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01 (伝説のクリエーター)〇1979_4_1

 1979年4月1日。

 大阪電気通信大学。

「いや~やっぱ大学に入るなら ここだよな…。」

 ジガ(ウチ)は そう言い、校内に入る。

 第二次世界大戦でボロボロになっていた日本も完全に復興を果たし、これからは ウチらは 日本での身分が必要だと言う事で、トニー王国からの外国人留学生としてコンピューター専門の この大学に通う事となった。


 ウチは銀色の髪を持つアメリカ系の白人女性だ。

 まだ日本(この国)でコンピューターなんて物は 殆ど存在しなく、しかもウチは女で外国人となる。

 その為、大学内でウチは非常に目立つ。

 あちこちの講義で生徒や教授と話して人脈を作り、日本での基盤を作る。

 固定電話は普及しているが 携帯電話が無く、ネットがまだ無い この時代…ここでは足による地道な営業が 後々の利益となって実を結ぶ。

 それは ウチの過去に戻ってまで やりたかった作戦に必要な工程だ。


 夏の少し前、SF&アニメーション研究会

「こんちわ~」

 ウチは部室に入る。

 部室を見てみるとロボットやアニメ関係のおもちゃがガラスの棚に飾られ、本棚にはアニメ雑誌や漫画科学などの本…あっDLの本もある。

 で、まだ普及していないと言うのに アニメのタイトルと番号ラベルが書かれた大量のビデオテープが大量に棚に仕舞われており、大型のブラウン管テレビとビデオデッキもある。

 ビデオの機材を(そろ)えるのに何十万掛かっているんだか…。

「あら?外人さん?あ~ハロー」

 部員の1人が言う。

「いや、日本語で挨拶してるやん」

「大丈夫。ウチ、日本語使えますよ」

「あ~良かった僕は英語を話せるけど話す機会が無くてね。

 ようこそアニ研へ…僕は岡田。」

 おっ早速 お目当ての人がいた。

 データの写真とは随分と風貌が変わってるが…。

「初めましてトニー王国から留学している ジガ・マキナです。

 よろしく。」

 ウチは皆と握手をする。

「私は庵野(あんの)だ…よろしく…」

「お~エヴァ?よろしくお願いします。」

forever(フォーエバー)(永遠に)?」

「あ~いえいえ…よろしくお願いします。」

 こちらも伝説(レジェンド)級の人物だ。

「それにしても何でアニ研に?

 アニメに興味が?」

 岡田さんが不思議そうに言う。

 今の時代、まだアニメは市民権を得ておらず、アニメは 子供が見る物であり、大人が見るべきものでは無いと言う雰囲気がある。

「ええ、特にロボットアニメに、やっぱり 自分も含めて ロボットは身近なので…」

「あ~トニー王国のDLか…実際に見た事ないが…。」

 庵野(あんの)さんが本のカラー写真をウチに見せる。

 そこには トニー王国の陸上の主戦力兵器…4.5mの人型の巨人の姿があった。

「あれ まだ空は飛べないんですよね~。

 マジンガー見たいに背負い物を装着して飛べる訳じゃないし…」

 人と同じく パラシュート降下は出来るのだけど、空力特性の問題の為、人型は空中戦に 不向きだと言われている。

 まぁ今でも本国では お遊びで飛ばしている事には 飛ばしているのだけど、実戦に使うには程遠い。

「おおっマジンガーか…他には?」

 岡田さんが食い付いて来る。

「そうですね…ロボットアニメなら 大体は見ていますが…マジンガーとボルテスが大好きです。

 後、今期のガンダムは リアタイで毎回見てますね…。

 あの世界のモデルは 第二次世界大戦なんでしょうか?」

「おおっあんまり人気がないってのに…ガンダムの魅力が分かるのか…。」

 庵野(あんの)さんが言う。

「ええ…アレは 将来 ビックコンテンツになりますよ。」

「ははは…まさか…オレ達も好きだけど ガンダムは視聴率的に打ち切りだろうな。

 シャアもいなくなっちまったし…全くおもちゃ会社(クローバー)が!」

「ははっ左遷(させん)だし、その内 復活するんじゃないですか?」

 ウチが軽く笑いながら言う。

「だと良いけど…」

「それで、入部希望かい?

 あっコーヒー?お茶?ジュースもあるけど」

「あ~お構いなく…と言うか、ウチは飲んでも消化出来ないから。

 全身義体?知ってます?」

「あ?…全身義体だったのか‥。

 本では知っているが 本当に生身と変わらないんだな。

 でも皮膚の下は機械?」

「ええ…ウチの動力はバッテリー駆動です。

 電源を貰っても?」

「ああ使ってくれ…」

 ウチはリュックから変換器と電源ケーブルを出し、コンセントに差し、ケーブルのマグネットの端子を首に取り付けて 充電を開始する。

「なぁ全身義体って何か特殊能力があるのか?」

 庵野(あんの)さんが入部届けをウチに渡して聞いて来る。

「あ~009的に言うなら怪力ですかね…。

 ウチは100kg程度の荷物なら普通に持てるし、パンチはプロボクサー位の威力を普通に出せる。

 100m走だと10秒台…一時的に時速35km位まで出せるかな~」

「ジェロニモ・ジュニアか」

「まぁ…とは言っても、普段の生活では邪魔になるのでリミッターで押さえていますが…。」

「便利だな…オレもその内、義体化しようかな…」

 部員の1人が ふと言う。

「当分は 止めておいた方が良いですよ。

 今だと全身義体の手術の成功確率は1割以下でしたか…。

 それに例え 成功しても義体との適合不良で悩まされる事もありますし…」

「1割って…やっぱりそんなに上手くいかないのか…。

 アレっ…なのに何で全身義体を手術を受けるヤツがいるんだ?

 死にに行く様なものじゃないか」

「ベトナムの戦争で撃たれて重傷になった兵士や、残りの余命がもうないボロボロの老人なら、分の良い賭けになります。

 まぁ臨床データが集まって来れば、成功率も上がって来るんでしょうが…。

 ウチも本職は 義体整備師なんだが、まだまだ患者の数が少なくって…学校に通う時間位の余裕は 普通にあるんですよ」

「へえ~サイボーグにはサイボーグの苦労があるのか…。」

 庵野(あんの)さんが言う。

「その内、サイボーグも珍しくない様になるんだろうがね…。

 これは 50年は掛かりますかね。」

「50年後か…今の社会は如何(どう)なっているんだろうな…。

 あっ…ガンダム見るか?今の所 全部ビデオに録画しているぞ。

 ジガの家はテレビやビデオはあるか?」

「ええ…普通に…。

 ウチ、お金だけは あるので…大抵の物は買えます。」

「羨ましいね…オレはテレビはあるけど白黒だから いつもアニメは こっちで見てる。」

 部員の1人が言う。

「よし、書けましたよ~」

「おっ綺麗な字だな…はい、アニ研によーこそ。

 さて、シーンごとにコマ送りでアニメを見て見ようか」

 そう言い、庵野(あんの)さんが ビデオテープを持って来て、シーンごとに皆で意見を出して行くのだった。

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