立見商店街は寂れていてもHAPPYです
淳史は、今の状況をやきもきしながら見守っていた。
からあげが好きとか、そんなの俺も同じだよ。今はそれじゃないだろ。
「お前が昔から好きなのは奈津子。そうだろ?」
思わず言葉が口をつく。
真横から視線が向かってくる。
目が合うと、明子の表情が崩れ、にこりとほほ笑んでいる。
さあ、亮。言っちまえ!
とその時、肩が叩かれた。
振り返れば、ご機嫌な武史が。
「どうした? どうした? なんかあったか?」
呂律も怪しく、楽し気に声をかけてくる。そして、強引に明子との間に割り込んできたと思ったら、そのまま半開きの引き戸に手をかけた。
慌てて止めるが、唸り声とともに振り払われ、引き戸を全開に。
突然のことに誰もがお見合い状態だ。いや、酔っ払いには関係ない。武史がふらふらと亮たちへと近づいていき、
「おう、亮ちゃん。戻ったか。まだまだ、飲むぞ。今夜は祝杯じゃ」
亮の肩へと腕をまわし、会館へと半ば強引に引き連れていく。
いつもなら、こら!、と武史の頭をひっぱたきそうな明子も、突然のことに唖然と見送っている。
淳史も唖然としていたが、慌てて、「親父! ちょっと待てって」
その声も酔っ払いの耳には届かない。
もう一発声を張り上げようとしたが、肩が叩かれた。振り返れば、奈津子がにっこり笑っている。
「ほら、私たちも行こ」
奈津子が腕をからめてきた。反対の腕を明子にもからめている。
そのまま賑やかなほうへと引っ張られていく。
亮の気持ち、ちゃんと伝わったよな。
そう聞いてみたい。開きかけた口だったが、結び直した。
きっと伝わったはずだ。伝わっていなかったら、もう一度言わせてやる。
なにがなんでも!
淳史は胸の中で叫び、輪の中へ溶け込んでいった。
ありがとうございました。




