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⊕ヒトのキョウカイ02⊕【未来から やってきた機械の神たちが造る 理想国家₋ユートピア₋】  作者: Nao Nao
ヒトのキョウカイ2 2巻 (研究者の町 ロンドン)
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05 (ドールハウス)〇

 翌日…。

 ナオ(オレ)は役所で この数日で溜まっていた書類作業をクラウドとしている。

 クラウドは 現場の意見も聞いて ちゃんと記録を取っており、今の所 問題は なさそうだ。

 そして、オレのパートナーのクオリアは 別のテーブルで ピンセットを使って ミニチュアのドールハウスを作っている。

 ドールハウスと聞くと可愛いイメージを持つが、そんな事は無く、サイズ以外 全て本物と同じのリアル仕様にした 10分の1の縮小サイズの建物だ。

「よし…完成した。」

「おっ出来たか…どれどれ…。」

 オレが作業を中断してクオリアが作業していたテーブルに行く。


 家の壁は炭素繊維で出来ていて その上からガラスが塗られている。

 側面の壁は凸凹(デコボコ)の波をうつ形になっていて、こうする事で少ない素材で家の強度を最大に引き上げている。

 この設計は完璧に20ftの物流コンテナだな。

 確かにコンテナなら大量生産出来、強度も十分だろう。

 (さら)にトラックが出来たら このコンテナを引かせて物流コンテナにする事も出来る。

 コンテナの入り口には ちゃんとしたドアと窓があり、窓は白っぽくなっていて中が見えないようになっている。

 よく見て見ると、ガラスの中にガラス繊維が入っていて強度を上げている見たいだ。

 ちなみに 物流コンテナと同じくコンテナの後ろが扉状に開くので、大きい家具は そこから滑車(かっしゃ)を使って 家具の搬入が出来る 親切設計で、そのコンテナハウスが、横6部屋×縦3階に並んでアパートになっている。

 ただ、この状態じゃ上の階に上れない…足場と階段が必要だ。

 このアパートにも当然、足場と階段に落下防止用の手すりが付いているのだが、炭素繊維のパイプを使った土木工事用の足場になっている。

 そして、3階のコンテナを1(けん)持ち上げて見ると、コンテナの上下の(ふた)と床に掘ってる凸凹(デコボコ)(みぞ)が見える。

 壁と柱が挿しこまれて固定されている構造の為、(ふた)と壁を固定している蝶ネジのボルトとナットを外してしまえば 柱と各壁は簡単に分離が出来る。

 壁の工業技術が上がった場合、最新型の壁と交換する人も出て来るだろう。

 結果、工場で家のパーツを生産して 重ねて現地まで車で輸送して 短時間で組み立てられ、今後 土地開発が進んで、既存の家が邪魔になっても、移動や解体が容易に出来る 今後の事も考えられている非常に優秀な設計になっている。

「こんな デザインのドールハウス始めた見たぞ…。

 こんなの 全然美しくない…。」

 クラウドが苦笑いしながら言う。

「まっこれは 機能美ってヤツだからな…。

 人ってのは 金がないヤツほど、使い勝手と安さを重視するんだ。

 その点で考えれば、コイツは100点…オレはこっちの方が好きかな…。」

「気にって(もら)ったようで何よりだ。

 それと このコンテナには他にも機能がある。」

「まだ あるのか…。」

「このコンテナ自体が、電気を溜めて置けるバッテリーになっているんだ。」

「は?硫酸も銅線も見当たらないぞ。」

 電気を溜める方法は、硫酸が入った水槽を用意して それに銅板を突っ込んで、電線を取り付けてやれば電気を溜められる。

 が、当然 このコンテナハウスには そんな物は 見当たらない。

「ここだ。

 表面にガラスコーティング、三層の炭素繊維に、薄いガラスを一層(はさ)んで、また三層の炭素繊維とガラスコーティング。」

 絶縁体のガラスを間に入れて 導電体の炭素繊維でサンドしたって事か…。

「あ~壁がスーパーキャパシタになっているのか…。

 確かにキャパシタは 表面積が大きければ大きい程、蓄電量が上がる からな…。」

 スーパーキャパシタは 薄い絶縁体を2枚の導電体でサンドした物に 電気を流すと導電体側の電子が+極と-極に分かれるので 電流が発生する。

 硫酸型の方が、面積当たりの保有出来る電力量が大きいのだが、スーパーキャパシタは 化学変化を使わない為、充電による劣化が無く 急速充電が可能で、当然 電力ロスも少なくなる…。

 唯一の欠点は、スーパーキャパシタのサイズが大きくなる事なんだが、壁のサイズに出来るなら問題にならない。

「そう…現状では まだ問題になっていないが、水力発電を行う以上、電気の出力にムラが出る。

 なので、いったん 各家に電気を備蓄して足りない所から充電して行く方式にする。」

「でも、キャパシタは一瞬で電力を吐き出すだろ。」

「そこは 家電製品側にブーストコンバーターを入れれば大丈夫」

「そこは一般の家電製品と一緒か…。」

「ああ…こうやってやれば 粗悪な電気でも、良質な電気に変わる。

 これで私もこっちで食事を取れるかな…。」

 機械人であるオレ達は 消化器官が必要無いので、オレ達にとって 電気が食料だ。

 ただ、機械生まれのクオリアやジガは、電気の味が分かるらしいのだが、人出身のオレには、何を味として認識しているのかが サッパリ分からない。

「取り合えず、それを元に 原寸大のコンテナを造って、テストかな…。」

「それじゃあ…工場に行こう…素材は(そろ)っている。」

「ああ…。」

「ちょっと待った…。

 せめて 書類を片付けてから行ってくれ、この国はナオを中心に動いている。

 王が仕事を放棄(ほうき)すれば、簡単に国が滅ぶぞ!

 王の代わりは いないんだから…。」

 クラウドがオレと引き留めて言う。

「あ~独裁国家の(つら)い所だよな~」

 オレはそう言うと、クオリアと相談しつつ書類を片付けて行き、大まかな方針を指示して行った。

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