第12話 アルフレッド12歳の後悔①
大陸西方では12月11日から20日の10間を『最聖の時』と呼び、冬の祭りが開かれる。
これは太陽教の開祖ルシンドが3年の祈りの末に太陽神を呼び戻すことに成功し、太陽神との10日間の邂逅によって、魔物を退けるすべを伝授されたことを祝うものである。
この期間はそこらかしこでお祭り騒ぎが起こる。
商人も職人も農民も貴族も貧民も、老いも若きも、誰もがいつもよりも明るく、いい加減になる。
投げ売りに近いセールが起こり、それを買い求めにくる客たちで都市部はごったがえる。
人が増えれば、それだけ商売も活気づく。店屋、とくに宿屋と料理屋と酒場は大忙しとなる。
祭りがもっとも盛り上がるのは最終日の20日である。
一般的にはこの日を『最聖祭』と呼んでいる。
オルデン王国ではこの日を国民がいっそう楽しむために、いくつかの趣向をこらしている。
1つは王国軍とオルデン王国警備部隊(通称警備隊)の祭りへの全面協力。
都市の大通りを練り歩く仮装パレードや音楽隊による演奏、お祭り広場の運営など、軍人や警備隊員たちは非日常業務に大忙しとなる。
2つ目は『ふるまい』の義務化である。
料理店や酒場はすべて無料で料理や酒を提供しなくてはならない。
その分の費用は後日、王国政府から支払われる。
祭りを盛り上げようと意気込むのは王国政府だけではない。
魔法使いギルド『トゥリス』も1年のうちでこの日だけはと、大はしゃぎする。
おかげで魔法学院のある都市では、魔法使いたちが派手な魔法を使って様々な怪奇現象を起こして、人々の非現実感を深めるために一役買う。
もちろん、太陽教会も平常運転ではない。
もともとは太陽教会主催で行われていた祝祭である。
聖餅を作って振る舞い、聖歌隊による演奏会を行い、教導師たちによる神学の弁論会が開かれ、街そのものを清めようとシスター(女性教導師のこと)たちが練り歩く。
そういったわけで大賑わいの都市部だが、これが都市から離れた村や集落では少し様子が違ってくる。
たいがい、祭りは最終日だけで、ほかの9日は平常通り。
20日も馬鹿騒ぎというほどではなく、広場などでちょっとした催し物をして、夜は家族でケーキやごちそうを囲んで祝う。
このとき、親は子供にプレゼントを渡す。
または恋人と2人でロマンチックな夜をすごし、プレゼントを交換しあったり、愛を交わし合ったりする。
さて、ヘストンの村である。
秋にアルと婚約したマリーは20日の朝、早々と目を覚ました。
ベッドから抜けだして、体を震わせながら着替える。
部屋は以前よりも狭くなった。
殺人現場の部屋は物置にして、代わりに物置をマリーの部屋にしたためである。
白いセーターに青いスカートという服装になる。
首にはアルから貰った指輪を銀のチェーンにつけてかける。
洗面所で顔を洗い、厚手のコートを羽織って外に出る。
まだ空に昇ったばかりの太陽が地面に降りた霜をきらめかせている。
マリーは玄関前にしゃがんで、膝の上に両肘をついて頬杖をついた。
そのまま待ち続ける。
アルから手紙が来る予定なのである。
アルはあれから1週間に2通かかさずに手紙をくれる。
そのかいもあってか、だいぶ文章もうまくなり、書くことも充実してきた。
手紙はたいてい月曜日と木曜日に来るので、マリーは学校から帰ってから読むことになる。
12月から3月までは雪のため通学が困難になるので、学校は冬休み。
休みになっても月曜日と木曜日は早起きして、手紙を待つのがマリーの習慣になっていた。
30分ほど寒い思いをして待っていると、バーバラ食材店のフォーゼルがやってきて、手紙のついた小包を渡してくれた。
マリーはワクワクしながら、青い可愛らしい包装紙に包まれ、リボンが結ばれている小包を開けた。
わあ、とつい声がもれた。
中には青い宝石のブローチが入っていた。
素敵なデザインだった。
あまりにも素敵だったので、アルが誰か知り合いの女性に選んでもらったのではないか、と疑った。
フィアニーとかメアリーが怪しいと思った。
すぐに首を振る。
意見は聞いたかも知れないけど、きっとアルは1人で買いにいったに違いないわ。
そういうことにしよう、とマリーは強引に思考を打ち切って、青い宝石に口づけした。
手紙はいつもよりも長かった。
遠回しに催促したかいがあったというものである。
『最聖の時』が始まり、クラングランが人であふれかえっていること。
『月の雫』は連日大賑わいで大変なこと。
フィアニーとメアリーと協力してケーキを売り出していること。
「馬鹿、そんなこと書かなくていいのよ」
マリーは毒づいた。
嫉妬心を沈めるために深呼吸する。
それから続きを読んだ。
甘いものが嫌いなレグルと、娘たちが何度も怒鳴り合っていること。
そのあいだに挟まれて気まずいこと。
最終日は忙しさですごいことになりそうなので、今から落ち着かないこと。
「長く書けばいいってもんじゃないわよ」
マリーはつぶやいた。
もう少し、婚約者に対するロマンチックな言葉とかはないのだろうか。
3枚目の便せんになった。
マリーの体調を気づう言葉が書かれていた。
前回の手紙で、学校で倒れたことを書いたためである。
ただの貧血だったが、アルに心配してもらおうと、少し大げさに書いたのである。
「そんなに心配しなくてもいいの」
言いながらも、マリーは手紙を抱きしめた。
最後の方に、マリーは自分にとってとても大切な人だ、とうれしいことが書いてあったのだ。
もう1度、手紙を最初から読み返す。
今度はフィアニーとメアリーに嫉妬することはなかった。
2度目を読み終わり、家に入ろうと立ち上がる。
そのとき、全身に激痛が走った。
ほんの一瞬だったが、なにか雷にでも打たれたかのように、体中がビクビクと震えた。
気づいたら膝をついていた。痛みはまるで残っていなかった。
なんだったんだろう、とマリーはいぶかしみながら家へと入った。
一方、クラングランのアルはというと、マリーからプレゼントと手紙が送られてきたが、開く暇もなかった。
昨日の夜から『月の雫』の厨房にこもり、『ふるまい』の仕込みをしていたのだ。
そして、朝。
どこかでファンファーレが鳴り響き、楽隊の演奏が始まり、それらを合図に店に客が殺到した。
巾着のような形に丸めたミートパイや、魚貝スープ、スパゲティ、サンドイッチ、焼いた鶏ももの骨付き肉。
次から次へと客に渡していく。
一緒にワインやビール、果実酒やジュースもどんどん渡していく。
もちろん、渡すだけでは減っていく一方なので、厨房に入って作る。
厨房ではレグルが鬼の形相で、手が8本くらいあるのではないかというような、凄まじい働きをしていた。
時間の感覚は完全になくなり、とにかく、動き続けた。
そうこうしているうちにいつのまにか日が暮れていった。
やがて、用意していたすべての食材が終わった。
『ふるまい』の終了である。
最後の1品が客の手に渡るのを見届けると、アルはその場に座り込んだ。
体中が痛い。
日々、鍛錬を積んでいるのに、それがなんだと言わんばかりに体が悲鳴をあげている。
「よし、あたしは祭りに行くからね」
メアリーが言ってエプロンを外し、コートを着こむと、飛び出して行った。
アルはその体力に驚いた。
小柄で細身の体のどこにそれだけの元気がつまってるのか。
「学校の男の子から誘われたんだってさ」
フィアニーが言った。
「はい、アルちゃん。おつかれさま」
黄色い液体の入ったグラスをアルへと渡す。
髪の毛がほつれ、目の下にクマがある。
「ありがとう。フィアニーは行かないの?」
フィアニーがアルの頭をコンコンとゲンコツで頭を叩いた。
「悪かったわねえ。一緒に行く相手がいなくて」
「誘われてたじゃないか。たくさん」
フィアニーは普段から男性客に声をかけられる。
『最聖祭』が始まってからは特にそれが多くなった。20日の夜を一緒にすごそう、と誘ってくるのである。
「下心が多い誘いは受けないの。あたし、こう見えて身持ちが固いのよ」
今ひとつ身持ちが固いという意味を理解しかねるアル。
コップをかたむけて、黄色い液体を飲む。
直後にむせた。
「お酒じゃないか」
「当たり前じゃない。『最聖祭』のフィナーレだよ。お酒を飲まないでどうするの」
言うとフィアニーはビールを一気に半分近く飲んだ。
プハー、と美味しそうな声をだす。
「さっ、アルちゃんも飲んだ、飲んだ。酔っ払って倒れたら、お姉さんがちゃんと介抱してあげるから」
強引に勧められ、アルは一気に飲んだ。
ほんわかと体の中が暖かくなった。
「そういえば、ティナちゃんはどうしたの? 見かけなかったけど」
「朝から街に出てるよ。おこづかいを多めに渡しといたから、今頃、食いだおれてるんじゃないかな」
「エーテルちゃんは?」
「魔法学院がなんかやるみたいだよ。そうだ、それを見に行かなくちゃ。約束したんだ」
「アルちゃんはいい子だねえ」
言ってフィアニーがアルを抱きしめた。
アルは顔をフィアニーの豊かな胸に押し付けられて、なにか満たされた気持ちになった。
それはあくまでも性的なものではなく、例えば子供が母親に抱きしめられたときのような、幸福感に近い。
しばらくそうしてフィアニーのぬくもりを感じていた。
もし、この場面にマリーが居合わせたら、フィアニーに殴りかかっていたことだろう。
フィアニーは次から次へとビールをあけた。
アルにも酒を次々と勧めてくる。
アルはいい気分になってきた。
「アルちゃんはいい男になるぞ、絶対なる。あたしが保証するよ」
フィアニーは言ってアルの顔にキスをしまくった。
「だって、こんなに可愛いんだもん。あたし、アルちゃんのことが大好きよ」
「俺もフィアニーが大好きだよ」
アルはいい気分で言った。
「だって、綺麗だし、いい匂いがするし、優しいもんね」
「よく言った。よく言った。あたしはこれでもモテるんだぞ」
「でも、メアリーが言ってたよ。サッズが初恋の相手だって。またサッズのことが好きになったって」
「初恋の相手なのは確かだけど、久しぶりにあったら、そんな気持ちまったく起こんなかったよ。だって、サッズ、なんか気持ち悪いもの」
アルは首が肩につくほど、かしげた。
「なんで? かっこいいじゃない」
「昔はそう思ったんだけどね。なんか不気味だったの。なんでかな。話してると背筋に嫌な汗が流れてきたの」
「サッズはかっこいいよ。俺、サッズみたいな男になりたいよ」
「ダメダメ、アルちゃんはアルちゃんのままでいいの。あたしの可愛いアルちゃんのままでいいの」
言うとフィアニーはアルの唇に唇を押し付けた。
すぐに離れると、アルの頬を両手の平で挟んだ。
「よし、お姉さんが君を大人にしてあげよう。どうだ、大人になりたいか?」
「もちろん、ないたい」
「よし、口を開け」
アルが言われるままに口を開くと、フィアニーが半開きにした口を押し付けてきた。
なんだかよくわからないまま、口の中がウネウネとした。
ナメクジが口の中を暴れまわるような感触で、アルは気持ち悪くなった。
離れようとするが、フィアニーに頭を押さえられて離れられない。
手足をバタつかせていると、フィアニーがようやく口を離した。よだれの糸が唇から伸びていた。
「よし、大人になるための儀式の1つ目終わり。次もやってみるか?」
アルは先ほどのキスですっかりこりていたので、慌てて手の平を振った。
「なによ、意気地なし。いいわよ。アルちゃんがそういう態度をとるなら、もう助けてあげないんだから」
「そんなのってないよ、フィアニー」
それから2人は街に繰り出した。
アルはずいぶん酔っ払っており、足元がおぼつかなかった。
頭の中には、とにかくエーテルを見にいかなければならない、という意識だけが残った。
2人で手をつなぎ、子供のように手を前後に振りながら中央広場へ向かって歩いた。
中央広場は人でごった返していた。
平日でさえ人が多いのに、1年で1番盛り上がる祭りである。
そこらかしこで、歌声が聞こえてくる。酒の匂いが立ち込め、歩く人々は誰も彼も顔が赤い。
アルは歩いているうちに、もよおしてきた。
中央の広場へ向かう木立へ入り、小便をする。
すぐ近くで男と女が寝そべって、なにやらゴソゴソとしていた。
「大丈夫かい」とアルは声をかけた。
「もちろん、最高だぜ」と男が返事を返してきた。
「なにしてるんだい?」
「決まってるだろ、愛を確かめ合ってるのさ」
「それで、愛ってなんだ?」
「相手を大切に思う気持ちの最高のものだ。金属の最高は青金属。石の最高はダイヤモンド。魔物の最高はドラゴン。布の最高は絹。大切に思う気持ちの最高は愛ってわけだ」
そして男は嬌声をあげた。
アルは言いことを聞いた、と思った。
俺はマリーを愛してる。
俺はジャックを愛してる。
俺はセイルを愛してる。
俺はエピカを愛してる。
俺はティナを愛してる。
俺はフィアニーを愛してる。
俺はレグルを愛してる。
オルビーだってなんだかんだで愛してる。
フィアニーのところへ戻ると、彼女は男たちに囲まれていた。
大柄な男に肩を抱かれており、フィアニーは暴れている。
やってきたアルを見た。
「アルちゃん」
「フィアニーを愛してる」
アルは大声で叫んだ。
「アルちゃん、助けて」とフィアニー。
男たちがアルを指さして大笑いした。
「可愛い恋人じゃないか」
「坊やはママのところへ戻ってな」
酔っ払っていてもアルの正義感は眠っていない。
フィアニーの危機とあらば見過ごすことなどできない。
「おい、フィアニーを離せ」
声のトーンがおかしいままに怒鳴った。
「離さないと痛い目に合わせるぞ」
男たちがまた大笑いした。
それからフィアニーの胸を乱暴に揉みしだいた。
フィアニーが悲鳴をあげた。
アルは素早かった。
高く跳ぶと、男の1人に飛び蹴りを見舞った。
容赦なく側頭部を蹴られ、男が吹っ飛んだ。
アルは止まらない。
別の男のみぞおちに肘鉄を食らわせると、さらに別の男の脛を蹴って転ばせた。
フィアニーの肩を抱き寄せていた男はあっけにとられている。
「フィアニーを離せ」
アルは男を睨んだ。
「このガキ」
男がフィアニーを突き飛ばした。
腰の短剣を抜く。
「俺はデクスト団だぞ」
「だからなんだよ」
「生皮を剥いでやるぜ」
「やってみろよ」
突き飛ばされ、地面に尻もちをついたフィアニーが叫んだ。
「ダメ、アルちゃん。やめて」
フィアニーの声は今までとうって変わって真剣だった。
男に飛びかかろうとしたアルの動きが止まった。
「ごめんなさい。デクスト団の人たちだとは思いませんでした。どこにでもついていきますから、この子は見逃してください」
地面に膝をついて頭を下げる。
「ふざけんな。いまさらそんな言葉が通用するかよ。てめえも、このガキも、生皮はいで、魚の餌にしてやらあ」
男が怒鳴ってフィアニーの背中を踏んだ。
アルの理性がプツリと切れた。
声をあげながら男に突進する。
男の大振りしたパンチをかわし、みぞおちにパンチを叩き込む。
男が体を折って嘔吐した。
アルはその後頭部に危険なほどの速度で肘を振り下ろした。
しかし、途中で止まる。
いつのまにかそばに男が立っていた。
アルの手はその男に押さえられていた。
「やめとけ。やめとけ。こんなゴミを片付けるのに手を汚すことはねえ」
相手を見たアルは、一瞬、女性かと思った。
肩まで伸ばした金髪。細身の体。長い革のコートを着ている。
嘔吐した男が大声をあげながらアルに襲いかかる。
しかし、男はそのまま地面にキスをした。
一体なにが起こったのかアルにはわからなかった。
まるで数秒間を削りとったかのように、男は地面に顔をつけていた。
頭の上に金髪の男の足が乗っている。
「ところでひとつ聞きたいんだがよ。お前、デクスト団のなによ? どうも見覚えがねえんだが」
金髪男は1度足を上げて、あらためて男の頭を踏みつけた。
「なあ、教えてくれよ」
言いながらも、ガンガンと踏みつける。
大柄な男は地面に何度も顔をうちつけらえて、顔中が血だらけになった。
「もし、うちの奴なら、カタギに手出したってことで、教育してやらねえとな。もし、うちの名を語ったんならよ」
男が笑った。
アルはゾッとした。
一気に冷気が押し寄せてきたようだ。
金髪男が足を離した。
大柄な男は地面に顔をつけたまま、身動きしない。
金髪男は怯えた顔で震えているほかの男たちを見た。
「うちの名を語るの、初めてかい?」
男たちがブンブンと音がしそうなほど首を振った。
金髪男は男たちの1人に近づくと、その顔をつま先で蹴った。
「嘘つけ」
男たちが涙を流して許しをこうた。
「祭りで羽目を外しちまうのはわかるがよ。女を無理やりコマそうってのは、いただけねえな。そこにうちの名を出すなんてのは、もってのほかだぜ」
言うと金髪男はアルをゾッとさせたあの酷薄な笑みを浮かべた。
「2度目はねえぞ」
男がそのまま歩き去っていこうとしたので、アルは呼び止めた。
「あの、ありがとうございました」
彼が割って入ってくれなかったら、あの男を殺してしまっていたかもしれない。
男は振り向かずに片手を上げるとそのまま去っていった。
アルの酔いはすっかり覚めていた。
遠ざかる男の背中を眺めながら、本当のアウトローとはああいうものなのか、と思った。
フィアニーに絡んでいた男たちはいなくなっていた。
足を止めていた見物人たちもまた歩きだす。
「ごめんね、アルちゃん」
フィアニーが泣きそうな顔で言った。
「あたしとでかけると、こんなのばっかりだね」
「フィアニーは悪くない」
「ううん、あたしのせい。ごめんね、せっかくのお祭りなのに、嫌な気分にさせちゃって」
フィアニーの目からポタポタと涙がこぼれた。
なんとかフィアニーを元気づけることはできないだろか。アルが考えていると、声がかかった。
「お姉ちゃん」
メアリーだった。
フィアニーはさっと目元をぬぐった。
妹に泣いている姿を見られるわけにはいかない。
「アルと一緒にお祭りに来るなんてさ。なんにもロマンチックじゃないじゃない」
「そっちこそ、ボーイフレンドはどうしたの? バイバイするにはまだ早くない」
メアリーが苦い顔になった。
「ぜんぜん、ダメだったの。聞かないでよね」
「どうせ、あんたがワガママ言いすぎて、あきれらたんでしょう」
「違うわよ。あんまりガキっぽすぎたから、振ったの。もう、やんなっちゃう。楽しみにしてたのにさ」
「たぶんね、あんたが悪いんだと思うよ」
メアリーが甘えるような声で「お姉ちゃん」と言った。
「ねえ、一緒に行ってもいいでしょう。せっかく今日1日がんばったんだから、もっと楽しみたいよ」
「嫌よ、そんなの。こっちは2人で楽しくしてたんだから。あんたに比べればとってもロマンチックだったしさ」
言ってからフィアニーが笑った。
「と、言いたいところだけど、いいわ。あんたまで変なのに絡まれたら困るしね」




