスパルタすぎる!エスターちゃん激おこぷんぷんしちゃうぞ!!
きっと怒った私も可愛いんだろうけど!!
そんな訳で本日も朝からお父様直伝のトレーニングをして体力をごりごりに削ってフェルテ先生との魔力操作…もとい、魔法の授業をやっていきましょう!!
「おや、ゲロ娘。今日はぶっ倒れずにやれるんだろうね?」
「げろむすめ…!?だ、大丈夫です!!」
「そうかい。
昨日教えた魔力操作の基本中の基本である浮遊魔法は出来るようになったから、今日はその延長だ。魔力に属性の付与をする方法を教えてあげようじゃないか」
「おねがいします!」
ゲロ娘…。
今日はシェイクされないみたいなのでぶっ倒れる心配も無さそう。…多分。
「いいかい?属性というのは生きとし生けるもの全てが持ついわば魔力の性格みたいなものさ。
使い方を間違えれば悪い性格にもなるし相手を傷つける事もある。
よくよく覚えておきな。
生物において性格という物は言葉や思想、行動に直結してみえてくる。
言葉は詠唱、思想はイメージ、行動は魔力への干渉だ。ここまで理解出来るかい?」
「イメージして、魔力にイメージを乗せて言葉で後押しする…?」
「まぁ及第点だ。その歳にしては理解が早いじゃないか。
概ねはそんな感じで大丈夫だけど、魔力に乗せるのはイメージだけじゃなくて自身の意思もだ。」
「意思…?」
「そう、例えば頭の中で走るイメージをしても実際に走っていなければ行動したことにはならない。そんなイメージは無意味だ。
走る。という意思を持って体に伝令を出して始めて行動を起こす。
つまりどんな属性のどんな魔法が使いたいのか、それをしっかりと魔力に乗せてあげるのさ」
なるほど。
イメトレだけで実際に体を動かさないと何も始まらないという訳ですか。
例えが分かりやすくて助かる。
「今の話を踏まえた上で、あんたはどんな魔法が使いたいんだい?」
「どんな魔法…」
「そうさねぇ…ここの家系は炎の魔法を多く使うものが排出されやすい。
あんたもそうするかい?それとも、他のエレメンタル属性の魔法か…はたまた全く違う属性にするか。
世界は広い。
重力を使う者、異空間を作る者、花を芽吹かせる者、生命を癒す者、音を轟かせる者、ひたすら自身のポテンシャルを底上げする者、ただ日常生活だけに使う者…
それ以外にもたくさんの使い方、発想がある。
あんたにはあるのかい?どんな者になりたいのかという意思が。」
「わたしは…」
先生、相手が4歳って分かってます?
「わたしは、こんな魔法が使えたら素敵だなって思います!!」
「ほう、あるのかい。
いいだろう、聴かせて貰おうじゃないかあんたの意思を。」
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あれから2年。
毎日毎日トレーニングをし、フェルテ先生と魔法の授業をし、着実に力を伸ばして行けたと思う。
この2年で私がフェルテ先生に習ったのは3つ。
まずは火属性の魔法。
これは自分の家系の影響なのか、すんなりと使うことが出来た。
2つ目は身体機能を底上げする身体強化魔法。今でこそお父様直伝のトレーニングは日課としてこなせるようにはなったけれど、それでも子の世界が未だにどんな世界なのか分からないので自身の身体の強化を出来て損は無いはず。
決して肉体こそ全て!筋肉は裏切らない!とかそういう思想から直結したとかそんなんじゃないんだからね!!筋肉バンザイ!!
そして3つ目。
これは私が日常的に使えたら便利だなーと思った魔法。魔法と言えば、と真っ先に思いついたのがこれだ。
それは【空間魔法】と呼ばれる魔法。
アイテムボックスや転移、索敵する際にもってこいの属性だ。
適性がないと使いこなすのは難しい上に構造を理解するまでに時間がかかる魔法ということだが、好きな事には一生懸命になれるのがエスターちゃん前世からの特技です!
…まぁ、大体の人がそうか。
なので2年の間に身体強化と火属性をメインに練習しつつ、前世の知識をフル活用して空間魔法の理解を深め実行、失敗、再度練り直し、実行と言うように試行錯誤しながらここまで来た。
貴族の血筋と言うものは魔力の純度が高いらしく、極めさえすればある程度の属性を使えるレベルにはなれるらしい。
そこは貴族に産まれて運が良かったと言うべきか。
現段階で使える空間魔法は狭い範囲での索敵魔法、アイテムボックスみたいな異空間を作り上げて物を収納する魔法。
アイテムボックスのイメージなんてどうつけたらいいのか分からずに1年程費やしてしまった。
結果的には広い車庫の壁に物を置ける棚がある、みたいなイメージで行けた。
分かりやすく言うと時間経過の無い格納庫のようなもの。
整備、待機、収納それぞれが出来る便利魔法になりましたとさ。
このアイテムボックスの詠唱は特になく、強いて言えば使う時に取り出したいものの名前を口にする。位だろうか?
収納する時は物に触れつつ「コレクション」と言うだけ。
中々便利でしょう?
時間経過がないので暖かい料理も冷たいデザートも入れることが出来る上にストックまで出来るという優れもの!アイテムボックスが完成してからと言うもの、私はあらゆるものをコレクションしている。
食べ物や衣類、日用品にジュエリーにお金エトセトラ…
魔力が切れない限り私に恐れることなどは無いのである!!
このアイテムボックスの存在を知っているのは今のところフェルテ先生のみ。
というのも、アイテムボックスにお金やジュエリーを入れているからだ。
詰まるところ、私は歩く金庫みたいなものだ。
流石に公にされると貴族というのも相まって誘拐されたり最悪お陀仏してしまう可能性が高くなってしまう。
なので、自己防衛能力がちゃんと備わるまではフェルテ先生との秘密である。
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