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⊕ヒトのキョウカイ02⊕【未来から やってきた機械の神たちが造る 理想国家₋ユートピア₋】  作者: Nao Nao
ヒトのキョウカイ2 8巻 (戦争は続くよ 何処までも)
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16 (作戦依頼)〇

 トニー王国軍 ドーバー基地…。

 最近は 戦闘も落ち着き、無線による こちらの交渉の成果もあって、この日 初めて、正式にブリテンの交渉官がやって来た。

 身なりからして軍人だろう…歳もかなり行っていて、胸には いくつかの勲章を下げている。

「クラウド・エクスマキナです。

 トニー王国軍のドーバー基地の司令官になります。」

 クラウド()が言う。

「お若いのに…それにクラウド?

 もしかして あなたが ここにあったクラウド商会の?」

「ええ、厳密には 私の ご先祖になりますが、国の存在を隠しつつ 現地住民との貿易を行う為に作ったと聞いております…さぁこちらに…。」

 私は 交渉官を会議室に案内する。


 会議室。

「さて、返答を聞かせて貰いましょうか?」

 席に座り早速本題を出す私の言葉に 交渉官は書類を広げる。

「こちらは あなた方の要求を全面的に呑む事にしました。

 トニー王国 海域での戦闘行為の禁止…。

 アメリカ、ブリテンの戦艦の通行を認め、これに違反した場合、トニー王国は 自衛権を発動させて、最悪 船を沈める事も出来ます。

 また、今回の戦争では 双方 賠償金の請求も支払いをせず、ドーバー基地は ドイツ軍との戦争が終わるまで、トニー王国に無償で 貸し出す事としました。

 ただし、その間は 港の運用に 支障を来さない様にする事が条件です。

 次は 月の土地の所有権の問題です。

 現在、月の土地は 地球上の誰の土地でも ありません。

 ですが、ブリテンとアメリカで、月の文字の周辺と 月の裏にあると言う 宇宙船の周辺をトニー王国の聖地とする事を正式に認めました。

 将来 宇宙進出が始まり、月の土地が売り出された場合、その土地の購入権を 最優先で渡す事になります。

 ドイツが ロケットを開発しているとは言え、宇宙進出に 果たして何年掛かるかは 私には 分かりませんが…。

 この条件で よろしければ 正式に条約を結びます。」

 トニー王国の要求は ブリテンに とって非常に安い。

 非戦闘だとは言え 今まで迂回していた 危険な海路が使える様になり、ブリテン、アメリカ共に利益がある…元々こちらは 海路の問題から発生した戦争だからだ。

 で、おまけの月の土地の所有権は、今の所は無価値だ…何故なら月に行く手段がないから…。

 なので、今の政府の財布は痛まない…双方利益が出る非常に良い取引だ。

「この条件でお願いします。」

 私がサインを行い、握手をして条約が成立…。

 条約は 伝達の遅れを考えて24時間後に執行される事に決まった。


「それでは…緊急で申し訳ないのですが、こちらはトニー王国に傭兵派遣の依頼です。

 ぜひ ご協力をして頂きたい…。」

「ふむ…」

 私は交渉官から書類を受け取る。

 これは、海岸からの上陸作戦か…。

 分かり易く簡略図も描かれている。

 チェコの針鼠(ハリネズミ)が砂浜に多量に設置されており、その奥には地雷原と鉄条網のセット…。

 奥のドイツ軍の陣地には、機関銃座があるトーチカと 対戦車砲がいくつか、対空機関砲もある…敵の予想数は…6000…。

 味方の損失は 最低限に抑えて 自陣に誘い込み、向かって来る敵を最大限 削る 数の不利を補う やり方…ナオの得意な戦術だ。

「上も下も隙が無い…防御特化の陣形か…。

 正直、並の数では 突破できないかと…。」

 こちらの条件を素直に呑んでくれたのは これが原因か…。

 確かに これは 彼らだと荷が重いな…。

「それは 私達も良く理解しています。

 私達は これを アメリカとの合同作戦による数で 押し切ろうと考えております。

 部隊の95%が損失…残りの5%で あの要塞を攻略し、ここから 新しい部隊を上陸させる事で、ヨーロッパ大陸に進出させます。」

「そんな無茶苦茶な…。」

「それも承知です…損害も…。

 それでも 打てる手は すべて打っておきたいのです。

 トニー王国軍の軍事情報を こちらに開示 出来ない事は 知っています。

 トニー王国の力で この陣地を突破する事は 出来ますか?

 作戦に協力する為には 何が必要なのか、条件を教えて下さい。」

「う~ん…まず、歩兵で2分耐えて下さい…。

 その間に射線から砲台の位置を割り出して、潜水艦からDLを向かわせます。

 上陸後は DLの脅威となる対戦車砲の破壊を最優先で行い、次に 対戦車地雷の破壊…後はDLを盾にして歩兵を通します。

 この作戦で 一番 重要なのは、トニー王国の存在を作戦開始まで 敵に悟られない事です…敵は勿論、味方にも 一切 伝えず、現場での高度な アドリブが要求されます。」

 この作戦も、アメリカとブリテンが小競り合いしている 今なら、同盟をいきなり結んで攻撃して来るとは 敵にも思われない。

 トニー王国のDLの装甲も 歩兵が使う弾には強いが、対戦車砲や戦車砲では 当たれば 簡単に破壊されてしまうので、そこまで高性能と言う訳でもない…。

 ので、もしドイツ軍が 大量のパンツァーファウストを持っていた場合、非常に勝ちの目が薄くなる。

「分かりました…状況を整えさせます。」

「これは 大規模侵攻作戦ですか?」

「ええ、この作戦も もっと大きな作戦の一部だそうです。

 私自身も この作戦だけで 全体を把握 出来る立場に無いのですが、この戦争に勝つか負けるかは この戦闘で決まると思われます。

 ご協力は して頂けますか?」

「ええ、報酬の交渉人を用意して下さい…次の会議で こちらの交渉人を出席させます。」

「助かります。」

 それから いくつかの交渉の為の取り決めを 済ませて、今日の会議は終了した。

 現状ではトニー王国は戦闘力は 非常に優秀…。

 だが、圧倒的に数が足りない…敵が割に合わないだけの死者を許容してしまえば、物量で 押し切られる事も出て来るだろう。

 トニー王国は人材を一番高価な部品と考えているからな…。

 私はそう思いながら これから始める大がかりの作戦に向けて戦力を整え始めるのだった。

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