覗き見だってしちゃいますよ
「外の机、片付けちゃっとこうか」
明子は、奈津子と淳史に声をかけた。
ヤマさんも気付いて手伝ってくれたが他の人たちは完全に(お酒で)出来上がっちゃってるか、カラオケに夢中だ。
ということで、明子と奈津子が机の上の皿などを会館へと戻し、淳史と山さんが2人で長机を2階へと運んでくれていた。
2往復し、最後の3往復目は奈津子とともに手伝い、4つを運び上げた。
「ここは、俺がやっとくよ」
急遽、長机を準備したので、上に置いたていた物が散らばっている。熊や猿のドデカ頭も転がったままだ。
明子たちは、「じゃあ、よろしくね」と声をかけ、下へと向かった。
「私、外の掃除しとくね」
奈津子が弾んだ声で、そう言いながら引き戸を開けて外へと出て行った。
明子は微笑みながらうなずき、その姿を見送ると、ヤマさんへと声をかけた。
「ありがとうね。飲み直して」
そう言って、スナックと化しているほうへと背中を押していった。
ヤマさんのコップにビールを注ぎ、そのまま奥の台所へと向かっていく。
伝次郎の演歌をBGMに皿などを洗い終え、武史の歌声に変わった場所へと戻った。
振り付きヤングマンを踊る武史に、みんなの振りも続いている。昔からこればっか歌っている。
軽く見渡したが、奈津子も淳史も戻ってきていないようだ。
明子も武史の歌声に振りで応えながら、その場を通り過ぎ、出入り口のほうへと向かった。
引き戸のすりガラス越しに、ぼんやり立ち姿が見える。
その姿になんだか、そっと戸を開けてしまう。
誰かと話している?
少し顔をだしてみた。
その時、背後から鼻歌が聞こえてきた。振り向かなくとも誰だか分かる。すぐ横にある階段を淳史が降りてきている。
「どうした?」
そう声が聞こえ、振り返って、口に人差し指を当てた。そして、すぐに視線を前と戻した。
淳史の顔がすぐ横にきている。
視線の先で、亮が奈津子に近づいてきている。
目の前に見える奈津子の横顔がどこか不安げに見える。
亮は目の前に立っても何も言おうとしない。
「亮……」
耳元でそんなつぶやきが聞こえてくる。
淳史も明子と同じ気持ちだろう。明子も胸の中でつぶやいていた。
りょう……。




