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⊕ヒトのキョウカイ02⊕【未来から やってきた機械の神たちが造る 理想国家₋ユートピア₋】  作者: Nao Nao
ヒトのキョウカイ2 2巻 (研究者の町 ロンドン)
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18 (良い国 造るなら まずは人材から…)〇

「さて…ようやく出来たな…。」

 ナオ(オレ)はコンテナハウスで出来た 学校を見て言う。

 全クラス合わせて 生徒を120人収容出来る規模だ。

 ただ、音楽室や美術室は教えられるヒトがいない為 無く、黒鉛(こくえん)炉やプレス機がある工業機械が充実していて、工業学校と言う感じになっている。

「予想より早かったな。

 これで技術継承(ぎじゅつけいしょう)が出来るな…」

 隣のクオリアが言う。

「とは言え、カリキュラム作成は 実際に運用して見てからだしな…。

 まずは文字と四則計算を覚えさせないと」

「そうだな…。」

 クオリアがそう言うと、2人は学校の中に入って行った。


 現在生徒の数は おおよそ30人…内20人が女性で 10人が男性…その中で 子供の数は 男女合わせて5人となっている…。

 これが この村の余剰(よじょう)人員だ。

 最初は 黒板に あいうえお表を張り付けて 文字の読み方の発声練習と その文字を聞き取って雑草紙に文字を書く練習を させる。

 ひらがなとカタカナは 日本語の発音と完璧にリンクしているので、非常に教えやすい。

 これが英語になると 文字の組み合わせで発音が変わる例外処理があり、非常に面倒になる…。

 と言うかオレも一応 会話が通じるレベルで話せるが、日本語の言語回路が もう頭の中で出来ているので 細かい発音は 諦めてカタカナ英語状態だ。

 で、昼休憩を取った後の午後は ジガが作ってくれたカルタを使って 皆と遊び、相手に勝とうとする欲求を発生させる事で、遊びながら文字を覚えてくれる。

 特に 子供達の学習能力が非常に高く、興味を持続させて 丸一日勉強すれば 夕方には 大人顔負けのカルタ取りに変わっている。

 これは、9歳辺りで 脳の回路が環境に最適化され、それ以上は 新しい事を覚えにくくなるからだ。

 そして 文字さえ覚えてしまえば 本を読んで自発的に情報を仕入れる事が出来るようになるので (さら)に賢くなる。

「これで文字は 大丈夫かな…。」

 数学も基本は一緒だ。

 午前に計算を雑草紙で練習して、午後にゲームを通じて計算を覚える。

 これを広める事で、学校に行っていない人も学校に行ってみたいと興味を持つかも知れない。

 そして…。


「やっぱりこれだよな…。」

 最低限の学力を得た生徒に次に渡すのは 教科書だ。

 ただ、オレ達が この島にやって来た建国神話を冒頭に入れて、海から貝を回収して焼いて、様々な物質の調合をし、モルタル、炉、石鹸、ガラス 炭素繊維、黒鉛炉、車と一通りの作り方を絵で分かりやすく書き、道徳も含めて()せている。

 後はハルミが 衛生管理の教科書を執筆中で、今後 カリキュラムに組み込まれるだろう。

 そうすれば、現状ワンオペ状態のハルミが医学生に仕事を振り分ける事が出来、負担が大幅に減る。

「よっ学園長…。」

 廊下から一通り教室を見ながら歩いて見ると学園長…ジガに言う。

 彼女は 風呂屋を経営していたのだが、従業員に任せられる様になったので、今度は学校の先生役をやって(もら)っている。

「学園長ね…。

 文字は 子供達が覚えて先生役になっているし、工業機械は、仕事をしている大人達が教えている…あまり やる事が無くて暇だ。」

「手間を掛けずに運営出来ているなら、それで良い。

 ジガは、先生候補の中から本職にする人を選んでくれ…。」

「面接官って訳か…」

「そう…後は雇った後の業務マニュアルの作成かな…。

 最初の人材が出来たら、その中から学園長を任せられる人物を探す。

 オレ達は 神らしく最低限の手助けだけで国を運営出来る様にする。」

「ウチの負担の軽減か?」

「そ、機械じゃなくて 人を使った自動化だな。

 ただでさえ、オレ達は兼業(けんきょう)が多いからな~。

 オレは行政や 問題が起きた場合、あちこちに行かないと行けないし…。

 ハルミは 村の衛生管理に 外科に内科に小児科に産婦人科まで、ワンオペでやってるからな…。」

「今だと ナオとハルミが一番負担が大きいんだよな…。」

「まぁオレは独裁者である以上、休んだら国が回らなくなるからな。

 それにクオリアが手伝ってくれているから まだ余裕はある。」

 クオリアは、オレのサポートに鉱物の採掘、新しい機械の開発に出来た工場の管理など。

 最近あまり会わないが、ロウも ウサギの管理と狩猟採取がメインで、クラウド商会の荷馬車?の護衛も担当している。

 農耕(のうこう)での収穫を待っている 今の状態では、ロウのチームの仕事が この国を支えていると言っても良い。

 後は、クラウド…。

 銀行とクラウド商会の物流と担当していて、彼が物流と金を掌握(しょうあく)している状態だ。

 彼が機能しなくなれば 物流が(とどこお)り、国が亡びる。

 そして、ジガは娼婦の管理と風呂屋の経営に学校の経営だ。

 当然、将来の人材が(とどこお)れば国の崩壊に繋がり、全員ロクに休めていないのが現状だ。

 まぁ文明チートを使う都合上、その知識を持っている優秀な個人の負担が激増(げきぞう)するのは当たり前なのだが…。

「それじゃあ…オレは そろそろ冷凍庫が出来るから行くよ」

 ワームの騒ぎで 遅れているが、クオリアの主導でスターリング冷凍機

の試作実験が行われている。

 オレが設計し、クオリアが パーツから全部 ワンオフで作ったので、量産には向かないが、このデータを元に量産型を作る様だ。

「ああ…多分 来年位になれば、仕事もラクになるだろうな…。」

 そうジガが言い、オレは学校を後にして冒険者ギルドの隣にある冷凍倉庫へと向かった。

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