表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

カルガモの親子(中編)

作者: 青野ひかり


菜々子は夢の中でカルガモの赤ちゃんになっていた。赤ちゃん達の一番後ろに並んでいて、先頭にお母さんカルガモがいた。


突然、行列が動き始めて、菜々子も置いていかれないように必死で後に着いていった。


皆スムーズに母ガモに着いていく。菜々子は着いていくだけで、息が切れて、しんどくて、置いていかれそうになる。


「待ってよー!」と声を発したが、母ガモも赤ちゃんガモ達も振り向きもしない。

菜々子は必死で足を動かし続けるしかなかった。


周りにいる人間達は誰もカルガモの行列など見てはいなかった。


視界にすら入っていないようだ。

車は普通に走っているし、スマホを見ながら歩く人に菜々子は危うく踏まれそうになった。

声援など聞こえないし、川まで誘導なんてしてくれない。


それでも、菜々子以外のカルガモ達は粛々と前に進んでいく。


いよいよ引っ越し先の、目的の川に辿り着いた。

とは言っても、川の上に架かっている橋にだが。

まず、母ガモがお手本を見せるように、川へとジャンプした。


続いて前から順番に赤ちゃんガモ達が、躊躇いも見せず、ジャンプして橋から川へと落ちていった。

一番最後の菜々子の番になったが、

(こんな高いところからジャンプなんて出来ないよ。)

怖くて、全身が震えて、身動き一つ出来なかった。


母ガモや他の赤ちゃんガモは皆、川で悠々と泳いでいる。勇気を出して飛ぼうとするが、どうしても、菜々子だけが飛び込めなかった。


しばらくすると、母ガモが菜々子のところへ飛んできた。

ホッとしたのも束の間、

母ガモは菜々子を見て、

『アンタは私がいないと何にも出来ないのね。』

そう言って、いきなり後ろから菜々子を突き飛ばした。

何も言えず、菜々子は暗闇へ落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ