表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⊕ヒトのキョウカイ02⊕【未来から やってきた機械の神たちが造る 理想国家₋ユートピア₋】  作者: Nao Nao
ヒトのキョウカイ2 4巻 (Rabbit Wars-ラビッド ウォーズ-)
99/339

09 (デジタルゲーム)〇

 1707年秋…冒険者ギルド。

「う~ん、どうすっかな…」

 オレは オレが白い紙に文字が書かれた書類を見る。

 この紙は 前まで緑色ぽかった雑草紙に次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を入れて白くした物だ。

 そこには新しく開発した ディスプレイとコンピューターのスペックや用途(ようと)が書かれている。

 オレは経済などの数字系は得意だが、当然ながら商人では無いので売り込みをした事はない。

 う~ん如何(どう)やって普及させるか?

 歴史を参考にするなら、ミサイルや砲弾の弾道予測がメインになるのだろうが、市場を作る為に市場が無い物を作るのもな…。


「何か困っている見たいだな。

 私が必要なら協力するが?」

 ハンバーグセットを乗せたトレイを持っているクラウドがオレが作業に使っているテーブル席に座って言う。

 あ~もう夕飯か…。

「おっ…専門家に聞いてみるのも良いか…クラウド コイツを見てくれ」

 オレが さっきまで見ていた書類を渡す。

「おっ…ディスプレイとコンピューターだな。

 ふむ…文字や絵を映せるなら 色々出来そうでは あるんだが、需要(じゅよう)がないな。

 コレ多分、売れないぞ」

 クラウドが書類を流し見しながら言う。

「分かってる。

 でも、良い製品だろ…これを如何(どう)にかして売りたい。

 そこで専門家の商人の知恵を借りたいんだ」

「そうだな。

 まずは大前提(だいぜんてい)、安くする事。

 低所得者の給料1ヶ月分以下になれば、買い手も多くなる。

 それと宣伝…もう皆 文字が読めるから、チラシを配っても良いけど、効果は薄い。

 既存の物とは 全く違うからな…だから 1番良いのは実演(じつえん) 販売。

 皆が集まる所で 実際に商品を動かしてみて、購買者の興味を引く。

 実際に購買者に 触らして見るのも良いかも知れない。

 まずは、如何(どう)言う商品かを徹底的に購買者に宣伝して、欲しい需要(じゅよう)を掘り出す。

 例え買ってくれる人が少数でも、商品が良ければ 購買者が(くち)コミで勝手に宣伝してくれる。」

「ふ~ん…その実演(じつえん) 販売のやり方は?」

「子供の目線で宣伝(せんでん)する事かな…。

 極端な話 教養の無いバカでも、興味を引けて、理解出来て、商品を使いこなせれば 確実に売れる。」

「となると、アレ しかないかな…」

「おっ何か 思いついた見たいだな。」

「まぁな…。」

 オレはそう言って席を離れ、クオリアに渡された最新型の小型化された試作4号機を持って川沿(かわぞ)いのブラウン管ディスプレイがあるコンテナへと向かった。


 3ヵ月程経った 1707年…冬。

 雪が降り始めて仕事が休みになる事が多くなり、労働者達は 冒険者ギルドで、トランプなどのゲームをして過ごす事が多くなった。

 そんな夜…夕食を食べに来た 労働者達は 新たなに作った2人用の特殊テーブル席の前に集っている。

 そこのあるのは、ディスプレイが()め込まれたテーブルで、ガラステーブルの下に ニューロコンピューターとレーザーディスプレイがあり、計算結果の映像を送り続けている。

 ピュンピュン…。

 左右の席に座るプレイヤーが、宇宙から来たワームと言う侵略者(インベーダー)のビームの攻撃を盾で防ぎつつ プレイヤーの自機から発射されるビームで倒していく。

 そして、侵略者(インベーダー)を倒しながら射線上にいる別プレイヤーも攻撃する。

 自機、侵略者(インベーダー)共に16×16のドットのサイズで、256色の色が扱える中でジガが描いたドット絵は、もはや芸術作品の様に美しい。

 デジタルゲームが普及のキッカケとなった 大ヒット シューティングゲームで、1週間程 経っているが こっちでも大人気見たいだ。

 ただ操作に使っているのは ゲームコントローラーでは無く、キーボードなのだが…。

「おっ実演 販売は上手く行っているか?」

 オレを見たクラウドが やって来て言う。

「まっ…今はデジタルゲームで遊ばせて『自分も作って見たい』と思って(もら)う所かな。

 コレに ハマったマニア達に コンピューターを買わせるには もう少し時間が掛かるかな」

「このゲームは 私でも作れるのか?」

「ああ…多分作れる。

 時間を掛ければ もっと良い物もな。

 ゲーム作成ツールを間に(はさ)んでいるから、複雑な命令をコンピューター側に入力しなくても済む。

 と言うか この3ヵ月の大半の時間は コンピューターにエスペラント語をひらすら教えていた。」

「命令じゃなくて言語自体を教えていたのか?

 ゲームを作るには 無駄じゃないのか?」

「ああ…今は無駄だよ。

 でも、言語を教えて応用力を付けさせた方が後々ラク…。

 例えば『こう言う仕様のプログラムを作って』って言う曖昧(あいまい)過ぎる命令も学習して作れる ようになるからな。」

「ゲームだけじゃなくて、コンピューターの学習も含めれば、効率が良いと言う事か?」

「そっ…。

 だから このゲームも大半の処理能力は 学習の為に使われている。

 今だと 対戦しているプレイヤーの キー入力から、コンピューター側が相手に勝つ方法を学習している。

 これが成長すれば、ゲームの対戦相手になってくれる。

 で、この経験は 他に作ったゲームでも役に立つんだ。」

「なるほど…確かに これは売れそうだ。

 で、ナオ…朗報だ。

 初期生産していた12セットが全部 売れたぞ。

 予約からして後12は行ける。」

「分かった。

 ただ一般の会社を作って そっちで製造するから追加の人数がいる。

 今は募集を掛けて教育中で、次の12セットが出来るまで3ヵ月は掛かるかな。

 それからは早いんだろうけど」

「分かった…伝えておく。」

「えいえいえい…」

「のはあ~」

 ゲーム席では クロエとその子供のミアが仲良く対戦をしている。

 奴隷船内でミアを出産したクロエが ここに来た時は常に怯えている性格だったが、今は冒険者ギルドの端にある小さな売店で日用品を売る仕事をしていて、比較的明るい性格で安定している。

 ミアも最初は不安だったが 今では健康優良児に育っており、ロウの袋から出て来た ハインに歩きを教えたり、話相手になっている友達だ。

 今のゲームの熱中度から見て、将来はゲーマーか?プログラマーか?

 いずれにしても彼女の将来が楽しみだな。

 オレはそう思いながら自室に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ