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⊕ヒトのキョウカイ02⊕【未来から やってきた機械の神たちが造る 理想国家₋ユートピア₋】  作者: Nao Nao
ヒトのキョウカイ2 2巻 (研究者の町 ロンドン)
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10 (バトロアゲーム)〇

 夜…。

 夕日が沈み、皆が食事の為に冒険者ギルドに集って来て 食事が始まる。

 そして、ナオ(オレ)も電気とAR食で食事をしながら 書類作業をする。

 村を武力で制圧し、しかも急速な技術改革…。

 まだまだ国が発展途中で、ある程度 落ち着くまで オレはブラック労働だ…まぁ独裁者だから仕方ないのだが…。

 少し流れが落ち着いた所で、クラウドがセルバにトランプの遊び方を教えていて、別のテーブルでは クオリアがTRPGセットを出して皆にゲームの説明をしながら遊んでいる。

 オレは気晴らしに席を立ち、クオリアがいるテーブルを見に行く。

 プレイヤーは 4人で、24×24のマスが入っている板の四隅に剣士のコマを配置…。

 各プレイヤーの横には ステータスが、おはじきを置く事で表現されていて、体力が6…攻撃力、守備力、素早さがが それぞれ3ずつ…。

 ただ、ゲーム開始時のキャラメイク時に他のステータスを下げる事で、別のステータスを上げる事が出来、攻撃特化や防御特化などに出来る仕組みになっている。

 今回は 初めてのゲームの為、ルールが非常に簡単で分かりやすい『バトロア』。

 4人のプレイヤーが順番に素早さの数だけ移動し、接触したらバトル開始…。

 逃げたり戦ったりしつつ、最終的にプレイヤーが1人になれば、そいつが勝者だ。

 TRPGと言いつつもストーリー要素が一切無い。

 多分、こう言った簡単なゲームで基本を学んだ所で、ストーリーモードが追加されるのだろう。

 クオリアはゲームを面白くする為、好戦的な行動に出て、プレイヤーを1人ずつ片づけて行こうとする。

 他のプレイヤーとバトルになり、クオリアがサイコロを振って4が出る。

 相手の素早さ以上の数字を出したので攻撃成功…。

 攻撃側の攻撃力から 防御側の防御力を引いた数がダメージとして入る…。

 ただし、同数の場合は1のダメージを受ける。

 ちなみにクオリアのステータスは、体力6、攻撃力3、防御力3、素早さ3のバランス型 状態なので、防御するには 防御4以上にする必要があるが、そうなると ステ振り時に他のステータスを1つ犠牲にしないと行けなくなる。

 ただ、現状では全員バランス型なので、1ダメージずつ ちまちま やって行くしかない。

 さて、この状況を打開する方法が 宝箱マスであり、攻撃力を3上げる剣や防御力を2上げる盾、素早さを2上げる靴…体力を3回復する薬があり、プレイヤーは これら取り合う事になる。

 そして、ここでステ振りの効果が戦略に効いてくる。

 つまり、攻撃力に特化にして アイテムを取る前にプレイヤーを仕留める方法。

 防御特化して、ちまちま相手にダメージを与えて行く方法。

 素早さ特化で、攻撃を回避しつつ 最速でアイテムを確保して自分を強化する方法。

 主に この3種類の戦略に分かれて行く。

 クオリアは 剣を取って攻撃力6になって 1人を倒すが、敵との戦闘中に他のプレイヤー2名がコマを進めて行き、盾と靴をGET…。

 そのまま戦闘に突入し、勝者が敗者のアイテムを装備して、攻撃力3、防御力5、素早さ5となり、クオリアと交戦。

 サイコロで5、6を出せないと攻撃を加えられないクオリアは、ことごとく攻撃が外れ、ちまちまと削り取られて行った。

「うん…負けたな…。」

「よしゃああ」

「それじゃあ ステータスを変えて もう一回やってみようか‥。」

「おう…。」

 クオリアは体力3、攻撃4、防御4、素早さ4だ。

 あ~この時点でクオリアの本気度が分かる。

 六面体サイコロの場合、平均値は3.5に収束する…つまり最小のコストで最大効果を期待するとなると4が正解になる。

 他のプレイヤーは、攻撃特化…防御特化、素早さ特化と綺麗に分かれていて、クオリアが最短で向かったのは剣…。

 これで攻撃力が6になったクオリアは 防御特化のプレイヤーを攻めて、盾の取得を防いで落とし、防御6…この時点で クオリアは ほぼ勝利だ。

 攻撃特化型のプレイヤーは クオリアに1ダメージしか与えられず、クオリアは2ダメージ…。

 それでも体力が少ないクオリアが不利だが、後で薬を取れば良い。

 と思っていたが素早さ特化に薬を取られ、クオリアが靴を取りバトル。

 互いに6分の1でしか当たらないが、相手は クオリアの防御力が高くて攻撃が一切通らないので実質、クオリアの勝ちだ。

「勝った。」

「難しいな…。」

 このゲームの勝ち方としては 相手のステータスを見て、立ちまわり方を変えていく事が基本になって来る。

 単純な割に意外と奥が深いゲームだ。


「これは人気が出そうだな…。」

「私としては クトゥルフ神話をやりたいのだが、当分 先の話になるだろうな…。

 物語の比喩表現(ひゆひょうげん)が伝わらないからな」

 クオリアが席から立ち上がり、オレと一緒に他のプレイヤーがプレイする次のゲームを見ながら言う。

「と言うと?」

「見た目は体長2~3メートルの巨大な昆虫。

(アリ)のように見えるが角は短く、背中に蝙蝠(コウモリ)のような羽、4本の腕、皮膚と目は人間、耳と口は爬虫類のようにも見える。」

「ビヤーキー?」

「そうバイアクヘー…。

 これをプレイヤーに想像させるには、まずはメートルを理解させて、アリ、コウモリとは如何(どう)いう物なのか教える必要がある。」

「アリは そこ等中にいるが、コウモリはいるのか?」

「おそらく いると思うが、分からない。

 とは言え、一番 教えるのが面倒な 色の概念(がいねん)を11色も持っているのは創始者(そうししゃ)レナのお(かげ)だな…。」

「ん?如何(どう)いう事?」

「そうだな…工業化をしている国では、基本的に 黒、白、赤、緑、黄、青、茶、オレンジ、ピンク、紫、灰色の11色の言葉をベースに色分けがされている。」

「ああ…。」

「ただ、文明が未発達の文化圏では 黒、白、赤の3色、または緑を入れて4色しか無い事が多い。」

「それは、色覚異常か?」

「いや…ちゃんと色の違いは認識はしている。

 と言うのも人工的に染料を作れない時代だと、日常的に見る色数が少ないからだ。」

「う~ん…黒が暗い、白が明るい、赤は火の色、緑は森の色って事か?」

「そう、森の中で生活するなら それだけの色でも不自由はしない。

 アトランティス村の場合は オレンジ、ピンク、紫の言葉が無い可能性が高かった。

 だが、色々な色の果物が栽培されていた事もあって、色の言葉の消失が防がれている。」

「で、その果物の木をレナが植えた訳か…。

 それで クオリアは、何種類の色の言葉を持っているんだ?」

 オレは少し気になって聞いてみる。

「私が色の識別に使っているのは 256色だな…」

「8bitカラー?」

「そう…もちろん(カメラ)が感知出来る色数は 人より多いのだが、色の情報量が増えても処理に時間が掛かってロスになるからな…。

 日常生活なら256色を扱えれば十分事足りる。」

「オレは?」

「ナオのブレインキューブの画像認識プログラムが如何(どう)なっているかは 知らないが、芸術家で無い人なら精々が16色と言う所だろう。」

「4bitか…。」

「実際、私が人と会話をする時も4bitに変換して伝えているからな…。

 まぁ情報をシンプルに加工出来るのが人が身に着けた特徴だ。

 意思疎通に支障が出ていなければ問題無い…。」

「そんな もんかね…。」

「そんな もんだ。」


「ナオ…暇ならトランプ?をやらないか?

 人数がいなくてな…。」

 別の席でセルバとトランプをしているクラウドが言う。

「あ~分かった 行くよ…。」

 オレはそう言うと、クラウドの元へ向かって行った。

 そして、これらは娯楽の少なかった 労働者の数少ない娯楽になり、夜遅くまでゲームで盛り上がるのであった。

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