パン屋
アズマのパン屋についた。
店内は落ち着いた雰囲気の店だ。
今日は、休みのようで、客もいなければパンもおいていない。
「いいお店ですね」
「そうか、ありがとう、お世辞でも嬉しいよ」
アズマがニコリと笑う
「お世辞だなんて、本心ですよ」
「そうか、そうか、ありがとな、じゃあ調理場を案内するよ」
その後、アズマに調理場等、店内を一通り案内してもらい。仕事の内容の説明を受けた。
俺がする作業は、難しい作業はなく雑用みたいな感じであった。
体力にはそれなりに自身があるので、悪くないなと思った。
「とりあえずは簡単な仕事から、やってもらうけどいいかな、実際にパンを作るのもしてみたいとコウくんが思うなら、少しずつ教えるけど」
「いえいえ、いつまで入れるかも分かりませんし、そこまでしてもらうのは悪いですよ」
俺がそうゆうと、アズマは少しだけ、顔を曇らせる、何か気に触ったのだろうか
「そうか、コウくんがそれで良いなら」
やはり少し表情暗くアズマが話す。
「あの何か気に障りましたでしょうか」
「すいませんね、コウさん、この人パン作りを人に教えたくてしょうがないんですよ、レンカに教えようとしても煙たがれるから」
カレンが笑いながら話す。
「そうなんですか?」
俺はアズマの顔を、伺う。
「バカ、カレン恥ずかしい事を言うな」
アズマが照れ笑いを浮かべる。
「でも、本当の事じゃない」
「まあ、そうなんだがな、ということで、どうかなコウくん、パン作りに興味はないかな」
「はい、興味はあります、迷惑にならないのであれば、教えてもらいたいです」
「そうか、良かった、ありがとう、よろしくな」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
その後、少し雑談をしたあと、俺は家路についた。
風呂に入り、ベッドに横になり天井を見上げる。
思いもかけず仕事が決まり、気分が良い。
アズマさんも、カレンさんもいい人そうだ。
しっかり働かなきゃなと思う。
ただ色々思いがけない事があり少し疲れた。
今日はもう寝ることにしよう。
明日の、朝からさっそく仕事が始まる事だし。
朝になる気づけば寝ていた。
少し緊張しているためか、早くに目が覚めた。
のんびりする気にもなれず、準備をして時間を待つ。
約束の時間までやる事もないので、特に意味もなく体を動かす。
落ち着かない、そわそわしている自分を感じる。
期待なのか緊張なのか、微妙なところだ。
約束の時間の少し早めにアズマの店にいく。
鍵をもう開けてあるみたいで厨房までいくと。
アズマはもう、作業に取り掛かっていた。
真剣な眼差しをしている。
少し身が引き締まる思いがした。
俺が近づくと、アズマは気づいたようで顔を上げる。
「おはようコウくん」
「おはようございます」
それから、アズマに教えてもらいながら作業を手伝っていった。
パンが焼け、店に並ばられると、カレンと一緒にお客さんの対応をしたりした。
何だかんだ、一日が終わる
なれない仕事のせいか、疲れを感じた。
けれど心地よい疲労感でもあった。
「お疲れ様コウくん、一日ありがとうね、疲れたでしょ今日は」
アズマが労いの言葉をかけてくれる。
「そうですね、疲れました、でも楽しかったです、ありがとうございます」
俺は頭を下げる、アズマは丁寧に教えてくれたし、お客の雰囲気もよかった、気持ちよく働く事ができた。
「そうか、そう言ってもらえると私も嬉しいよ」
アズマが機嫌良さそうに言う。
「良し、今日は終わりだ、コウくん時間があるなら、一休みしていかないか」
アズマに問われた。
時間はある、家に帰っても特にすることもないしな。
俺が頷くと、家の中弐案内され、テーブルにつく。
「お疲れ様です、コウさん、紅茶ど良かったかしら」
カレンが、俺の前に紅茶の入ったコップをおく。
「はい、ありがとうございます」
「後これ、今日の残りだけど良かったら」
そう言ってカレンはパンが入ったバケットをテーブルにおいた。
「ありがとうございます、頂いていいんですか」
俺がそう言うとカレンがにこやかに頷いた。
俺はバケットからベーコンの挟まれたパンを取り出すと齧りついた。
美味しい、出来たてではないが、とても美味しかった。
「美味しいです、めっちゃ」
「そうだろ、美味いだろ」
アズマが嬉しそうに言う。
カレンも笑っている。
その後紅茶を飲んでいると。
レンカが部屋に入ってきた。
「コウ兄ちゃんや、精霊石の使い方教えてよ、仕事終わったんでしょ」
はち切れんばかりの勢いでレンカが言う、キラキラしてる、もしかしたら、ずっと楽しみに待っていたのかもしれない。
「レンカ、コウさんは疲れてるのよ、今日は一日目なんだから、無理言わないで」
カレンがレンカを嗜める。
「えーでも、早く教えてもらいたい」
レンカが頬をふくらませる。
「いいですよ、ちょっとくらいなら、まだそんなに遅い時間でもないし」
「やったー、ありがとうコウ兄ちゃん
「良いんですか? 本当に、無理しなくてもいいですよ
「いえいえ、無理なんてしてませんよ」
「ありがとうございます、ではお願いいたします」
カレンが頭を下げる。
「レンカ良かったな、コウくんの話しを、ちゃんと聞くんだぞ」
「はーい 分かってるよ父さん」
「では庭をお借りしてもよろしいですか」
アズマが頷く。