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ヴィジターキラー  作者: 反物質
第1章 「異世界へ来たらチート魔力を手に入れてたんだけどwww 」大間当司
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1-5

「では、お気をつけて」

「はい、ありがとうございました!」

 カーム村の入り口。そこにマナは馬車から降りた。「転生者殺し」で一夜を明かしたマナは、ギルドが手配した馬車に乗って、カーム村まで送り届けてもらったのだ。

「マナ!無事でよかったわ!」

「ママ!!」

 馬車が村から出ると、マナの母親が駆け寄ってきて、彼女を抱きしめた。

「ギルドの方から聞いたのよ!あなたがモンスターに出くわして、帰れなくなってたって!」

「ごめんなさい・・・・・でも、心配してくれてありがと!」

 本部の方からすでに連絡が行っているようだ。少なくとも彼女が行方不明になり、心配していた、ということはなさそうだ。

 と、そのとき。

「どうしたんだ?」

「なんか、大変なことになってたみたいね」

「あら、勇者様!」

 母親はやってきた冒険者の二人組に反応し。そちらに顔を向ける。

「勇者・・・・・様・・・・・・?」

 マナも母親にならってそちらを見ると、爽やかな笑顔の少年と、その一方後ろに付いている少女が佇んでいた。

「話は聞かせてもらったよ。ずいぶんと大変な目に遭ったらしいな。でも、安心しな!」

 少年は一歩前へ出ると、得意げに拳をマナの目の前に差し出し、

「俺が、どんな奴でもぶっ倒してやるから!」

 と意気込んだ。マナはその迫力に気圧され、

「あ、はい・・・・・・・・・」

 としか返せなかった。

「こーら、当司くん!そうやって女の子にかっこいいところ見せようとして!!私が居るのを忘れてないよね?!」

「あだっ!いてててて!サヤ、そんな耳引っ張るな!!」

 後ろに居た少女は、むっとした顔で少年の耳たぶを引っ張って、無理矢理後ろにずり下がらせた。端から見れば、ただのバカップルでしかない。

 しかし、そんなマナは彼らをただ呆然と見送っていた。

「マナ、よかったわね。あの“大魔法の勇者”様に声かけられるなんて。いざとなったら、あの方たちに頼むのもいいんじゃないかしら」

「あ、うん・・・・・・・・・・・」

 マナは母親の優しい呼びかけに、ただ曖昧な返事しかできなかった。もちろん、目の前に居た人物がどんな者なのかは解っている。前代未聞の膨大な魔力をその身に宿し、ありとあらゆる強敵を打ち倒してきた、「大魔法の勇者」だ。それがこんな辺境の村に訪れたとあれば、お祭り騒ぎも必至だった。

 だが、マナはなんとなくではあるが、察していた。




彼こそが森のドラゴン(本当はタツモドキ)たちを悉く焼き殺し、ぴよちゃんたちに重傷を負わせた、張本人だと言うことを。




「(なんだろう・・・・この気持ち・・・・・)」

 世間的には、「転生者」は歓迎される様な存在であることはわかりきっている。「現世人にも持ち得ない強大な力を持つ、異世界の英雄」の噂は、こんな辺境の地までも広まるような話だ。彼女のような一介の村娘でさえ、それは理解している。

 だが、森の惨状を見る限り、好意的な見方はかなり難しくなった。むしろ・・・・・





















 ところ変わって、「エンデ」の会議室の一角。・・・・・・といっても彼らの職務はその特殊性を極めることから建物は分割されており、実質的には「対転生者特別防衛機関」は別館になっている。そこにトーヤ、エミリア、ネロ、ゲイボルグらが一堂に会する。そして彼ら以外にも、「転生者殺し」に所属するギルド職員や騎士たちが、半ば「聴衆」という形で会議に参加する。

「昨日は“エンデ本部”にてくだんの転生者“大間当司”の処分について審議する緊急会議が開かれていた。もちろん総帥はそちらの会議に出られている」

 エミリアは執行部隊副隊長にして、「作戦会議」に司会進行役を務めている。彼女は「体転生者」そのものよりも、その戦場を整備して戦局を優位にできるようにしたり、戦闘後の現場の整備や規制などを敷いたりする方が得意である。そんな彼女が意見を交わし合い、まとめる場で司会進行をする、というのはごく自然なことであった。

「本日“作戦会議”を開いたのは、総帥より“昨日の時点で大間当司の討伐命令が下された。早急に作戦会議を開き、その対策を迅速に打ち立て、対処できるよう準備しておくこと”という言を預かっている。故に我々は “作戦会議”を開き、かの“転生者”に対する対抗策を生み出すのだ!・・・・・・・では早速ネロ調査部隊隊長。奴の情報について」

「はいはい」

 ネロは手元の金属板を操作する。彼の持っているものはトーヤが普段使っているものよりも数倍大きく、表面にガラスが張ってある。ネロがその表面をなぞると、会議室の壁に掛けてある「ガラス板」に「窓」が表示される。

「じゃあ、まず彼の“ステータス”を表示するね」

 ガタガタガタ、と椅子が揺れ動く音が一斉に鳴り、聴衆はその「スクリーン」に体を向ける。




大間 当司

職業:大魔導師アークウィザード

Lv.96

HP:4382/4382

MP:37564/37564

攻撃:3283

防御:3528

知力:42731

精神:6543

敏捷:4649

幸運:8841

スキル

天罰:魔法で攻撃された際、自身の知力依存の魔法の反撃を行う

即死無効

状態異常無効


習得魔法

炎属性

ファイアショット

フレイムスロワー

エクスプロジア

メテオーラ

ヒートフィールド


雷属性

サンダーショット

ライトニング

サンダーボルト

バリアブラ




備考

異世界から来た勇者。ありふれた日常に退屈していたところ、召喚魔法によって幼馴染みの紗綾とともにこちらの世界に転移してきた。通過の際膨大な魔力をその身に宿し、「大魔法の勇者」の称号を授かった。

又、自身の魔力で肉体を強化、および擬似的な魔力の鎧を形成し、それを生かした近接戦闘もこなす。






「・・・・・・・・・相変わらずむちゃくちゃな“ステータス”だね」

 ネロがつぶやいたように、異世界でもあり得ないような数値が並ぶ。特に「MP」と「知力」は驚異の5桁に突入しており、その異常さを如実に示している。聴衆もどよどよと狼狽えており、動揺が隠しきれない。

「これを見た限り、どう思うかな?エミリア君」

 ネロに話を振られたエミリアは、眉間にしわを寄せてしばしスクリーンをにらんだ後、こうコメントした。

「・・・・・・何度もこういうステータスを見てきたが、正直ここまでの者もなかなか見たことがない。我々は太刀打ちできるのか・・・・・?」

 かなり勝ち気な彼女にしてはなかなか気弱なコメントだ。それもそうだろう。能力値が5桁、というのは本当に見たことがない。それこそ「最上級モンスター」クラスでないとお目にかかることのない数値だ。それをたかが一人間がマークしているのだから、恐ろしい。

「さて、お宅の副隊長はそう言っているが、どう思うかね?トーヤ執行部隊隊長?」

 そんな彼女をからかうように、ネロはトーヤに同じ質問をした。引き合いに出されたエミリはしょぼんとするが、実際そうとしか答えられないので反論のしようがない。

 話題を振られたトーヤだが、彼女とは異なりすぐさま答えを返した。

「・・・・・・彼女の言うとおり、奴のステータスは異常だ。“MP”“知力”の値を見てもらえば解るだろう。それに、奴のもつ“スキル”も厄介だ。特に“天罰”は魔導師に対して天敵のようなスキルだ。となると必然的に接近戦を持ち込まれるが・・・・・・」

 と、トーヤはそこで顔を曇らせた。

「奴の対策で最も鬼門となるのが“魔力武装”だ。こいつは“習得魔法”にラインナップされていない時点で察せられるだろうが、“完全オリジナル”の魔法だ。“レベルアップ”で覚えた魔法じゃない。・・・・・・逆に言えば、そこさえなんとかできれば、活路は見いだせる」

 と、結論づけた。おお・・・・・と聴衆から感嘆の声が漏れる中、一人の職員が手を挙げた。

「トーヤ執行部隊隊長、ご質問があります。そもそも莫大な魔力により魔法がほぼ無限といえる奴の魔法攻撃にたいし、どうご接近なさるのでしょうか」

「なるほど」

 至極正論な職員の問いかけに対し、トーヤは淡々と相槌を打った。

「ネロ。これまでに撮った映像を出してくれ。幸いにも奴は頻繁に“闘技場”に出入りしていたことから、魔法の使用風景に関しては困らない」

「はいはい」

 ネロが手元のウィンドウを再び操作すると、当司のステータスウィンドウの上にさらにいくつかのウィンドウが表示された。

「まずはこの映像だが・・・・これは“ファイアショット”の挙動だな」

 映像はどこかのコロシアムだ。映像の中の当司は向かってくるモンスターたちに「ファイアショット」を放っている。一発一発が彼の身長ほどもあり、それがゴブリンやスライムなどに着弾すると、すさまじい勢いで破裂し、後方に大きくふき飛ばしている。しかもそれを秒間5~6発の勢いで連射している。一発が標準的な「エクスプロジア」ほどの威力の魔法弾を、これだけの勢いで放っている奴を相手に、どう立ち向かうというのだろうか。

「これだけ見れば、ただただ奴のむちゃくちゃな魔力に戦慄するしかないが・・・・弾の軌道をよく見てほしい。・・・・・・ネロ、こんどはスローで」

 ネロは映像を最初まで戻すと、今度はゆっくりと流し始める。

「この弾の軌道だが・・・・・よく見ると全くホーミングしていない。着弾点もモンスターからは微妙にずれているのが解るだろう?」

「た、確かに・・・・・・・・」

 映像を見ると、火炎弾の軌道はばらついているものの、その軌道はいずれも直線的だ。見た目こそ直撃しているものの、一般的なサイズの火球だったら明らかに当たっていない場所で巻き込まれている。

「で、次は“ライトニング”の挙動だな」

「人使いの荒いねぇ」

 文句を言うな、というトーヤの問いかけにはいはい、と答えるネロ。そんな彼は三度ウィンドウを入れ替え、今度は別のモンスターとのコロシアムでの戦闘シーンになる。

「これは・・・・・ビーナイツ?」

「しかも10体どころではないぞ?!」

 と、聴衆は騒ぎ立てている。

 ビーナイツとは、全長50センチほどの巨大なハチに甲冑をかぶせたようなモンスターで、金属質で重装備な見た目に反し、非常に高い機動力を誇る。しかも彼らは雷属性を宿す関係で、彼らに雷の魔法や武器による攻撃は好ましくない。

 そんなビーナイツを、

「うわ・・・・・“ライトニング”一発でこれかよ・・・・・・」

「ま、全く軌道が見えねぇ・・・・・・・」

 一方的に嬲る転生者の姿がそこにあった。

 「ライトニング」という魔法は「威力を犠牲にして、速度と命中率に特化させた魔法」として知られている。ほかの魔法とは異なり、相手の魔力に反応して電撃が自動でホーミングをするようになっており、さらに振り切ろうと急旋回しようとも確実に着弾する圧倒的な速度も売りである。その一方で一般的な魔法の中では威力はかなり劣っており、特に雷属性に対する抵抗が強いビーナイツには、本来かなり不利であるはずなのだ。

 しかし、画面の中の少年はそんな耐性などものともせず、次々とビーナイツを撃ち落としている。本来の魔法の威力とモンスターの持つ耐性を、その圧倒的な魔力にものを言わせて強引に打ち破っているのだ。一発一発が先ほどの「ファイアショット」のものとは勝るとも劣らない威力で彼らに襲いかかる。

「見てもらったとおり、奴の“ライトニング”も決して侮ることができない」

 しかし場面が進んでいくと、ビーナイツが広範囲に散らばり、当司を取り囲むように飛び始めた。画面の中の少年は一瞬その様子にたじろぐが、すぐさま攻撃を開始する。その瞬間に、映像が止まった。

「だが、これも速度が出すぎているあまり、この魔法の売りであるホーミング性がかなり死んでいることが解る。出なければこんな撃ち方は本来しないはずだ」

 トーヤは指示棒を取り出し、スクリーンの中の少年の腕を指した。画面の中の当司は右手で左側を、左手で右側をカバーするように交差させて「ライトニング」を撃っている。

 「ライトニング」のホーミング性は非常に強く、一瞬で発動者の背後に回ったとしてもそちらまで急激に旋回し、貫くようになっている。つまる取り囲まれたところで、本来ならば普通に撃っていても当たるはずなのだ。

 しかし当司は、両の掌からわざわざ撃っている。正面に対して両側から撃てば背後までカバーできるというのだろうが、こんな撃ちにくい魔法の出し方は見たことがない。両手を合わせて大魔法を放つ、などはまだしも、真逆の方を向かせて撃つのは非常にコントロールしにくい撃ち方なのだ。

「単純にホーミング性が速度に付いていけていないのか、それともそっちを犠牲にして速度を上げたのかは知らないが、いずれにしても発射角にはかなり限界がある、てことだろう・・・・・つまり」

 パシン、と指示棒を縮めて、トーヤはこう結論づけた。

「この“ライトニング”と“魔力武装”さえどうにかすれば、かなりやりやすい相手になる、そう俺は分析する」

 おおおおおおお!!と拍手喝采で会場が沸き立つ。一見立ち向かうのが困難な相手にも、一縷の希望が出てきたことに、喜びを感じずには居られないのだろう。

「トーヤ隊長!これならば確かに、いくらかはやりようが考えられるな!」

 エミリアも顔色をよくしてそう口にした。

 しかし、そこで先ほどまで黙っていたゲイボルグが手を挙げた。

「トーヤ隊長。つけいる隙に関しては理解できましたが・・・・・・」

 わいていた会場が、にわかに静まりかえる。






「具体的に、どう立ち回れるおつもりなのでしょうか?」





「・・・・・・・・・・・・」

 喜びをかみしめていた会場が、再び不安を漂わせ始めた。

 そう。つけいる隙自体は見いだせても、それを「どうやってつけいるか」ということに問題がある。「ライトニング」自体のホーミング性は損なわれているとは言ったが、実際には目にもとまらぬ速さで放たれるそれをかいくぐらなければならない。「ファイアショット」だってそうだ。一発一発が小型モンスター一体分にもなる大きさの火球を、一体どうやってかいくぐろうというのだ。ライトニングほどではないにしろ、発射速度もある。これを交わしきるのは、並大抵のことではない。

「それに、躱すだけではありません。目標は“ヒートフィールド”“バリアブラ”の“防御魔法”も備えています。これについても、どうお考えなのでしょうか」

 ゲイボルグの質問に対し、トーヤは・・・・・・

「俺は、“ライトニング”だけは被弾覚悟で挑もうと思う」

「「「!!??」」」

 聴衆も、各部隊隊長たちも驚いている。あの「全魔法でしたから数えた方が早い威力の低さ」のライトニングでさえ、ビーナイツを一撃で葬り去る威力だ。あれを、受けながら接近するというのだ。

 さらに。

「残念ながら“防御魔法”についても、俺だけでは考えつかない。できうる限り個人的にもシミュレートしたんだが、八方塞がりなんだ」

「「・・・・・・・・・・・!!」」

 話を聞いていたゲイボルグも、エミリアも眉間にしわを寄せ、歯がみしている。彼女らも薄々感じていたのだ。 敵があまりにも強大すぎる。こちらに打つ手が、なさ過ぎる。

 当たり前だ。もしもそう簡単に対処できるのであれば、とっくに皆やっている。できないから、問題になっているのだ。

 だとしても、それをどうにかする義務が、彼ら「転生者殺し」にはあるのだ。ここでさじを投げ出しては、この組織の存在する意味がない。

 そしてだからこそ、こうして「一般職員」や「一般騎士」にも聴衆として参加してもらっているのだ。

「解った、トーヤ隊長。・・・・・・・・皆の衆!!何か一つでも、アイデアを出してほしい!!子供だましでも、何でもいい!!そこから広げられる可能性を探りたい!!」

 と、エミリアは聴衆に向けて叫んだ。さっきまでスクリーンに目を向けていたトーヤたちだが、今度は正反対に聴衆の方へ向き直る。だが向いた先は、望みを失った一般職員たちしか居なかった。ある者は頭を抱え、ある者は隣の者と相談している。いずれにしてもいい案は出なさそうだろう。

 だが、今までスクリーンの操作をしてきたネロが手を挙げた。

「ねえ、トーヤくん。さっきからキミはなにを言って居るんだい?なぜそこまで“正攻法”にこだわるのかな?」

「ネロ、それは奴の対策に決まっているだろう。奴に対抗できる能力があれば、俺だって_________」

と、言葉を紡ごうとしたときだった。






「キミの“特異体質”。これで奴の魔法を無力化できるんじゃないかな?」

 トーヤの心臓に、冷たいナイフが突き立てられた。




「彼の魔法は“レベルアップ”で覚えている。“システム”に則って覚えたものなら、キミの“体質”の適応範囲内じゃないかな?」

「また、これか・・・・・・・・・・・・」

 トーヤはうんざりしたようにつぶやいた。

「そいつにすがったところで奴らと同じになっちまう。何か一つの“力”に頼っていれば、依存になっちまう。俺はこの“力に”________」

「力ではないだろう?」

 と、エミリアに口を挟まれた。

「トーヤ隊長。あなたの気持ちはわかる。奴らと同じ穴の狢だというのだろう?・・・・・しかし、それはあくまでも“ハンディキャップ”だ。“力”なんて大層なものとは言いがたいと、あなた自身そう言っていたじゃないか!」

「・・・・・・・・・・・・」

 エミリアに叱責され、トーヤは言葉をなくす。そんな彼に追い打ちをかけるように、ゲイボルグも口を開く。

「トーヤ様。彼らを嫌うお気持ちも解ります。ですが、このまま既存の手法に拘っていては、らちが明きません」

 そして、普段軽薄な印象を与えるネロだが、このときばかりは真面目な顔をして言った。

「キミ自身も解っているだろう?それがなければもう対処のしようがないことを。そしてキミのその体質は、“システム”に真っ向から抗える唯一のものだってことを・・・・・・・・みんなだって、これしかないと考えているよ」

「・・・・・・・・・・・・」

 トーヤはネロに諭され、聴衆の方に向き直った。

「トーヤ様!!お願いです!!これ以上奴の好き放題にさせたくなどありません!!」

「どうか!!我らの未来を切り開いてください!!」

 聴衆席から、痛切な願いが聞こえる。もはや彼らも、トーヤの“体質”がなければ打破できない、と判断したのだろう。

 トーヤはしばし下を向いて、熟考し、そして顔を上げた。

「解った。正し俺の体質は“対転生者”に向いているとはいえ、どこまでが許容範囲なのかは解らない!対策は後日再び会談する、いいか!?」

 トーヤが聴衆に叫ぶと、一斉に拍手が鳴り響いた。ゲイボルグもネロも、エミリアも、彼らと同じように掌を鳴らしている。

「以上で、本日の作戦会議は終了する!さらに詳細な内容は後日再び話し合うものとする!具体的な日程は、改めて連絡しよう!では、解散!!」

 エミリアの一声で、その日の会議は終了した。











「ハァ・・・・・・・・・・・・」

 トーヤは自室で、深い深い、ため息を吐いていた。

「(他人事だと思って・・・・・・)」

 彼の体質は「転生者殺し」であったからこそ歓迎されているが、逆にここ以外では門前払いされるようなものである。

 だけど「ハンディキャップ」といえど「力」は「力」。周りに言っていることと自分で受け止めている事実が矛盾していることに、トーヤは耐えがたい苦痛を感じている。

「・・・・・・・・・・・・・・」

 トーヤはとりあえずベッドに寝転がり、今後のことについては明日考えることにした。結局今日もいい案が出なかったことから期待はしていないが、それでも彼は「転生者」に対する認識、ひいては自身の生き方について微かな可能性を模索する。

 そんなことを考えているうち、彼は目を閉じで静かな寝息を立て始めた。


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