祝杯です
いつもの試合後と同じように立見商店街自治会館には人が集まっている。いつもと違うのは人が溢れ返っていることだ。
亮たちの同級生や部活仲間も試合会場から直行し、会館に入れないほどなので、それぞれに紙コップを持ち、ビールやジュース、お茶などが会館から外に回されている。外には2階の物置き場から運んできた長机が置かれ、明子が注文した料理も並べられている。
そして、山盛りのからあげも。
いつもの場所に座る亮の目の前にも大きな皿が置かれ、山盛りのからあげが積まれている。
明子は奈津子と一緒に、ビール瓶を手に動きまわっていた。瓶を手にすると、それぞれが近くの者同士、コップに注ぎ合っている。
どうやら滞りなく行き渡ったようだ。
明子は自分の席に座り、お茶のペットボトルを手に取った。いつものように横の座る大作のコップに注ごうとすると、
「いや、こっちで」
大作はぼそっと呟き、置かれているビール瓶を指差した。
その声に、大作の反対隣で前に座る老店主にビールを注いでいた武史が振り返っている。明子は思わず大作を挟んで顔を見合わせてしまう。
武史が嬉しそうに手にしているビールを、「そうかそうか」と注ぎ始めた。「明ちゃんも、ほら」と明子のコップもビールで満たされていく。
全員に飲み物が行き渡ると、淳史が立ち上がり、
「誠に僭越ながら、いつもどおり私が音頭をとらせていただきます」
コップを持った手を前に出すと、
「亮! おめでとう。カンパーイ!」
笑顔弾ける「カンパーイ」が続く。ワンテンポ遅れて外からも。




