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にゃんこさんシリーズ

にゃんこさんと金のネズミ銀のネズミ

童話『金の斧銀の斧』をモチーフにした作品です。

1.あるところに若者とにゃんこさんがいました


昔々というほどの昔ではありません、そうあなた方のお父さんお母さんがまだ子供だった頃

あるところに若者とにゃんこさんがおりました。


若者は毎日会社に出かけお仕事を頑張ります。にゃんこさんは毎日お昼寝をします。

若者がお仕事の日は朝ご飯の後二人でネズミのおもちゃで遊び、晩ご飯の後もやはり二人でネズミのおもちゃで遊びます。

お休みの日には、若者は少し朝寝坊をし、にゃんこさんは一人でネズミのおもちゃで遊びます。

若者が起きると、仲良く二人で遊び、晩ご飯の後もまた、二人でネズミのおもちゃで遊びます。


ネズミのおもちゃはだんだんボロボロになってきました。

若者はにゃんこさんに言いました。

「ネズミさんもくたびれてきましたね。今度一緒に新しいおもちゃを買いに行きませんか?」

「そうだにゃ、新しいおもちゃ買ってほしいにゃ!一緒に買い物に行くのにゃ」

にゃんこさんは嬉しそうにそう言うと、若者の膝に上り丸くなってグルグルとのどを鳴らしました。


日曜日、若者とにゃんこさんは二人でペットショップに行きました。

ワクワクしながらおもちゃコーナーに行くと様々なタイプのおもちゃが並んでいます。


【けりぐるみ】前足で抱きかかえて後ろ足で蹴り蹴りして遊ぶぬいぐるみです。魚の形やザリガニの形などバリエーションも豊富でぬいぐるみの中にはまたたびが入っていてにゃんこさんも思わずかぶりつきそうになってしまいました。


【ねこじゃらし】猫のおもちゃの王道です。棒の先にはゆらゆら揺れる穂、他にも梵天のようなモコモコだったり羽が付いているものもありました。


【ボール】中に鈴の入っているもの、毛糸玉、色も素材も大きさもバリエーションに富んでいます。


【トンネル】シャカシャカ素材のもの、フカフカなもの、段ボールで出来たもの等々、長さも30㎝から、長いものは2mのものまで


他にもにゃんこさんが大事にしているネズミさんのような釣り竿型のものもたくさん並んでいます。


「どうしようにゃ?たくさんありすぎて選べにゃいのにゃ。」にゃんこさんは何を買うか悩んでいます。

「そうですね、毎月一つ新しいものを買うことにしませんか?楽しい時間は何度あってもいいですし。」若者はにゃんこさんにそう提案しました。


「わかったにゃ・・・う~ん、ボールかけりぐるみにするにゃ。どっちにするかは、来週また来て選ぶにゃ。」結局どれを買うのか選べなかったにゃんこさんは、次のお休みに選ぶことにして、若者と一緒に家に帰りました。


2.にゃんこさんは池にネズミを落としてしまいました


にゃんこさんはネズミのおもちゃをくわえて家のそばの池のほとりにいました。

一人で遊んでいると、アッ!うっかりネズミのおもちゃを池に落としてしまいました。

「大変だにゃん。大事なネズミが・・・どうしよう。」にゃんこさんが困っていると、突然池の中から若者が出てきました。

「お兄さん、ごめんなさいだにゃん。大事なネズミを池に落としてしまったにゃん。」にゃんこさんは若者にそう言いましたが・・・

若者は「コレコレ、私は神様である。お兄さんではないぞよ。」とにゃんこさんに言うではありませんか。

そういわれてみると確かにいつもと違って長いローブのようなものをきているし、顔には長いひげ?がはえています。

「あれ、間違えたにゃん、お兄さんじゃないのにゃ、どうしたらいいにゃ。」にゃんこさんは困ってしまいました。


「にゃんこさんや、お前さんが落としたのはこれかな?」若者によく似た神様はにゃんこさんに金のネズミのおもちゃを差し出してそう聞きました。

「ちがうにゃよ。僕が落としたのはそんな金ぴかのネズミじゃないにゃ」にゃんこさんは神様にそう返事をしました。


「ふむふむ、にゃんこさんや、お前さんが落としたのはこれかな?」神様はにゃんこさんに今度は銀のネズミのおもちゃを差し出してそう聞きました。

「ちがうにゃよ。僕が落としたのはそんな色のネズミじゃないにゃ」にゃんこさんは神様にそう返事をしました。


「なるほど、にゃんこさんや、お前さんが落としたのはこれかな?」神様はにゃんこさんに今度はくたびれたネズミのおもちゃを差し出してそう聞きました。

「そうにゃ!僕が落としたのはそのネズミにゃ」にゃんこさんは神様にそう返事をしました。


「ほー、にゃんこさんや、お前さんはどうやら正直者のにゃんこらしいの。気に入ったぞ。正直者のにゃんこにはこの金のネズミをあげよう。」神様はにゃんこさんに金のネズミを差し出しました。


「えっ、でもそれは僕のネズミじゃないし、そんな金ぴかネズミいらないのにゃ」にゃんこさんは金のネズミを断りました。


「なんだと、いらないとな。よし、ではこれだ、この銀のネズミをやろう。」神様はにゃんこさんに銀のネズミを差し出しました。


「えーっ!だからそれは僕のネズミじゃにゃいのにゃ。僕はただ自分のネズミを返してほしいだけにゃ。」にゃんこさんは少し怒ってそう言いました。


「そ、そうか、それは悪かった。では、にゃんこさんやお前さんにこのくたびれた普通のねずみを返してやろう。そして正直者のにゃんこにはこの金のネズミと銀のネズミもやろうではないか。」「いらにゃい。そんな変な色のネズミはいらにゃいにゃ。僕の大事なネズミだけでいいにゃ。」

神様がにゃんこさんに3匹のネズミを差し出しましたが、にゃんこさんは普通のネズミだけを受け取り、家へと帰っていきました。


3.金のネズミと銀のネズミ?


家に帰った来たにゃんこさんは、若者に尋ねます。

「お兄さん、さっき池のところにいたのはお兄さんかにゃん?」

「池?にゃんこさん池に行ってたの?僕はずっと家で掃除してたよ。にゃんこさんも手伝ってくれるんじゃなかったっけ?」

「あわあわ、そうだったにゃ、すっかり忘れてたにゃ、サボるつもりじゃなかったのにゃ。」

若者は、慌てるにゃんこさんに「次は一緒にやりましょうね。ところで池で何かあったのですか?」とニッコリと笑いました。


「そうにゃ、神様がいたにゃ。」「神様?」

「神様が金のネズミと銀のネズミをくれるって言ったんにゃけど、あんな色のネズミはいらにゃいから断ったにゃ」「なんですって。」

「もしかして、お兄さん欲しかったのかにゃ?」「そんなことないですよ。でももう少し詳しく最初から聞いてもいいですか?」

「えっとー・・・・・・」「なるほど、それで。」

「・・・・・・というわけなのにゃ」「わかりました。(なんか童話でこんなのあったよな。マジかよ?)それで、その神様が僕に似てたんですね。」

「そうにゃ、似てたのにゃ。」


若者は不思議なこともあるものだと思いました。


「とにかく大事なネズミのおもちゃが戻ってきて良かったですね。」

「そうなのにゃ、大事なネズミは無事だったにゃ。」

「にゃんこさんはそのおもちゃが本当に大好きなんですね。もう池に落としたりしないように気をつけましょうね。」


「大事な大事なネズミなのにゃ、もう外へは持っていかにゃいのにゃ。」にゃんこさんはネズミのおもちゃをいつものおもちゃ置き場に大切にしまいました。


「じゃあ、そろそろご飯にしますよ。にゃんこさんも手を洗ってきてくださいね。」

そうして、二人はいつものように仲良くご飯を食べました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「なんだと、金のネズミと銀のネズミだと!何というもったいないことを・・・よーしわしが代わりにもらってやろう。」

なんと、お隣のおじいさんが窓の外で若者とにゃんこさんの会話をこっそり聞いていました。

おじいさんどうするつもりなのでしょうか?


4.お隣のおじいさんが池にネズミを投げ込んで


「行ってきます!」月曜日の朝、若者は会社へ仕事をしに出かけました。

「じゃあ、もうひと眠りするかな。朝からネズミで遊んで疲れたのにゃ。」

にゃんこさんは若者が出かけると、キャットタワーの上でひと眠りすることにしました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そろーり、そろーり

そろーり、そろーり

お隣のおじいさんがこっそりと忍び込んできました。

「フフッ、しまい場所は昨日こっそり見ていたからわかっているのじゃ。しめしめ、にゃんこはぐっすり寝ているようだな。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「にゃんこさん!にゃんこさん!ご飯ができましたよ。」

「はにゃっ、もうそんにゃ時間かにゃ。今日のメニューはにゃにかにゃ~」

「今日は鶏むね肉を茹でました。ゆで汁のスープもありますよ。」

「うまそうにゃ、いただきますなのにゃ。」

にゃんこさんは美味しそうに食べ始めます。若者はその姿をニコニコと眺めます。若者は照り焼きチキンと野菜サラダでおいしい晩ご飯を食べました。

「ごちそうさまなのにゃ、ちょっと遊んでから寝ようなのにゃ。」「そうですね、洗い物が終わったら一緒に遊びましょう。」


「うわっ大変にゃ!」「どうしたんですか?」

「ネズミが、大事なネズミがにゃいのにゃ!」「えーっ、一体どうしたんでしょう。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「フハハハハ!やったぞ。このネズミがあれば、金のネズミと銀のネズミもわしのものじゃ。」


にゃんこさんが寝ているすきにネズミのおもちゃを持ち出したおじいさんは、池のほとりにやってきました。


「ここだな。このネズミをこの池に投げ込めば金のネズミと銀のネズミはわしのもの。」

ボッチャン!


大きな音を立ててにゃんこさんのネズミのおもちゃを池に投げ入れます。


「そうだ、この財布も投げたら金貨銀貨のいっぱい詰まった財布になって帰ってくるに違いない」

ボッチャン!


しばらく待っていましたが、なかなか神様は出てきません。

「なんだ、神様のくせに寝ているんじゃあるまいな。遅いじゃないか!よーしこの石を投げて起こしてやるか。」おじいさんは、なかなか出てこない神様に腹を立て小さな石を池に投げました。


「まだ、出てこないぞ、よーしもっと大きな石を投げてやる。」おじいさんは今度は拳ほどの意思を投げ込みます。

「むむっ、こーなったらこれでどうだ!」おじいさんが人間の頭よりも大きな石をよいしょっと持ち上げ池に投げ入れようとしたその時です。


「こらー!!誰じゃ池に石を投げたのは」神様が池の中から現れました。

びっくりしたおじいさんは石を自分の足の上に落としてしまいました。

「いてててて、お前が神様か。」

「なぬ、お前じゃと?」

「いけね、あなた様がこの池の神様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。

私めは、近所に住む爺さんです。うっかり石を落としてしまいました、申し訳ございません。」

「ふむ、わしが神様である。」

「へへっ、神々しいお姿はやはり神様でしたか。ところで神様、じつはですね石の前にうっかりネズミのおもちゃと財布も落としてしまったのですが、池の中でご覧になりませんでしたでしょうか?」

「ネズミに財布か、確かにネズミも財布も落ちてきたな。」

「恐れ入りますが、私めの落とし物を拾っていただければありがたく存じます。」

「うむ、まっておれ。」神様は池の中へと戻っていった。


「爺さんや、お前さんが落としたのはこれかな?」神様はおじいさんに金のネズミのおもちゃを差し出してそう聞きました。

「そうです。いやどうだったかな。他にもありましたか」おじいさんは神様にそう返事をしました。おじいさんは、金のネズミだけでなく銀のネズミも欲しかったので自分のネズミがどれか分からなくなったふりをしたのでした。


「ふむふむ、爺さんや、お前さんが落としたのはこれかな?」神様はおじいさんに今度は銀のネズミのおもちゃを差し出してそう聞きました。

「どうだろう。よくわからないなあ、さっきのネズミとそのネズミよく見てみたいので両方貸してくださいませんか?」おじいさんは神様からネズミを受け取ったらすぐに逃げ出そうと考えてそう返事をしました。


「いやいや、爺さん、お前さんが落としたのはこれではないか!」神様はおじいさんに今度はくたびれたネズミのおもちゃを差し出してそう聞きました。

「とんでもございません、神様。そんなくたびれたネズミではなく、先ほどの金のネズミと銀のネズミが私めのものなのです。それと私めの財布はどうなりましたかな、お金の詰まった財布ものでございます・・・」おじいさんは神様にそう大声で返事をしました。


「この、嘘つきめ、大体このネズミだっておぬしの隣の家のにゃんこのものではないか。おぬしのような嘘つきには何も渡すものはないとっとと帰るがよい。」神様はおじいさんを怒鳴りつけました。


「そんな、じゃあ、せめて私の財布は返してください。財布を返せ、この貧乏神め!」金のネズミも銀のネズミももらえなかったおじいさんは怒って言いました。


「なんだと、貧乏神じゃと?よくもそんなことを・・・お前に渡すものなど何もないわ!財布だって自分で投げ入れたのじゃから自分で拾うが良い。」神様とおじいさんがそう言い争っていた時に

にゃんこさんと若者がやってきました。


「あっ!さっきの神様だにゃ!僕のネズミを知らにゃいかにゃ?せっかく拾ってもらったネズミがなくなってしまったのにゃ。」にゃんこさんは神様に尋ねて言いました。

「先ほどは家のにゃんこさんがお世話になりました。あなたが拾ってくださった神様なのですね。ありがとうございます。大切にしまってあったはずのネズミのおもちゃがなくなってしまって、探しに来たところなのです。」若者は神様にお礼を言って事情を説明します。


「・・・わしは、わしは何も知らん、帰るぞ」隣のおじいさんはネズミを黙って持ってきてしまったことがばれそうになったので慌てて帰っていきました。


「にゃんこさんや、ほい、これじゃな」神様はくたびれたネズミをにゃんこさんに渡します。

「これにゃこれにゃ、神様ありがとうなのにゃ!神様はさすがなのにゃ!」にゃんこさんは嬉しそうにネズミを抱きしめました。


「若者よ、にゃんこさんはいらないといったがお前さんにこいつをあげよう。」神様は若者に金のネズミと銀のネズミを渡しました。

「ありがとうございます。ですが、これは受け取れません、神様のお気持ちだけありがたく頂戴します。」「なんと、おぬしまでいらないと申すのか、二人とも欲のないことよ。では・・・そうじゃな、せめてこれくらいは受け取ってくれ。」神様は、若者に小さな箱を渡しました。

そして、白い煙とともに消えてしまいました。


「ありがとうございます。神様。」若者はネズミを大切に抱えたにゃんこさんとともに家へと帰っていきました。


5.そうして若者とにゃんこは幸せに暮らしました。


「にゃんこさん!にゃんこさん!ご飯ができましたよ。」

「はにゃっ、もうそんにゃ時間かにゃ。今日のメニューはなにかにゃ~!」

「ははっ、そうですね今日は金曜日なのでお刺身です。たくさん買ってきましたからね。」

「うまそうにゃ、いただきますなのにゃ。」

にゃんこさんは美味しそうに食べ始めます。若者はその姿をニコニコと眺めながら一緒にお刺身をいただきます。

「ごちそうさまなのにゃ、やっぱりお刺身は美味しいのにゃ。また、ちょっと遊んでから寝ようなのにゃ。」「そうですね、洗い物は明日の朝するので一緒に遊びましょう。明日は洗い物が終わったらお買い物に行きましょう。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「では、でかけましょうか?何を買うか決まりましたか?」

「決まったにゃ」

「何にしたんですか?」

「ボールにゃ・・・」「ボール・・・?」

「そうにゃ、小さなボールにゃ、それを持って池に行ったら神様とも遊べるにゃ。」「えっ?」


そうそう、この前神様にもらった小さな箱に何が入っていたか皆さんにも教えてあげましょう。


神様がくれた箱に入っていたのは小さな鈴でした。

鈴といっても音はしません。神様にだけ聞こえる鈴です。

にゃんこさんは首輪にその鈴を付けてもらいました。

にゃんこさんが池に行くと鈴の音を聞いた神様が池の中から出てきます。

若者が仕事に行って暇な時間、お昼寝に飽きたら池に行って、若者に買ってもらったボールで神様と遊びます。

にゃんこさんには友達が出来たのです。

そして若者とにゃんこさんはいつまでも幸せに暮らしましたとさ、おしまい。

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