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⊕ヒトのキョウカイ02⊕【未来から やってきた機械の神たちが造る 理想国家₋ユートピア₋】  作者: Nao Nao
ヒトのキョウカイ2 8巻 (戦争は続くよ 何処までも)
234/339

34 (自由の国を求めて)〇

 コーネル()達は 人を辞め、機械の様に冷徹に作業を続ける。

 どの部隊を生かして、どの部隊を殺す?

 敵に気付かれず 統計で導きだされた結果に従い、仲間を切り捨てて行く。

 現場の兵士も、敵兵も この事は知らない…。

 ブリテンの勝利に必要な 大規模な作戦には、エニグマからじゃない別のルートから情報が流出したと嘘の情報を敵味方に流して、真実を隠す。

 ノルマンディ上陸作戦…トニー王国も参加した この作戦がドイツの致命打となり、ドイツ軍が大敗…。

 その1年後…仲間に恵まれなかったヒトラーは自ら命を絶ち、ドイツは敗北。

 残るは 日本だけとなった。

 そして、日本の広島、長崎にアメリカが開発した最強兵器 原子爆弾が投下…民間人が一瞬で蒸発した。

 空爆の時も そうだったが 条約違反の民間人への無差別攻撃…もはや こちらに正義はない。

 その日の内に 日本の皇帝は アメリカに対して無条件降伏を受け入れ、日本人に戦闘を止めさせる為の玉音放送を流すが、アメリカは意図的な通信不良で そのメッセージを受け取らず、日本の本土に アメリカ、ブリテン、ソビエト、中国の共同での日本の本土 上陸作戦…ダウンフォール作戦が開始された。

 アメリカは日本の大和魂を非常に脅威に捉えた。

 国の為、皇帝の為なら200㎏の爆弾を積んだ戦闘機で敵艦に体当たりをする事もいとわない…狂気のカルト集団。

 今 彼らを生かせば、アメリカ国内に忍び込んだ日本人が自爆テロを行って国民を傷つけ、第一次世界大戦から復興したドイツの様に またアメリカに牙を向き、次の世界大戦に確実に発展する…そう考えた。

 日本の国家の解体は 必須であり、日本人の存在を許さない…あらゆる条約を無視した日本人殲滅作戦…。

 この作戦に対して、大量の戦費が掛かっていた アメリカ、ブリテン、ソビエト、中国で 住民がいなくなった日本を分割 統治する為に裏で協力…。


 こちらが把握 出来ているだけで、アメリカ軍 200万人、ブリテンが20万…ソビエトが10万。

 戦艦24隻、航空母艦60隻、駆逐艦450隻、補助艦艇3,500隻、航空機6,000機…。

 更に原子爆弾の追加使用と生物化学兵器の常時使用での作戦だ。


 対して日本側の戦力は、崩壊しかけの陸海空軍と日本人全員…。

 女子供、年齢関係無く戦場に投入して戦わせ、日本を存続させる一億玉砕作戦に出た。

 明らかに日本人に生き残る道はない…。

 だが、これに対して 日本とトニー王国が傭兵契約と言う名目の同盟を結び、トニー王国軍は 日本全土に防衛ラインを展開した。

 ドラムと呼ばれる大量の機械歩兵が、驚くほど正確な射撃で歩兵の顔を撃ち抜き、銃弾1発で人1人を確実に殺す。

 人では無く機械であるドラムは 工業製品 故に大量生産が出来る為、人の兵士の様に最低15年間 親が育て続ける事は無く、1日でプロフェッショナルな戦闘教育をさせたドラムを1000体は製造 出来る…らしい。

 空では無人の小型戦闘機が 人では あり得ない航空機動を取り、こちらの戦闘機を次々と撃墜し、船は予兆が無く艦底部を爆破されて沈む…トニー王国による潜水艦による攻撃だと思われるが、敵の潜水艦の発見の報告は一切無い。

 そして、上陸した戦車は |DLにより撃墜される。

 更に言うなら 恐ろしい事に トニー王国は1人の戦死者も出さず、無人機を使った防衛作戦により、ダウンフォール作戦を防ぎ きった。

 我々は 相当トニー王国に かなりの手加減されていた事が判明し、この世界中が疲弊した状態で トニー王国が世界中に宣戦布告した場合、どの国も無条件降伏する他ない状況になっていた。

 この為、連合国軍は 自分達が日本のやった様に殲滅されない為、トニー王国と生き残りを掛けた最終決戦を行う……その予定だった。

 だが、トニー王国は 少額の迷惑料の支払いを条件で 敗戦を認めた事で、この戦争は終戦し…表向き、連合国側の勝利となった。

 トニー王国が この条件を提案したのは 損失を取り戻す為に 際限なく この戦争を広げて行く、連合国側へのプライドを守る為の配慮だろう。

 これが出来るのは 宇宙人からの技術提供のお陰か…宇宙人から精神性を学んだのか…この世界で あの国は あらゆる意味で異質だ。

 国内はブリテンの勝利でにぎわい、兵士達が帰還した事で無駄に失った人口を取り戻すかの様に 子作りを始め、空前のベビーブームが発生した。


 そして…。

 僕達の戦場である倉庫と研究所に火を付け、この事を未来永劫 封印する。

 僕達は 今まで起きた事をすべて忘れ、他人のフリをして 監視が付きながらも それぞれが別の生活を始めたのだった。


 チューリング邸

「アラン…」

「いや…クオリア 久しぶり…。」

 クオリア()は やつれたアランを見る。

 彼は 男娼と性行為をしたとして『風俗壊乱罪』が適応され、捕まって保護観察処分になった後だった。

 部屋は散らかり、奥の部屋には 2代目のクリストファーが置かれている。

 アランは おぼつかない足取りで 私を出迎え…フラフラとソファーに座る。

 テーブルの上には 皿の上に乗ったリンゴ…棚には 青酸カリと書かれた小瓶が見える…危なかった。

「ホルモン剤 治療を受けているらしいな。」

 私はテーブルを挟んだ 向かいのソファーに座る。

「そう…裁判所で刑務所に入るか、治療を受けつつ保護観察を受けるか…選ばされた。」

「なんで、この選択をしたんだ?」

「クリストファーに会えなくなるから…」

 アランは涙を浮かべながら 隣の部屋にあるクリストファーを見て言う。

「そっか…」

「キミも幻滅しただろ…僕が同性愛者だと知って…。」

「いや、全然…相手と金のやり取りは あっても無理やりでは 無かったのだろう…だったら問題無い。

 それに私の夫は 小児性愛者…生殖機能が まだ無い幼女を愛する変質者だ。

 一応 異性に欲情している訳だから アランより マシと言えばマシだが、彼もこの国では 認められていない性的(セクシャル)少数者(マイノリティ)になる。」

 私は結婚してから ずっと身に着けているプラチナの指輪にチェーンを入れたネックレスを見せる。

「結婚したのか…おめでとう。」

「ああ 随分前にな…。

 覚えているか?前にアランはトニー王国に旅行に 行ってみたいって言っていただろ。

 今も行ってみたいか?」

「同性愛者の僕でも 罰せられない国…。

 僕も行ってみたいな…でも僕とクオリアには 監視が付いている。

 旅行は無理だ。」

「だったら旅行じゃなく トニー王国に亡命してしまえば良い。

 投薬のせいで頭が回ってない見たいだが、トニー王国に行けば 投薬の必要が無くなる。

 向こうで男の恋人が出来るかは 分からないが、少なくとも罰せられる事は無いし、きっと コンピューターの開発も続けられるだろう…。」

「そんな未来があれば 良いかも しれないな。」

「それじゃあ、荷物をまとめて…」

「今からか?」

「いや…今日の夜に…残念ながら アランだけで クリストファーは持って行けないが…。」

如何(どう)やって 監視の目を潜り抜ける つもりだ…。」

「私の経歴は知っているのだろう?」

「ああ、MI6が調べていた。

 ソ連が開発していた 天才 子供計画の実験体。

 上質な親の受精卵を使い、徹底管理された人工子宮の中で育ち、歴史に登場するの天才達を分析して作り出した カリキュラムを受けさせ、人工的に天才を再現した子供だ。

 そして その天才の副作用として、発育不良と老化をしない身体を持つ とされている。

 そして キミは ソ連から逃げ出し、ドーバー支店の孤児院に拾われた。」

「と言う事になっているが、これらは 全部 私の身分を偽る為の作り話だ。」

「なら、本当のキミは?」

 私は後ろを向いて髪を上げ、頭蓋骨のカバーを外し、私の頭に収められているブレインキューブを見せる。

「機械人!…トニー王国の神話に出て来る 4人の付き人の1人か…。」

「そう…私達がトニー王国を造った…。

 なあ、アラン…私は機械だが 魂があると思うか?」

「ははっ…イミテーションゲームか…懐かしい。

 僕は完璧に騙されたよ…キミは完璧にヒトだ。」


 夜…。

「さようなら…クリストファー…」

 アランは荷物を背負って私と一緒に部屋を出る。

 テーブルの上には 青酸カリが塗られた まだ かじられていないリンゴが置いてあった。

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