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悪役令嬢ラーメン

作者: 山田 勝

 我の名前は、不退転のラーメン戦鬼!山中大全なり!


 ラーメンに愛などいらない。

 我の批評は、誤魔化さず。こびず。買収されずで、人気があるでござる!


 ラーメンは芸術なり!


 今日は、『悪役令嬢ラーメン』に来ているなり!



「お好きな所にお座り下さいませ」


「うむ」


 メニューを見る。


 な、何と、ブタのラーメンがある!


 至高のラーメン!三郎系ラーメンなり。

 まさか、こんな田舎で、女は外人、ドレスにエプロンなり。


『おめーは日本に何しにきたでござるかYO?』の番組か?

 これは、期待できるなりか?


「ブタのラーメンを頼むなり!」

「分かりましたわ」


 女は奥に入ったなり。



 ☆☆☆7分後


 チーン!


 チン?レンジの音なり!


「お待たせしましたわ」


 コト!


「コンビニ、エイトツエローのラーメンなり!」


「ええ、そうですか?」

 馬鹿にしているなり。


「女将!我の名を知っているなりか?!」


「知りませんわ。まあ、貴方様は、初対面の方に、いきなり自分のお名前をお聞きしますの?名乗っておりませんのに」


「我は、山中大全なり。不退転のラーメン戦鬼なり!ラーメンを知らないブタ、サル!悪役令嬢なり!」


「まあ、失礼ね!悪役令嬢がおラーメンを作ると思っておりますの?心を込めて温めておりますわーーーー」


 ウヌヌ~~~


「こちらのおラーメンは、お三郎系に行きたくても、敷居が高くて行けないと思う気弱な平民のお方々のためにございますわのよ!」


 我は、スマホの録音アプリを起動し、奴を叱ったなり!

 我のチャンネルに、音声をあげてやるでござる。


「もういいなり!会計をするなり!」


 我は代金を机の上に置いて、帰ったなり。



 ガラガラ~~~~


 山中と入れ違いに、近所の小学生が入って来た。


「エメラルダスお姉ちゃん。激安スーパー冷蔵メンちょーだい」


「フフフフ、少し、伸びているけど、こちらのブタのラーメンを食してくださいませ。手はつけられておりませんわ。フードロスですわ。お代もいらないですわ」



「うわ~有難う」


 ズルズルズル~~~~


 彼は、近所の小学生、鈴木殿ですわ。平民だけど家名持ちですわ。


 私は彼に今日の事を話したわ。


「え、山中大全、すごいよ。ラーメン界のニューウェーブだよ」


「そうかしら、彼と口論しましたですわ・・・SNSに報告をすると言っておりましたわ」


「エスメラルダ姉ちゃんは、そのままで大丈夫だよ。ところで、魔王軍は見つかった?」


「まだですわ」


 ・・・そう、私は魔王軍討伐のために、一人で来ましたの。



 ☆☆☆


「エスメラルダよ。魔王軍が、勇者様の本国に攻め入った。行ってくれないか?」


「そんな。私は魔王討伐に参加したいですわ!何故?」


「勇者様の国には魔法がない。精神感応波を使う幹部が行ったのだ。魔力反応で、おおよその位置が分かっている。君は状態正常化のスキルがあるから適任だ」


「そ、そんな」


「我が一族で、聖女の資格がないのは、お前だけだ。聖女は人を思いやる心がなければ、ジョブが授からない。修行だ。勇者の国に行くのだ!」


「お父様!いやですわーーーーー」

「うむ。強制転移!」


 強制転移されてお金もございませんの。ドレス、身一つ、着のままで来ましたのよ。


 そこで、出会った田中のお婆さまに、ラーメン屋の店員をやらないかと、提案されましたの。



 ・・・・・



「でも、魔道網(sns)に、私の悪口を言われたら、廃業ですわ。田中のお婆さまにご挨拶に行きますわ」

 私は唯一の顧客の鈴木殿をお見送りした後、

 畑に向かいましたの。


 私は、畑仕事をしている田中様に、今日の売り上げ、1000円しかないと言いましたの。


「ええって、元々は、子供がカップ焼きそばとか食べる駄菓子屋だったのじゃよ」


「お婆さま・・グスン」


「アメちゃん。お食べ・・・」

 ドタン!


「お、お婆さま!」


 ・・・病気かしら。いや、違いますわ。気配を感じますわ。

 魔王軍!畑を囲まれておりますわ!



 一匹の白狐が二本足で立っておりますわ。魔素から分かりますわ。魔王軍ですわ。


「コーンコンコン!魔王軍、後方攪乱部隊、狐軍師!お前は、勇者パーティーの落ちこぼれか?」



 ・・・何を、お婆さま!


「コーン!安心するが良い。精神感応波で眠らせているだけだ!」


 数十体いる。

 厄介だわ。

 ハクビシン、アナグマ、まあ、この方々、似ていますわ。別種である理由はあるのかしら!


 この地の害獣を操っておりますのね。

 簡単にやっつけられますわ!


「コーン!この世界には、狩猟法と動物愛護法があるコン!ピーポー君の中の人に捕まるコン!

 殺したら、動物愛護団体が、このばあさんの家に抗議活動がくるように誘導するコン!

グシシシシシシシシシシ」


「な、何ですって!」


 狐軍師が、スマホ持っていますわ。動画を撮る気ね。


「このお野菜は、お婆さまが一生懸命に作ったお野菜ですわ!食べるのはお止め下さいませ!」


「コーン、だからいいのだ。勇者の国の畑を荒らして、活力を奪う。やがて、この国は野菜不足になる」


「こ、このケダモノめ!ですわ!」


「コーン!何だと、やっちまえ!」


 ハクビシンロケット!アナグマロケット!が飛んできましたわ。

 狐軍師に操られておりますわ。


 私はよけることが出来ませんわ。

 柵を跳び越えてきたら、お野菜が食べられてしまいますわ。



「コーン!噛むのは勘弁してやる!保健所が動き出したら、厄介だからな」


 まあ、何て、狡猾!手強いですわ!

 この地の民を守りたいですわ!

 お婆さまを助けたいですわ!


 強く念じましたら、私の体が青く光りましたの。


 ポワ~


「まさか、私に聖女の力が顕現したのかしら」


「コーン!この地の獣どもよ。我の盾になれ!聖魔法は、魔獣しか効かない」


 どうしようかと思っていたら、鈴木殿が来ましたの。


「ポチ!狐を追い払え!」

「ワン!ワン!ワン!」(遊んで!遊んで!)


「「「ギャア!」」」

「コーン、一時、撤退だ!」


「ハア、ハア、ハア、ワン!」(ハア、ハア、ハア、遊ぼ!)


「どうしたの?お姉さん。あ、お婆さん!」

「おや、どうしたのかのう。すっかり、寝てしまったようじゃ」


 良かったですわ。お婆様は無事ですわ!

 私は、明日の朝、この家を出ようと思いますの。



 ☆☆☆次の日


 朝から、悪役令嬢ラーメンの前に、人が並んでおりますわ。お祭りかしら?


 ワイワイガヤガヤ~~~


「まあ、皆様、どうしたのかしら、何故、こんなに並んでいるのかしら!しかも、殿方ばっかり・・・」


「あ、そのラーメンを食べに来ました!」

「僕たち、昨日、山中大全のチャンネルで見ました!」

「あの大全を、罵倒するなんて感動しました!」

「しかも、ブタとか、デブとか不細工とか悪口を言わないなんて、素晴らしいです。俺を罵倒して下さい!」


「何ですって!!」


「さあ、叱って下さい!」


「私に、コンビニに買いに行けと言いますのーーー、最短のコンビニ四キロですわ!」


「「「助かる~~~~」」」


 まだ、エスメラルダは、しばらく、このラーメン屋にいるようだ。



 一方、狐軍師は、



 ☆☆☆聖女市、市民議会


「コーン!今度は、賢者会議に侵入して、賢者を居眠りさせてやる!そして、地方は活気を失うのだ!」



「クピー、グゴーーーーー!」

「恥をしれよ!」

「ああ、体調がわるいんじゃ」


 コーン?既に寝ている。もしや、仲間が!いや、いない。どうしたことだコン!


 コーン!魔王軍会議で寝れば、即死刑なのに、


 狐軍師は、混乱していた。





最後までお読み頂き有難うございました。

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