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⊕ヒトのキョウカイ02⊕【未来から やってきた機械の神たちが造る 理想国家₋ユートピア₋】  作者: Nao Nao
ヒトのキョウカイ2 8巻 (戦争は続くよ 何処までも)
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18 (懲罰大隊での バトルロワイアル)〇

 ドイツ、執務室。

「第36 SS武装擲弾兵師団?

 えーと どこの部隊だっけ?」

 ナオ(オレ)がアディに言う。

 SSはナチス親衛隊、擲弾兵は、携帯式対戦車ロケットランチャー パンツァーファウストを持つ対戦車兵と世界初のアサルトライフル兵がいる部隊だ。

「いわゆる懲罰大隊だ。

 通称は ディルレヴァンガー部隊」

「あ~ディルレヴァンガーか…確かヒムラーの下だったな。」

 ハインリヒ・ヒムラーは いわゆる秘密警察であり、本来なら親衛隊や将軍達を監視する事で 組織の安定化を図るのが彼の任務なんだが、彼は 罪状のでっち上げてによる自分の政敵の処刑をし、更にユダヤ人を絶滅させると言う思想を持っており、その有名なのだとホロコーストだろう…。

 基本的にアディの汚名の大半はコイツが原因で、恐ろしい事にナチスの3番手だ。

 その為、未だと 彼を全く信用できないので、秘密警察の秘密警察の秘密警察を秘密裏に作って情報精査をさせている。

 と言うかヒムラーは、敵兵は 殺さないのに非武装の民間人、捕虜、ユダヤ人、優秀な自軍の将校を殺すと言う 今のナチスの中で一番の害悪になっている。

 ちなみに秘密警察を監視する秘密警察の情報によると、彼は 自分の指示をアディの命令と言う形で部下に命令を強制し、それに気付いて逆らう者は 政治犯として収容所送りにして殺してしまうので、彼の命令はアディの命令と同等の効果を持つ。

 ヒムラーが アディにとって都合の良い情報しか上げてこないのは これが理由だ。

 もし、秘密警察の秘密警察の秘密警察をアディが作っていなかったら、最後の最後までアディは ヒムラーを見抜けなかっただろう…多分、史実では気付いていない…それだけ ヤツの ツラの皮は厚い。

「ディルレヴァンガー隊は、結成当初は 密猟者によって編成された部隊で、敵に気付かれずに得物を追い詰め殺す、隠密行動や山で敵を狩る山岳部隊に近かった。

 だがその後、人員の補充の為に 一般犯罪者からの志願兵や、軍規違反で有罪となった兵士も送り込まれ、占領地の外国人が半数入れられ、今では 強制収容所にいた政治犯までもが動員されている。」

 アディが書類を渡してオレが見る。

「まさに 懲罰部隊だな…とは言え、民間人に偽装した便衣兵の掃討の成果は評価出来る…死者も殆ど出ていないしな。」

「だが 本来は狩りに関しては優秀な部隊だったのだが、今は 犯罪者が大半の為、基本的に軍紀は守らず、こちらの指示も聞かない…あれでは もはや軍では無い。

 彼らの部隊は 私の指示通り 攻撃場所には行くが、婦女暴行に幼児虐待、放火、民間宅への盗みに民間人の処刑…非武装の民間人は残酷に殺すが、武器を持っている敵兵は 殺さない…懲罰部隊は死傷率が高い戦場に投入されるからな…。」

「幼児虐待ね…そいつら は クソだな。

 親衛隊の面汚し…まさに異名通りだな…それで 組織を解体して収容所に また ぶち込むのか?」

「いや、実際 親衛隊法務本部は、ディルレヴァンガー親衛隊上級大佐を始めとした 師団関係者を何度も軍法会議にかけようとしたが、ディルレヴァンガーの友人で武装親衛隊高官のゴットロープ・ベルガーの介入によって防がれている。

 そこで、私は 正攻法では 排除が不可能と判断して 物理排除する事にした。」

「人数は…っと…言う事を聞かない犯罪者達が 6000人もいるのかよ…。

 武装は手榴弾とパンツァーファウスト…StG44アサルトライフル。

 装甲車なんかの車両の類は無しか…これじゃあ、装甲車や戦車は無理だな。

 対象の部隊を一ヵ所に集める命令を出して、上から爆撃機による絨毯(じゅうたん)爆撃したら良いんじゃないか?

 流石にパンツァーファウストで航空機は落とせないだろうし…」

「金は掛かり過ぎるし、空軍に味方殺しの命令は出せない。」

「トータルだと多分、その方が安くなるぞ。

 航空支援が使えないとなると歩兵が主力になる訳だが…1万は欲しい所だ。」

「組織のトップだけ叩けば良い。

 指揮官の人数は120人…ゴーストで行けるか?」

 ゴーストとは 秘密警察の秘密警察の秘密警察になり、総統直轄の秘密警察の部隊名で、オレが隊長と言う事になっている。

 ゴーストは 経歴を徹底的に調べて 部隊を徹底的に洗浄し、そのメンバーを把握しているのは、オレとアディだけになり、存在自体も非公開だ。

 部隊の戦闘能力 自体は低いんだが、ちゃんと こちらの指示通りに動いてくれるので、並の部隊よりかは扱いやすい…特に今回の様な身内狩りには 本当に重宝する。

「だが、仮に指揮官だけを殺せても、指揮官が いなくなった兵士達は無秩序に動き始める…。

 近隣の民間人にまた犠牲者が出るぞ。」

「皆殺しが良いのは 私も分かっている。

 だが、ゴーストじゃ 数が足りないだろう。」

 ゴーストは120人だ…大部隊を相手にするのは危険 過ぎる。

「分かってる…だが、工夫次第では殺れる…許可が欲しい。」

「分かった…第36 SS武装擲弾兵師団を皆殺しにしろ…それとヒムラーもだ。」

「組織が傾くぞ…」

「早く修正しないと今度は家の倒壊が始まる…遠慮するな。」

「了解…。」

 そう言うとオレは部屋を出て行った。


 オレ達ゴースト部隊は、オレも含めた25名を潜入の為に第36 SS武装擲弾兵師団に送る。

 上から下までの指揮官が120人…末端の指揮官が率いている兵士の数でも100人程…。

 これだけ人数が入れば、服装と階級を用意すれば モグリでも部隊内に潜入出来る。

 まず、書類上 6000人いて餓死者が発生している事になっているが、実際には全員で4723人であり、1777人分の補給物資があまっており、部隊内に餓死者は出ていない。

 で、少しの予備を残して それを上の指揮官達が横流しをして金に換金し、自分の財布の中に入れる…軍では よくある事だ。

 部隊のおおよそ半数が 興奮状態にして疲労をポンと消せる薬…メタンフェタミンを服用している…まぁ覚醒剤だ。

 これは元々、労働者を長時間働かせる必要があるドイツで開発されたもので、この時代では違法薬物指定を受けていないので 栄養ドリンク位の感覚で普通に手に入る…特に戦場だと死が身近にある為、不安症になると行動が出来なくなり死にやすい…これは数字にも はっきり出ている。

 その為、覚醒剤でテンションを上げる事で 生存率を上げる訳だ。

 で、その部隊の作戦だが、100人程度に分けた部隊が、攻撃対象の近隣の村にいる民間人を惨たらしく殺し、ユダヤ人は決して逃してはならず殲滅するのが 主な任務になる。

 ここの言うアディいわく、土地だけを残して 住民を皆殺しにする事で、占領政策を 上手く進める事が目的だそうだ。

 まぁ…住民が全員 死んでしまえば 一番厄介な 占領後の現地民との争いが生まれないからな。

 で、全く身に覚えがない アディ総統からの命令で、民間人を殺しても良い お墨付きを総統から得た事で、どんどんと残酷に民間人を殺して行く…。

 彼らによって民間人の殺害はゲーム感覚であり、エロゲでしか見無さそうな リョナ行為が平然と行われ、木製の家に女子供を閉じ込め、家に火を放って 燃える人中での叫び声を聞きながら ゲラゲラ笑う楽しみ方をしている兵士もいる。

 そして『この村にスパイがいた』と言う 名目で、住民を死ぬまでボコボコに殴って拷問をし、見せしめに住民の頭を撃って射殺して行く。

 当然スパイは いないので、殺され続けるしかないのだが『私のスパイです』と嘘の自己申告をすれば、嘘を付くなと殺される。

 ちなみに今日 皆殺しにした村は、銃を一切持っていなく、女子供も赤ん坊もいるが、民間人に偽装したアメリカ人とイギリス人のゲリラの便衣兵を殺したとして キル数が部隊の作戦スコアに計上された。

 恐ろしい事に これだけのキル数を稼いでいるにも関わらず、こちらの損失は0であり、非常に練度の高い優秀な部隊だ…と書類上では見える。

 ただ、アディが言うように敵と交戦しないかと言うと そうでも無く、アメリカ、イギリス軍の補給部隊を襲って 物資を車ごと強奪する…。

 好意的に評価するなら 敵の補給線を中心的に攻撃し、敵の補給を断つ作戦…と言えるが、実際の所は盗賊と一緒だ。


 さて、罪悪感も消し飛んだ事だし、彼らを始末しよう。

 その方法は噂話だ。

『アメリカの特殊部隊が 現地入りを果たした見たいだ。

 特殊部隊は 親衛隊に偽装して もしかしたら この 第36 SS武装擲弾兵師団に潜伏しているかもしれない』…と流す。

『昨日までの戦友が、笑顔で自分達に銃を向けるかもしれない。』

 そもそも 自分達は 犯罪者と言う共通点があるが、絆がある訳じゃない…ただ、楽しいから殺しているだけだ。

『もしかしたら オマエを恨んでいる人かも?』

 あの村の生き残りか?もしかして あの村の?

 恨まれる原因が多すぎる。

『もしかしたら オマエをバカにしている人かも?』

 確かにアイツらは いつもオレ達をバカにしているな…。

『そもそも オマエは 本当に誰かに必要とされているのか?

 味方はオマエが 使えないと判断すれば、殺しに来るだろう…。』

 今は懲罰兵として こうやって自由にやってられるが、上の気まぐれで いつ処刑命令が来るか分からない…上級指揮官か?

『オマエを殺してやろう と思っている人は 本当に誰もいないのか?』

 いる…思い当たる節が多すぎる位に…。

『敵は すぐ隣にいるかもしれない。』

 まさか…な。

 これらを 各部隊で、日常会話、呟き、などで流し、部隊内に不信感を与え続ける。

 さて、幸運な事か…彼らにとっては不運な事か…この師団の指揮官が、この噂を信じて スパイ狩りの指示を出した。

 覚醒剤をやっているヤツは テンションが高いので、より過激な事を好むからだ。

 これにより、彼らの主観の元、スパイが処刑される…大体は 人種が自分達と違う、ドイツ語の発音が微妙に違う、気に喰わない…で、これと言った根拠はない。

 そして…最後に こちらが 夜に師団の数ヵ所で発砲音を鳴り響かせて兵士を射殺…。

 後は 所々に爆発物を仕掛けて兵士達を吹っ飛ばす。

 これで 仕込みは完了だ…オレ達は安全な場所に退避し、双眼鏡で師団を観察し始める。

 兵士達は 師団内に紛れ込んだスパイだと即座に判断して、爆発音で集まって来た兵士に発砲…。

 銃声が鳴り響き、敵だと思っている相手が撃ち返し、別の人も撃つ…。

 元々は 全員が殺人を行って捕まった犯罪者…相手を信用して銃の発砲を止める事は不可能だ。

 後は、発砲音が止まらない様に遠距離から狙撃銃で、定期的に兵士の頭を撃き、死者数を増やしていけば、あら不思議…。

 こちらが攻撃しなくとも勝手に殺し合ってくれるバトルロワイアル会場が完成だ。

 そして、スパイの攻撃だと思った上層部が 兵士達を一斉に排除しようとし、反対に上層部がスパイだと思った兵士達の激しい抵抗にあう。

 自分の安全を確保するには、周りの人間を戦闘不能にしないといけない…そして、それは 全兵士が思っている…しかも師団の半数が ヤク中なので正常な判断も期待出来ない…。

 そして、4723人の兵士達は 次々と殺し合って死んで行く…。

 確かに死の恐怖を忘れているヤツは生き残り易い…。

 だが、死の恐怖は 撤退の選択肢を与えてくれる…それが生き残る為に一番 必要な機能だ。

 なので、死の恐怖を忘れた彼らに撤退の選択肢は無く、殺し合うしかない。


 夜明けには 辺りが 死体の山で溢れかえり、30人程度まで減った。

 後は 傷だらけのボロボロの状態で生き残った歴戦の兵士30人を遠距離から狩るだけだ。

 で、潜伏期間2週間で、第36 SS武装擲弾兵師団の皆殺しに成功した…残りは1人、ハインリヒ・ヒムラーだ。

 オレ達は 死体から金目の物をかき集めて ボーナスとし、指令室の書類を片っ端から 彼らの軍用トラックに積んで、ベルリンへ帰って行った。


「こっこれは 如何(どう)言う事でしょうか?」

 ヒムラーがアディから出される書類を見て言う。

「6000人の部隊が一晩で消滅した。

 しかも、私名義だが、私が出した覚えがない命令が含まれているな…。」

「私が関知しない所で現場の指揮官が勝手にやった事です…。

 部隊を制御を出来ず、申し訳ありません。」

「まぁ犠牲者が6000人で済んだ事で良しとしよう…。

 ただ、6000人を殺せる相手が あの部隊を突破した事になる。

 警備を強化しないとな…」

「そうですね…総統(ヒューラー)…。」

 数日後…演説の為に 2人とオレは、車に乗って移動した。

 運転席にはアディ…これはアディの愛車だからだ。

 そして助手席にヒムラーがいて、オレは後部座席で辺りを見回して警戒をしている。

「着いた…ナオ安全確認を…」

「おう」

 オレがドアを開けて周囲を確認する。

 周囲には親衛隊に抑えられているドイツ国民の声援を受ける。

 事前にボディチェックを行い武器を携帯していない事は判明しているが…ここまで大勢の人がいると警戒する。

 まぁ国民達が盾になってくれるから射線は通り難いだろうが…。

「大丈夫だ…」

 アディはドアを開けて運転席から出て、国民に姿をさらす。

 アディは演出の為、オレ達が盾になる事を嫌う。

 そしてヒムラーが車から出て来る…。

 国民からはヒムラーの人気も それなりに高い…ユダヤ人を排除してくれるからだ。

 だが、パスッ。

 何の予兆も無く ヒムラーが額が撃ち抜かれて、そのまま地面に倒れ込む。

「狙撃だ!!車に戻れ!!」

 国民達が悲鳴を上げる中 オレがアディに叫び、アディは車のドアを盾にする…パスパス。

 車に弾痕が付く…アディの車は装甲車レベルの防弾性能を持っている特注仕様だ…だが、ライフル弾なら そう何発も止められない。

「逃げろ!!」

 アディは運転席に座り、ドアを閉めると車を撃たれながら猛スピードで その場から逃げる。

 弾痕の位置から射線を特定 出来る…近くの背が高い建物だ…距離は200…。

 オレがウージーマシンピストルで、牽制射撃をすると次々と親衛隊が建物に突入し、ヒムラーの暗殺者を捕まえようとする。

 が、今度は建物の柱が爆発し、建物が崩壊…。

 多数の親衛隊を巻き込んで、瓦礫の下敷きになり押しつぶされ、オレ達 親衛隊は、事態の収拾に当たった。


 翌日…新聞の一面にヒムラーの暗殺が乗り、暗殺者は建物ごと自爆をして瓦礫に埋もれて死亡…。

 犯人の死体から身元を特定出来なかったが、おそらく アメリカかイギリスの軍の暗殺部隊であろう…と結論付けられた。

 まぁ現地で調達した偽物で暗殺者は()()の様に姿を消してその場から逃走した訳だが…。

 これでヒムラーを合法的に排除出来、国民感情も敵国に向けられる事となった。

 これでアディには ネガティブなイメージを受けずに済む。

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